第五章 オレの朝は、太陽さえなければばっちり。
いつもより長めになりましたが、最後まで、つきあってください!
「ご主人!」
「おはよう、めぐりんっ」
めぐりんの声は最高なんだ。どんな朝でも、一発で起きることができる。うん、8時ぴったり。
「うぅん、でも今日は眩しいな…」
めぐりんの声で目覚めたオレを、その身の輝き一つで倒すとは…太陽、なかなかやるな。外へ出たら、窓もカーテンも無くなって、さらにオレだけを直で、狙ってくるんだろうな。憂鬱。けど、
「頑張るよ、めぐりん。」
じゃあ、ご飯食べるね。
「おはよう…」
「今日はなに食べるんだ?」
「あぁ、もえたんのあんぱん。」
「もっもえ?ってまたか」
「もえたんだよっ」
「ああ、すまんすまんっ…お前も、その、もえたん?とやらのために、変食になるなよ?今日はましだが、いつもは、飴やガム…」
「もえたんのためだから。」
「はぁー」
実はオレ、オタクの中二、三里春弥。中二だし、中二病だ。ちなみに、現在母は出張で、アフリカにいる。なんとかこんとかの、研究中らしい。だから、今は父とオレと、弟4しゃいの三人。弟に年を聞くと、『4しゃい!』と言う。なかなか可愛い。オレとしては、ツンデレが望ましいが、流石に男のツンデレはどうかと思う。だから、ここは一つ、おもいっきりグレてもらいたい。じゃあ、
「めぐりん、もえたん、秋楽」
めぐりん、もえたん、弟。最後に、
「お父さん、行って来ます。」
「おう、もう行くのか。」
「うん。」
「今日も、本屋行くのか?」
「行くよっ、じゃあね」
「フー………暑いなぁ。」
「あっ!三里くん、おはよ!」
「おはよう」
「三里くんおはよー!」
「おはよう。」
「わー!おはよう!」
「おうっ、春弥!はよっ」
「お!春弥、はよー!」
「。。。」
学校の人達、もしかすると、太陽よりも手強いかもしれない。朝から『おはよう』って、言い過ぎて疲れた…。オレは、オタクとしては珍しく、クラスでは結構人気っていうか、なんていうか…まぁ、嫌われていないのだ。良いことだ。けど実際オレ、めぐりんやもえたんにしか、興味が無いのだ。だから、話しかけられても、ぬるい返事しかしない。だから余計、ぼっちになりやすいタイプなんだ。でも、そのぬるい返事は、男子には面白いとウケるし、女子にはクールと…良い感じに、解釈されているんだ。楽で、助かる。
「…」
やっと、自分の席にたどり着くことができた。朝から、太陽、学校の人達と、本当に、体力を消耗した。休もう。今オレの席は、一番後ろの窓側。漫画などで、最も良いとされる席。でも、オレが思うにこの席は、冬限定で特等席なんだと思う。日差しが丁度で気持ちくて、居眠りも、先生にばれにくい。だが夏は、太陽が窓を突き破り、カーテンをまくりあげ、オレを攻撃してくるのだ。しかも、日の当たる机の角は熱くなり、居眠りどころでは、無くなるのだ。
「やぁ〜、今日暑くね?」
「ねー!うちヤバイっ」
特に今日は暑い。この席になってしまったことを、後悔する。
ーキーンコーンカーンコーンー
「がたっ ごとっ」
オレは、中学生になって思ったことがある。小学校ではあまり威力はなかったが、中学生になって、その力は絶対的なものに、近づいた。それは、チャイム。どこの学校でも、大抵同じ、間抜けな音。だが、その音が聞こえた途端に、がたごとと、一斉に自分の席に座り出す。みんなが、机という、席という仕切りを無視して、ぐちゃぐちゃにいるものだから、もう、すっごいうるさい。騒がしい。見てるだけでも、疲れる。それが、チャイムという、間抜けな音一つで、静かになるんだ。だから、チャイム、静かにしてくれてありがとう。と、思う。
「はーい。では始めます。」
「…。」
ん?
「三里くんっ、今日三里くん日直!」
「あ…あぁ、きょーつけー、お願いします」
「お願いします」
今、オレに日直だって小声で教えてくれたのは、隣の席の井上さん。下の名前は知らないけど…。うん。可愛いと思う。他の女子よりもおとなしくて、よっぽど可愛げがある。さらにこの子の小声、めぐりんに近い。まぁ、めぐりんには敵わないが。学校のなかでの、唯一の癒し。それにしても、今日は何かと集中できない。だって今日は、オレ行きつけの本屋で、あゆちんのサイン会があるのだ。大好きな声優さんに、会えるのだ。そりゃ、集中なんて、できなくて当たり前だ。あぁ……帰ろっかな。
「ねぇ、井上さん。」
「なに?」
「オレ、この授業終わったら帰るね。」
「えっ、あっ、うん。」
「うん。」
なんで、わざわざ井上さんに言ったんだろ?まっ、可愛い反応が見れたから、良しと。
「ばいばいっ」
「あっ、ばいばい!」
うん、やっぱり可愛い。
「ふんっ、ふんっ、ふぅーんっ」
鼻歌。意外とオレ、音痴かもと、今気づく。やぁ、楽しみだな。
ーオレが、二次元しか愛さないのは、この子達は、皆、いい子だから。三次元に生きるオレ達は、皆、うるさいから。
三次元もいいけどやっぱり、めぐりんがいい。
最後まで、ありがとうございました!
次の話しで、やっと最初のプロローグ的なものが、終わり、本番に入ります‼