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4章
「というわけです」
僕がこう締めると、いろんなところから拍手が沸き上がった。
「さすが、あの領地の領主、レイモンドさんだ」
「いえいえ。そんなことは…」
「まさかあいつらに還元することで効率が上がるとは」
「俺たちじゃ考え付かなかったなぁ」
この言葉に思わず顔が翳る。
この社会では領民のことを家畜同然だと思い込んでいる領主が多い。
「今度の講習会でも講師をお願いできますか?」
「え、ああ、はい。もちろん」
そういうとほかの領主たちの顔が晴れやかになった。
僕は複雑な気持ちを抱えながらニコリと笑った。
レイモンドがいなくなった後の講堂で――
「あいつ何言ってるんだろうな」
「領民なんて家畜だろ?搾り取れるだけ搾り取って」
「足りなければ他から追加すればいい」
そんな会話が行われていることをレイモンドはまだ知らない。




