表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

ファミレス観測所

作者: 木介
掲載日:2026/02/14

ファミレスでは老若男女、大勢のお客様が来店される。

お昼のピークを終えた頃、来店されたのは若い二十代半ばのカップルだ。


見た目だけで判断すれば、男の方はなんとなく気弱そうで、女の方は賢そうな印象だ。

店員に案内され席に着いたこのカップルを今日は観測し始めよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

          ~男~

彼女とは職場で出会い、付き合い始めて三年になる。

最近は会話も少なくいわゆる倦怠期というやつだ。

私の愛が冷めてしまったという事は無いが、彼女の様子に気を配りながらデートをするのは正直疲れてしまう。

それに今日は以前彼女が行きたいと言った、ランチで評判の店へ行くはずだった。

店に着くなり言われたのは「うちは予約制でして…」あの時の彼女の冷めた表情が心に刺さる。


「注文決まった?」


メニュー表を開き固まっていた私は彼女の言葉で我へ帰る。


「えーっと、じゃあこのイタリアンハンバーグと三色野菜のセットにするよ、君は?」


「もう決まってるわ」


以前までは彼女も何を注文するのか教えてくれたのにと思いながら私は店員を探した。

すると大きな胸をした若い女の店員と目が合った為、手を上げようとした瞬間【ピンポーン】と彼女が呼び出し音を鳴らす。


呼び出しボタン式である事を忘れており、恥ずかしくなりながら彼女の方を見たがケータイを弄っていて私には無関心であった。


オーダーを取り来たのは先程目があった店員で少し気まずくなりつつ、自然と胸へ視線がいってしまう。


(胸でかっ…)等と思っていると彼女は注文を終えて私の番がくる、だがメニュー表を閉じてしまっていた為、もたついていると「イタリアンハンバーグと三色野菜のセットで」と代わりに注文されてしまった。


それにしても今日はついていない、この後のデートもぐだぐだになってしまう予感がして、心が重くなるのだった。


          ~女~

『明日は以前テレビで観たお店に行こう』

そう言ってURLが送られてきた。

その店は二人で一緒に観たテレビで紹介されており、私が一度行ってみたいと言った店だ。


最近は倦怠期に入り(この人と一緒にいて良いのか)と考えていた矢先の出来事で、そんな些細な事を覚えていてくれた事実に嬉しくなり、彼に冷たく当たっていたかもと考えを改めた。


だがこの考えは直ぐに捨てる事となる。

「うちは予約制でして…」そう店員に説明されている彼の慌てた姿を見て、昔なら可愛いと思えたかも知れないが、今は私の心を一層冷たくさせるだけだった。


結果、来たのは近くのファミリーレストラン、学生じゃないのだから少しは考えて欲しい。

私はメニュー表を見て、早々にパスタとサラダのセットに決めたが、彼はまだ悩んでいるらしい。


私は待つことが出来ず「注文決まった?」と声を掛けた。

すると「えーっと、じゃあこのイタリアンハンバーグと三色野菜のセットにするよ、君は?」

という謎の報告を受け私は「もう決まってるわ」と応えた。


呼び出しボタンを押そうと私が手を伸ばすと彼がキョロキョロと何かを探し始める。

何をしているのかと思って見ていると女の店員と目が合うなり手を上げようとしているではないか、私は慌てて急ぎボタンを押した。


オーダーを取り来たのは先程、彼と目があった綺麗な髪をした若い女の店員で少し気まずくなりつつ、私は注文を伝える。


次に彼が注文をするべきであったが、メニュー表を開き何やら慌てた様子であった為、私が代わりに注文を伝えた。

どうせ(胸でかっ)とか下らない事を考えていたに違いないと私の心はどんどん冷たくなっていくのだった。


         ~観測者~

このカップルは会話なく食事を続けている、正確には男が話しかけてはいるが、彼女が冷たい態度で接している状態だ。


近々別れるであろうと推測され、これ以上見ていても展開は無いと諦めているが、私は観測者として最後まで見届ける。


食事を終えたカップルは席を立ち、彼女は早足でレジに向かう、対照的に彼氏の方は足取りが重い、するとレジの先では柄の悪い四人の男達が通路を塞ぐように立ちふざけ合っている。


その横を彼女が通り過ぎようとした時、男の一人が友人のちょっかいから避けようと彼女にぶつかりそうになった。


だがそこにいてぶつかったのは彼氏の方で

「皆が使う道なんで、ずれてもらえませんか?」

そう言って彼女の手を掴み自分の後ろに隠す姿は男らしく思えた。


その後、会計を終えたカップルの足取りは軽く、五年後三人で再びこのファミレスを訪れるのはまた別の話である。


(了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ