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リアの華麗なる冒険譚  作者: ゆうたく
8/9

再会

ジーンはある程度、何がどうなるのか・・・・予想はしていた。


しかしその光柱は、ジーンの予想を大きく上回っていた。


「これが天人の使う魔法・・・・・」


この世界には「魔法」と呼ばれるものがある。


同じ魔法であっても使う人によってその威力、性能が異なる。


ジーンは卓越した魔法使いだ。ジーンよりも優れた魔法使いは歴史上を見ても数えるほどしか

いないだろう。


そのジーンが感嘆するほどのものだったのだ。


彼女、リアの放つ光柱は・・・・・・・


ジーンはリアに「知らない」と言ったが、リアの父である、「ネスタ=ヴァレンティ」という人物の事をジーンは知っていた。


そしてネスタが天空人である天人と恋仲であった・・・そんなプライベートなことも知る仲だった。

だから、その娘のリア=ヴァレンティが天女の血を引く者だと、すぐに分かった。


そして、リアがこれから陥るであろう困難に対して、どれほど手を貸せば解決出来るか・・・・


それを考えて、ジーンはレイトに魔石を渡した。


おそらくそれがあれば困難を打破出来るだろう・・・・。


そして、それは予想通りだった。


予想通りで無かったのは、天女の血を引く者の魔法を使う威力であった。


前述したが、魔法というものは使う者によって威力、性能が異なる。


人間がAという魔法を使うのと、神がAという魔法を使うのでは威力が天と地の差がある。


人は、ジーンは、その威力を神の使うそれに近づけようと努力していた。


しかし、残念ながらそこには埋められない如何ともしがたい差・・・・・というものが存在する。


「魔力」という精霊の力、この世を作り出す生命の力、太源よりにじみ出るもの、その人にはおよそ知覚できない力を上手に使うには、その神秘で体が構成された者の方が効率よく使える。


人間の体はおよそ神秘で構成されていない。人間は基本的に物理的な物質で構成されいている。人間の体で神秘の力が使われているのは魂くらいのものだろうか。


ゆえに、人間は神秘の力をほとんど使えない。人が人である限り、神の使う魔法ほどのものは使えない。


でも、天女の血を引くリアの体は人間よりも数倍多くの神秘の力によって体が構成されている。(おそらくリアはそのうち、「空を飛ぶ翼、未来を見通す眼、人を惑わす声、、、などを手に入れるだろう・・・)


ゆえに、リアは一般的な人の使える魔法の数倍から数十倍、もしかしたらそれ以上の力を使える体を持っている。


「少し・・・悔しいわね・・・・」


ジーンは魔力効率を上げるために、今までどれ程の苦労をしてきたのか・・・・。その努力で得られたものを、あっさりと、リアは越えてしまっているのだ・・・・・・。


しかし、悔しいとは思ったが、ジーンは達観した考えの持ち主だった。それはそれ、これはこれ。


リアに魔力で負けたからと言ってジーンの価値が下がるわけではない。


人の身でありながら、人の力を越えた魔力を得ているジーンは感嘆に値する人間だ。


魚と泳力勝負に負けたから言って、人の価値が無くなるわけではない。人は敗者では無い。


それは自分で分かっている。


でも、、、少しだけ、、、こうまであっさりと抜かされる・・・・と・・・・少し悔しい、、、、、


ただそれくらい思うのは許されるだろう・・・・・・


そんなことを思いながらジーンは、光柱の元・・・・そこに居るであろう、リアの元へ向かった・・・・・・







リアはジーンと対面する。

リアは複雑な気持ちだった。


ジーンはリアを、バドラックと共に陥れた人物。

あの時の恐怖と絶望はこの世の終わりを思わせるほどだった。


その責任の半分はこのジーンにある。


リアはジーンによって傷つけられた。


でも・・・・・・


「なぜ・・・助けてくれたんですか??」


ジーンの助けが無かったたらリアはもっと恐ろしい事態になっていただろう。

リアを陥れ、リアを助ける・・・・


ジーンの行動にはリアは理解が出来なかった。


良い人なのか、悪い人なのか。非難するべきなのか、感謝するべきなのか


好きと嫌いと言う正反対の感情が混在する人間をリアは今まで見たことが無かった。


そんなリアの複雑な視線を、ジーンはにっこり笑って答える。


「世界は正負、善悪の二元論では語れないってことね」


謝るでも、誇るでも無く、ただ平然と、自然とジーンは世界の理を語る。


リアはそんなジーンを・・・嫌いにはなれなかった。(私に酷いことをした人なのに・・・・。)


いや、むしろ・・・・好き・・・なのかもしれない。


だから、ここでお別れというのを少し悲しいと感じてしまっていた。


しかしこの人は私に酷いことをした人だ。その事実は忘れることは出来ない。

その事実がある限り、友達になることは出来ない。


「じゃあ、さようなら、ジーン」


リアはそう言って、踵を返す。レイトもジーンに頭を下げ、リアに続いた・・・・


いや、続こうとした。


が、それをジーンが制止する。


「待って」


何事か?と思ってリアとレイトはジーンの方を振り返る。・・・・が


「ああ、、いいの、リアちゃんは。私が用あるのはレイト君♡」


「え??」


リアの頭には再度「???」が浮かぶのだった。

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