17章
光が俺を包み込んだ。案外痛みはない。むしろ胸に刺さった矢の方が痛い。
「ああ…これで…終わりかぁ……」
俺の…いや、僕のつぶやきが宙を舞った。
その瞬間、つぶやきを拾ったかのように脳に声が響いた。
「力が…ほしいか…?」
力…か。もちろんほしいさ。フィナを探すための力がな。
「ならば力を貸してやろう」
お前は…なんなんだ?
「俺か?俺は悪魔…と呼ばれるものかな…」
ハハッ。これが悪魔に魂を売るってやつか。
「まぁもらうのは魂じゃなくてその体だ。純然たる憎しみの気持ちから変化したお前の体は養殖で作られた悪魔の体よりよっぽど強いんだ。その体をよこせ。そうすりゃ助けてやる」
本当か?なら好きにするといいさ。
「おう、それじゃ」
体から抜けていく感覚。つむってしまいそうな目を必死に開けていると体が勝手に動いてどこかへ飛んでいくのが見えた。
「嘘だよ。この体はもらってくぜ~。悪魔の言うことを信じるなんて馬鹿な奴だなw」
ハハッ。また、騙されたのか。もう信じられないな。なにもかも。
魂だけになったらどうなるのかな…やっぱり、消滅してしまうのかな…
そろそろ走馬灯が見えるはずなんだが…なにも見えてこないな…うう、猛烈な眠気が襲ってきた。
しばらくして僕の意識は完全に途絶えた。




