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12章
漫画を修復していたフィナは外が騒がしいことに気づいた。
「どうしたのかしらね」
そう近くにいたメイドに聞いてみると同時に
「ここか!」
怒号とともに扉が破られ男が入ってきた。
「ど、どうしたんですか…?」
メイドがおびえながら尋ねる。男は苛立った様子のままメイドを殴り殺した。
「ヒッ…」
男はそこで気づいたかのように血走らせた目をフィナに向ける。
フィナは思わず漏れ出た声を飲み込むように手で口をふさいだ。
「おいお前。お前はあの男の何だ」
体は怒りで震えているのに視線はフィナの方に向いて外れないその姿は肉食獣のそれだった。
「あの男…兄のことですか?」
男はしばらく考えた後―――
フィナは意識を失った。
フィナは男に殴られた――と気づくのに時間はさほどかからなかった。
兄にこのことを伝えなければと思いながらフィナは深い眠りについた。




