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一歩目
「おはよー花梨ちゃん」僕は、朝ご飯を用意して、花梨を起こした。
「おはよう葵」眠そうな目をこすりながら、花梨は起きて来た。その顔はとっても可愛いくて、僕に1日の元気をくれる。
そうこうしているうちに、学校へ行く時間になった。
「花梨ちゃ~ん。もうお兄ちゃん学校に行くけど、1人で幼稚園行ける?」
「うん!家の前までバス来るし‥」
「そうだな!じゃ行ってきます」
「うん!いってらっしゃい」
学校へ歩いていると、前に彼女(桜)が歩いていた。 僕は勇気を出して、声をかけた。
「えっと‥桜さん」(こんにちは)(僕は葵です)
僕は、覚えたばっかりの拙い手話で彼女にそう伝えた。彼女の顔が、パァっと明るくなったことがわかった。
(手話‥覚えてくれたの?)(ありがとう!これからもよろしくね)
彼女にこういわれて、僕はとっても嬉しかった。
『よし!一歩前進だ!』
次の日も次の日も、彼女と一緒に学校へ通った。僕の手話も上達し、彼女と普通に『会話』が出来るようになった。 こんな生活が半年続いた。
“音の無い会話”それはやっぱり美しかった。




