コガネムシ
今日も帰りの電車の中。
季節は夏。
飲み会の第一陣が帰宅し、第二陣が隆盛の時間、電車の中は、周りの人とぶつかることもなく、かなりの空間がある、まあまあの混み方です。
ドア近くに立っていると、前にワイシャツ姿で、少しほろ酔い加減なのでしょうか、機嫌のよさそうな会社員風の男性が私の目前に背中を向けて立っています。
私は、ドアの上のテレビを見ていると、その男性の肩に何かが這い上がって来ます。
よく見ると、その虫はきれいなメタルグリーンのコガネムシでした。
コガネムシを肩に乗せている人は、全く気が付いていないよう。
私は、コガネムシを避けてその人の肩をトントンと叩いて教えようとします。
肩を叩かれた人は、余程機嫌が良かったのか、フレンドリーな笑顔で振り向きます。
その瞬間、肩に乗っているコガネムシに気が付き、見る見るうちにフレンドリーな笑顔が消え失せ、恐怖で引きつった顔になります。
確かに、よく車内で見かけるカトンボやガ、ハエはみんな嫌な顔をしますが、手で払ったりするくらいです(まあ、蜂は除きますが)。
それが綺麗なメタルグリーンとはいえ、5cm(少しオーバーですね。3,4cm位でしょうか)の塊が動いているのですから、恐怖にかられます。
その男性は、開いている手でコガネムシをはたき落とし、車内の中の方に移動していきました。
コガネムシと似ているカナブンの違いですが、パッと見た目は良く判りませんね。
色はコガネムシよりもカナブンの方が黄金色だそうです。
コガネムシは身体が丸まっこく、頭も丸い、カナブンは平べったく頭は四角ぽい。
大きな違いは、コガネムシは害虫でカナブンは益虫だそうです。
さて、はたき落とされたコガネムシは丈夫で動き始めます。
そこに、若い会社員風の男性がヒョイとコガネムシを掴むと、何かを入れていたビニール袋にポイっと入れて次の駅で降りて行きます。
「それ、コガネムシ。」
「わかっているよ。大丈夫、子供にあげるから。」
と男性は言ったような言わなかったような。
帰ったら昆虫図鑑を読み返してみよう。




