Episode 9 要塞都市ガトラニアンと知恵の賢者
ただ「さっさとこいつから離れろ!」の勢いで見知らぬ路地に通り抜けば...初めて自分が迷い子だと自覚した気分
分かれ道の次は更に多くの分かれ道、左右ともあれ、梯子や昇降機で繋ぐ上下まで岐路あり
どこのフォートレスか遥か暗い未来の多層都市がよ、この町!
「帝国の時代よりも狭いけど立体的な空間利用に負けたとは参った...この時代も全てが後退した訳ではないようだ。」
嘆きよりも感心。自分が窮地に陥いても文明の進化に関心、やがてその関心に思考が乱れ、無謀と乱暴まで至る。昔からそいう男なんだ、ギルベルトは。
まぁ、今頃男としての尊厳も捨てたけど~♪
捨ててないだろ!
って、やっぱ迷い子になったじゃん
アマノカワの坊やを振り切る為に適当でちょろい回した結果、帰る道までロストした
先も自分勝手に町に突っ込んで、アーゼリスと離れた
アーゼリス様がいなくて本当に怖かった~!
わぁまた出た、変な痴女心!俺にそんな中身ないはず!
コホン!
余計な乙女心を捨て、また歩き出したルナティア。あんまり行き先分からないから、一先ず高所に繋がるそうな方向へ向かった
しかしその結果、約半時間ほど無駄な回り道を繰り返すだけ
「徹底的に参った。図書館ところか、無事外に戻れるのかも問題になった。」
体力まで尽き果てたルナティア、膝に両手をつく、滝のように流れた汗は青髪に沿って地面に降ろし、ぱらぱらと響く
ご本人に悪いが、事情知らない一般市民から見ると実に美しい光景
「前よりは少々マシったか...せめてホバーボードくらいあれば...」
壁の影に隠れて体を預け、一旦休憩に入った
「閣下は図書館を探しているのか?」
緩やかそうで知性を感じる成熟けど老気を感じる声、のんびりと近づく
「はいーー其方は?」
目に映すのは赤い炎の模様が描かれた古く青いローブ、顔も双頭の鷲の仮面に隠された謎の老人
「何か特別な技術の提供が出来たら、我々秘蔵の大図書館を開放しておいて良いぞ。」
急いで名を乗らず、趣味しんしんの目で余に注目
「よくも私にこんな取引を申し込むとは、見た目ただの小娘かも知れないよ?」
「閣下がこちらのこちらの領域に迷い込んだからずっと見てた。並みの人間だったら前のような感心はできないぞ?」
「そこまで言われったら、拒む理由も思いつかないなぁ。いいだろ、何か欲し?」
「儂らはゼンチ教団、この時代に失われた知識を求めて旅立った伝教師。我々の大図書館なら、普通の公立図書館よりも閣下の探究心を満足できるかもしれないよ。」
「ほぉーどうも、ルっーーコロサッスと申します。」本名を名乗ると厄介かもしれないので、また名前貸してもらおかコロサッスちゃん「では単刀直入に聞かせてもらお。私が調べたいものはこの二千ーーコホン、帝国、正しく言えば最後の暴君ギルベルトが死後から今までの詳し出来事。」
「これは…実に奇妙な趣味。しかし勿論、この辺りの歴史もちゃんと保存して置いたーーが」
「わたくしもあくまでそのお方に崇拝していた故に調べたいだけ。っと、報酬なら、帝国産の古代装備に趣味あるかな。」
「閣下も世に無二の帝国狂い。こんな報酬実に珍しい、いや、素晴らし。わかった、儂が案内します、どうぞこちらへ。」
ゼンチ教団の老人に導かれ、帰り道に歩いたルナティア。気づいた頃、もう始まりの場所に戻した。しかしそのに居るのは見たこと無い黒い殿堂
「意識隔離領域まで揃いたか。」
これも前の武器庫に用いた技術、効果自体に驚くないが、まさかこんな時代の組織に使われたのが少々予想外
「やはり知っていたね。閣下も意外と常人外れたほど帝国に詳しいとは。」
その時代から来たとか言う分けないだろ
「少々趣味に夢中していただけ。」
「まぁ、我々も中々似たそうで。」老人が近つくことを検知したように、自動で開く黒き殿堂の扉「これて着いたーーようこそ裏の記事殿へ。」
広やかなゴシックの大殿にしてはやや人少なめ、蒸気と電光で出来た神秘の霧に囲まれ、無造作に並んだ実験台、その隣にはどれもこの老人とあんまり変わらないローブを纏いて研究の狂人みたいなオーラを放つ、異なる仮面を被ったの人
「素晴らしい!こんな狂気を持たないと科学も進歩できない!」っと思ったルナティア
「心声漏れたぞ、コロサッス閣下。」
「コホンーー気にしないでください、こんな細かいこと。」
「いえ、ただ閣下も同志になりうるっと。」
「残念ですか、これ程度の自覚はある。」
話しなから奥の扉に着いた二人。老人の動きが止まり、何かを待つ模様
「これですね。」ベルトから異なるグレネード二枚を取り下げ、老人に渡したルナティア、「青のラインが刻んたのは対魔法のジャミングフィールドを生成する禁魔手榴弾、灰色のは発煙の。」
「これでまた素晴らしきものを収蔵に入れる。まさか禁魔域の実物をこの目、この手で触れるとはーー最高の貢献をしたよコロサッス閣下!」
「大したことではない、欲しければまだいっぱいあるから。」
「これはこれは、これからも良き協力関係を期待している。」
「其方が対した価値を示せば、勿論。」
「我々の秘蔵、必ずや閣下に失望させない。」袖から緑色のカードを取り出した老人、ルナティアに渡しつつ、「これは第三階ーー完全なる者の証。これを使えば禁書までのほぼ全部の書物を自由に閲覧できる 」
「うん、そうーー」平然とカードを受け継いたルナティア「ちなみに全部は何階?」
「全部は九階。儂、ゼンチ教団ガトラニア支部長ハーグ・ルーマーもあくまで二階。頂点たる一階の超越者は我々の教団の創始者、伝説博士しか授かれないもの。」
十分に功績が認めたっと伝いて私に好意を示すかーーって、日常と思われる軍備品か二千年後で奇跡と思われるのも流石にたまげたなぁ
うん、ドクター・マグナ?それて帝国科学院の首席、アルマテウスの渾名じゃないか?まぁ、そうね、余が死でもすぐに帝国が解体した訳てはないし、あいつも戦後まで生き延びた。こんな研究マニア協会を創る余裕くらい、いくらでもあるだろう。
「分った、ルーマー卿。ては一旦失礼。」少々昔に沈んいて、そのまま卿まで口に掛けた
「コホン、すみません、ルーマー殿。」
「いえ、気にしなくていい。むしろいつか機会あったら、コロサッス閣下の元で働くのも悪くない。」
「それはどうも、では失礼。」
また礼儀正しくカーテシーを見せかけ、裏の奥へと向かったルナティア
蔵書の区画は完全に外の光が通らない閉鎖空間、いつか消えでもおかしくない、暗く揺るい灯火に僅か照らされ
まるで果てしなき広がる闇の空間を巡り、石造りの地面に規則正しく並び立つ、自分の何倍よりも高い雄々しき本棚から古く黄ばんだ古文書を取り、疲れることなく読み続ける
「やはりガトラニア軍団が独立したから王国を名乗り、仕上げたもの、この国は。」
拳銃の出力を控えて照明に使うルナディア、次々と自分の推測を検証している
帝国が崩壊した直後、軍団長ロルトゥース・ガトラニクスが独立を宣言し建国
軍団の駐屯地たる要塞ガトラニアンがそのまま首都になり
約五百年の後、同じく帝国出身の軍事国家ティアンノヴァとの戦いに首都が壊れ、しかし修復の技術がロストしたため修復できず、そのまま当時の技術で再建したのが今のガトラニアン、更に千年くらいの拡張を重ねてこんな形になった。
「余の帝国が崩れたら混乱極まりの戦国時代か...」
かつて一つのフレイティアに統一された超大陸が物理的に砕かれたと共に、政治的にも大小様々の千の国に別れ、互いに攻め合う
約一千二百年続いた戦国時代に終止符を打つのは月神教の台頭
超大陸の中心だったレムスニア地方、今は三つの大陸を繋がる群島海域レヌスマーレスから発祥の月神教は海域中心に現れた巨大な光の塔ーー世界柱から神の力を得て、過酷な戦に勝ち残た大国共々敵に回しでもなお、魔法さえ上回る奇跡を施し、絶対的な力で諸国を圧倒、やがて月の女神への信仰を繋がりに諸国を精神的に統一
「フン、余がいなくなったらまた捲土重来したか。全ての信仰を撃ち滅ぼしたっと思ったが、まだ月の女神の一脈が残されたのか。」まるで魔法を貯めた時に禁魔グレネードを喰らったように不快極まりのルナディア「実に小賢しくて神らしい詭計。敢えて人間をくたばれ、戦乱に陥いて、それから都合よく現れて恩を売り、信仰を集めなから進歩を阻むーー魔物生成機構の時のように。」
帝国が超大陸を統一した時、まだ沢山の魔法の力を持つ獣、魔怪獣が生きていた
文字通りの怪力とバカデカイ体型を持つ、魔法も使える、出処不明の魔怪獣。幾度掃討し生息地滅ぼしでも、生物の基本摂理に反して世界各地に次々と現れる
それを徹底的に根絶したのがヴィシュアへ遠征した時、その孤島の中枢部にある大穴の底、超古代の地下都市「テルセ」に発見した巨大マシン、魔の源=魔物生成機構
地心まで続くパイプで謎の紫色のエネルギーを吸い上げ、半輪形のマシン本体に包まれた黒いスフィアの頂から放つ七色の光の玉、それが実体化した姿こそ魔怪獣
その時は初めてミライヴィアとの共闘。魔物生成機構を潰す為に、二人で三十頭までの怪獣に立ち向かう
まぁ、恥ずかしいだけど実は大半の魔怪獣は彼女が倒した
いや余はそいうクソ強い筋肉バケモノ皇帝じゃないからっと前も言ったろ
っと話を戻して、月神教が出たから、諸国の間に大規模な戦争はほぼ止まれ、今の盤面に至る
「月の女神への信仰ねぇ。」自分にも何かの繋がりがあるような、やっぱり神に図ったのか。今の手掛かりはあの時に言った公爵のヤツにしかない
「剣のおっさんが言ったマノン公爵は...こっちか」
ガトラニア軍団の副軍団長マリウス・ノア・ガレティウスの子孫、先祖の略称を姓氏にてマノン、今は王国の西側、特に港湾都市メアンリリアンを支配した実力貴族。
ああっ、まぁ、そんな人物あったけ?一回くらいの覚えはあるか、流石にモブすぎて忘れた。
今更そんなモブの後代に追われたのも、人生無常ね
「今日はこれくらいかな。」
大人しく本を戻して、外への道を探す。こうしたままに、何かにぶつかった感じ
「あっ、すみません。」
結構硬い男の体の感じ、教団の工作員と思って謝るルナティア
「いやいや、俺の方が悪い。」結構若い声、昏い灯火の中に依然とピカピカする金髪を掻く、元気そうな少年、「まさかあの狂人まみれの教団に君のような美人がいるとは、今日の俺もラッキーっね。」
「あははーー」こいつと比べればまるて俺が陰キャになる気「いや私は教団の人間じゃない、ただ本を拝読させてもらっただけ。」
今更気づいたけど、こいつ、俺をナンパしてる?
もうアーゼリス様がいるから断るよ…でも元気王子も悪くないね~☆
なんだこのキモイ痴女心?!俺じゃないだろう?!
「これは珍しい、あの教団がよそ者を許してくれるとは~お嬢ちゃんはどこの子?」
今日二度目ロリコンにナンパされた感じ、でも断ってもなんか大事なチャンスを見失った気分
「ルーーコロッサスと申します。」
まぁ今更だし、また名前借りさせてもらおうよ、コロッサスくん
ロボットだから涙は流さない、だけど許してくれるよなぁ?
「実に美しい名前。まさか父上の遣いで資料を検索した時、こんな美しい出会いになるとは」勝手に私の手を引いて、手の甲にキスした
好意を示したのが男として分かるが、自分の場合には流石にいや
大体コロッサスってバカ重い名前の何処かが美しいだよ、このロリコン
「では俺も名乗らせて頂く。俺はライド・ガトラニクス、このガトラニア王国の第一王子。」
へぇーー?