色づく少年
朝のラッシュ時の電車の中。
ある時、途中の駅で電車が停まると、ホームから車内を一生懸命覗き込む男子高校生に気が付きました。
その高校生は、ワクワクした顔で毎日、窓から車内を覗き込みます。
「?」
最初は、何だろうと考え込みましたが、すぐに理由が分かりました。
その駅に着くと、車内の一人の女子高生が、窓から見えないように、大人の陰に身体をずらして、まるで隠れるようにします。
「はは~ん、あの男子学生は、女子高生に興味があるのか。
でも、女子高生は、恥ずかしがっているのか、隠れているぞ。」
これで全ての謎が解けました(?)。
電車の中なので、まさか声を出して告白するなんてことは出来ません。
昔なら、手紙でしょうか。
「あなたのことが気になって仕方ありません。
お友達になってください。」
なんてしたためて。
でも、男子学生、運動系のようで短髪、日焼けした黒い顔をしているので、そんなこまめな方ではないかな、なんて思ったり。
それに、今どき、手紙は流行らないのかな。
今時なら、何を使って告白するのでしょうか?
スマートフォンを出して、ラインアドレスを教えてもらうのでしょうか?
でも、彼女がスマートフォンを持っていなかったら?
なんて、かってに想像し物語を膨らまします。
しかし、数日たっても、女子高生は駅に着くたびに、大人の陰に隠れてまわります。
もしかして…。
そう、女子高生は男子高生を避けていたのでした。
その内、男子高生も察知したのか、いなくなりました。
「大丈夫、まだまだ先が長いんだ。
君はカッコいいから、良い子に会えるさ」
なんて心の中で男子高生に話しかけたりして。
明日も同じ電車に乗ろう。




