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渋井谷子の奇跡  作者: 読書、最高(^o^)/
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ほんのおねえさん~♥ 9

「あ、イタ!」


谷子は天井裏の部屋にやってきた。


外が夜で部屋は暗く、

電気のスイッチを探しているが見つからない。


机にぶつかってしまい、

机の上の花瓶を倒してしまった。


谷子は、

暗い部屋に目が慣れてきた。


天窓から、

月明りが部屋に差し込んでいる。


「わ~い!私の部屋だ!」


ワンルーム6畳で、

父と母と家族3人で暮らしてきた谷子は、

自分の部屋が持てたのが嬉しいのである。


「わ~!星空がきれい!」


父と母と暮らしてきた部屋は3階にある。

窓を開けても星空は見えない。


10階建てマンションの

天井裏の部屋の天窓からは、

夜空のお星さまが見えるのだ。


谷子は、

カギを閉めて去って行った。


一輪のバラが活けてあった花瓶を倒したことを、

谷子は気づかなかった。




「はぁ・・・今日も暑かったな。」


夜の天井裏の部屋に、

次元を超えて、「主」が帰ってきた。


「主」は女性で外観は、

「巨乳」「Fカップ」「露出狂」

だった。


慣れた様子で呪文を唱える。


「いでよ! マイ寝室にな~れ!

 エロ・エロ・エロメス~♪」


古びた木製のベッドが、お姫様ベットに、

天井から吊るされた豆電球が、シャンデリアに、

ユニットバスがジャグジーつきの足の延ばせる大理石のお風呂に変わる。


まるで魔法使いのようだ。


ふと机の上の花瓶に気づく。


「あれ? 

 花瓶が倒れてる?」


花瓶に活けてあった一輪のバラが、

花瓶の外に出ている。


「・・・まぁ、いいか。」


女は、

細かいことは気にしない性格のようだ。


服を脱ぎ捨て、

笑顔でお風呂に入っていく。


「今日は、アヒル風呂にするぞ~♪」




「行ってきます。」


今日から谷子は、アルバイトにいく。

靴を履いて出かけようとする。


「忘れ物はない?」


母の谷代は、

本ばかり読んでいた引きこもりの娘が

バイトをすることが心配だった。


「大丈夫だよ。


 それより、

 バイトから帰ってきたら、

 私の部屋に引っ越すから、

 お母さん、手伝ってね。」


「あんたの荷物は後で運んでおくよ、

 と言っても、

 高校の制服と教科書と着替え位しかないけど。」


ワンルーム6畳で、

父母娘3人で暮らしてきたので、

個人の私物はほとんどないのだ。


「ありがとう。

 バイト代が出たら、

 お母さんにもなんか買ってあげるね。」


「いいよ、いいよ。

 私のことより、

 あんたまだ若いんだし、

 美容室に行くか、服でも買ったらどうだい?」


母、谷代は娘を心配していた。

「前髪長すぎ」常に「Tシャツ」「短パン」

母から見ても「ダサイ」「イモ」だったからだ。

できれば一緒に渋谷を歩きたくなかった。


「私は今のままが、ラクでいいの。」


「コンタクトにするとか、美容整形に行くとか、

 そろそろ彼氏も欲しいだろ?」


母は「メガネ」と「ソバカス」も気にしていた。


渋井家はバイト一家なので、

誰も携帯電話は持っていない。

特に不便なことはなかった。

だから携帯電話を買ったらどうだい?

という発想は母、谷代にはなかった。


「う~ん、

 私の恋人は本かな。」


「え!?」


「あ!もうこんな時間、

 遅刻しちゃうから、いってきます。」


谷子は、慌ててバイトに出かけた。

娘の将来が心配な母であった。



つづく。

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