Episode 7 神の真実
「っむ......あの戦い、最後はあんな風に終わったのか。」
応急手当の為に連れてっ来た包帯で濡れた髪を包み、アーゼリスと共に温泉に戻ったルナティア
アーゼリスから聞いた事情によると、確かに神滅の槍の一撃で大陸が割れ、凄まじい天変地異を起こしたが、その衝撃でヴィシュアは消滅せず、ミライヴィアとの相討ちも至らなかった
むしろその後、戦場は宇宙へと移す
この星の人々の祈りを吸い込みミライヴィアは真竜神への真化を果たし、アーゼリスを打ち倒した。まるで王道ファンタジー物語のお約束パータン。
「ぐぐぐ......」
「また何か知りたいことか、余の妃よ。」
「その呼び方やめて...」アーゼリスの胸の前に抱き座って、意外と弱気になるルナティア、心の底から楽しめてるかも知れない「結局、あんたは一体何のためにこの星に来たんだ。」
「開闢の剣。」
「えー?」
「あの剣を頂いて、始まりの三神器を揃え、至高神へと昇格し、竜をすべての宇宙を支配者にする。」
ただの世界征服...まぁ、かつて余もそのようなことをしていたか、次元が違う
そんな単純な願いのために大戦を起こす、お前もある意味純粋だな
「また知らない単語ばかり...信仰、集めないの?」
「そんなもの、集めてどうなる?」
「邪神ども...神々なら、知的生命体の信仰から流れる意識の欠片を収集し、創世の力を錬成し力に変え...っと本に読んだ。」
「なるほど、次元力のため。フン、雑魚のような小細工を。」
「......?」
「所詮無理矢理神の座を近づくとしようの凡骨、あるいは崇拝から生み出した思念の塊。外から次元力を吸収しないと姿形すら保てないだろ。」
すべての神は同じと思ったか、アーゼリスから相当予想外れの知識が教えられた
逆から言うと、信仰を剝ぎ取れば、神の力は失われる
また、信仰を集めれば、神になれる
「アーゼリスは違うか?」
可憐そうに見える顔でアーゼリスに攻める。もう頭は冷やした、これはただの偽装だよ?絶対私の本意じゃないよ?
ってまた“私”を使ったなぁ、俺
「そんな下等の偽神どもを一緒にするじゃないよ?余は世界を支える摂理だぞぉ。下等生物の信仰など要らない、余がここに存在するだけで次元力を生み出す。」
ドヤ顔してる、この人。どれだけに自慢しているだろう。
「じゃ、そんな強いアーゼリスはなぜ、ヴィアちゃんにやられたの?」
くぅくぅくぅ、拒まない可愛い顔で嫌がらせ
その勢いを叩いてやる!
......いや、なんか逆に自分から何か大事なものを失われそうな気がする
「別に、自分の半身に負けでも恥ずかしくはない。」
「はぁ?」
「一万二千年前の神話時代の末に割れた余の半身だ、あいつは。」
平気そうなアーゼリス
「はぁーー?」自分の半身に性的欲望持ってるかよお前!
ってーー
「ちょっと神話時代の末てまた何なの!」
「大したことじゃない、人間に一手図っただけ。」
「あっ、そうー」
冷静に戻ったルナディア。まぁ、人が神を撃って、神話時代の幕を下したのも一応知識内。どんな手を使ったのか気になるが、こいつに聞いても無駄だろ。私だったら同じ、よそ者には味方を倒す術など教えるはずはない
うん...でもこれで前の仮設が成立できないになった
ミライヴィアはアーゼリスと相討ちしない、もう一方アーゼリスも信仰に興味がない
元々余が予想した未来は、ミライヴィアが暴君たる余を倒した後、帝国を継ぐ、よりいい治世を造る
下から上への完全な革命を成すため、敢えて民を反乱させ、余が無理矢理掛けた圧政
それは戦いが勝利した後、逆に彼女の善政を引き立てる......だろう、多分
皇帝たる立場から離れた今から考えれば、滅茶苦茶アホ臭いバカ計画じゃないか!
いくら貴族と軍閥共々掃討するため秘密裏に反抗軍のサポートとかしたでもバカ計画!
昔の自分に向かって「ざまぁー見ろうよ、アホカイザー」とか言いたい!
万死に値す悪役と思われ、倒されても自業自得、うん、もうダメ人間じゃん私!
「ふふふ!」
頭を振って強制冷却
相討ちか、あるいはアーゼリスが勝利しても重傷だから文明を混乱させ、信仰の吸収を図ろうじゃないなら、一体何か起きた、あの頃
初めて自分が死に急いたことに後悔を感じた
「へぇ、また何を考えてる、余の妃。」
「まじやめて......もう!お前じゃないないなら、一体誰かミライヴィアを消せた!」
「知らん。余が倒された後、気づいたもうここにいた。」
「何年?」
「ん?」
「お前の方、あれから何年経った?」
「ああーー丁度一ヶ月くらいかな?」
無関心そうに見えるアーゼリスと転んかけたルナティア
「そんなに短い時間ーー?」こいつも脳天気「仇...復讐とかしたくないか?」
「もちろんしたい。だから彼女の代わりに貴様を余の妃にした。」
そんな理由がよ、このバカ百合ドラゴンーー!真面目な顔でそんな変態発言しないでよ!
まぁ、まぁ!今頃自分一人で厄介だし、一旦こいつを利用させてもらおう。本気でドラゴンの妻とかになるつもりとかはないからなぁ!
ますますと威勢失くしたとは、余も失格だ
「じゃある場所まで少々私と付き合ってもいいだなぁ?」
もうどう呼ばれたか好きにしろ、その力さえ生かせば余も文句はない
「いいだろう。」立ち上がった瞬間、青と赤二色の光がアーゼリスの身に纏う、やがてあの白き鎧の姿に成す「何処へ行きたいか、余の妃よ。」