どうかお許しを、ラーメン。
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「神様、ここに懺悔いたします」
今日も一人、悩める子羊が此処「聖カンスイ教会」へとやってきた。
本日やってきたのは、本人の胴体を一回りほど上回るサイズのリュックを背負った青年だ。
「私は、本日数量限定販売のプラモデル『パワードギアンドロイド・クリエイター ストライク・エイド・ポッド 隠密仕様 クリアカラーver』を買いに向かった家電量販店で、我々オタクと転売屋の人波に巻き込まれ泣いていた少年に、人海をかき分けて必死の思いで手に入れたにも関わらず戦利品を譲ってしまい、良心と欲望の狭間に囚われた衝動のままに自宅のコレクションに当たった挙句に二体壊してしまいました。クーフ、アインフ、ごめんよ。神様、こんな私をどうかお許しください」
ひと通り青年が懺悔した、そののち。教会の奥から現れたのは、金髪碧眼の少女シスターだった。
「あなたのお話、聞き入れました。あなたは少年に施しをしたのですね。素晴らしい行いです」
「とんでもございません、シスター様」
「神はあなたを見ています。必ずや良いことが訪れるでしょう。……へいお待ち。悲しみは、満腹感で晴らしましょう」
跪いている青年の前に置かれたのは、アツアツのラーメンだった。
魚介風味の出汁が効いた、醬油ラーメン。黒いスープを長ねぎ、キクラゲ、メンマ、海苔、チャーシューが彩っている。
「あなたに、神のご加護があらんことを。ラーメン」