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リアの華麗なる冒険譚  作者: ゆうたく
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リアの知らない物語

これはリアが窮地に陥る少し前の話・・・・・


ジーンは風の洞窟から出ようととぼとぼと歩いていた。


「ネスタさんの娘さんだったとはね」


世の中広いようで狭い・・・。


それともあの子の持っていた強運??


窮地に陥ってもなお救いの目がある状況・・・・にジーンは少し天運というものを感じていた。


「でも、ネスタさんの娘さんだったらありえるかな・・・・」


ジーンが歩く先には王国騎士が居る。


ジーンはまっすぐに出口に向かって歩いている。だから、彼らに会わなかったら、そのまま自宅へ帰るところだった。


でも、再度、彼らと遭遇する・・・・・。


「偶然にしては出来過ぎよね・・・・・」


ふふ・・と、笑みをこぼしつつ、ジーンは彼ら、王国騎士団の元へ歩き出した。





ーーーーー視点変更。魔女ジーンから王国騎士のレイトに。



「貴方、リアちゃんの知り合いなの??」

一人の魔女が王国騎士に話しかける


仕事の最中、声を掛けられ驚く一人の王国騎士、レイト。


レイトが見ると、(さっきまでリア姉ちゃんと一緒に歩いていた魔法使い?)


の女性だった。


「そう・・・ですけど??」


何か用なのだろうか??と返答するレイト。


「リアちゃんが今大ピンチなのよ」


何が大ピンチなのか・・・・??全く焦りを見せず、ゆっくり話す魔女に少しレイトはツッコミを入れたくなる。


が・・・・。


そのへらへらとした態度とは裏腹に、真剣な目をしている魔女を見て、レイトは真にリアが何かのトラブルに巻き込まれていると察する。


「察しが良いのね。なかなか優秀じゃない?」

レイトが事態を瞬時に把握したことを見て、ジーンは感嘆の声を上げる。


「どこです?」

そのお褒めの言葉は完全に無視して、レイトは聞きたいことを完結に尋ねる。


「奥の広間」


そのジーンの返答を聞くやいなや、レイトは疾風のように駆けだそうとして・・・・


ジーンに静止される。


(うご、、、けない??)


(魔眼!?)


というやつなのだろう。完全に体が硬直していた。


(この魔女は、、、)


何か卓越した人間なのだろう・・・・


レイトはジーンの底知れぬ能力の高さに恐れを抱く。


「頭は回るようだけど、、、、少し経験が浅いようね。若さかな??」


焦るレイトを微笑みながらゆったりと値踏みするジーン。


そのジーンに、レイトは強い口調で


「何をするんです?早く解いてください。リアがピンチなんでしょう??」


怒号をあげる。


しかしやはり柳のように、ジーンはその文句を受け流し


「焦りは失敗を生むわ。落ち着いて行きなさい。」


と、若い騎士に教えを伝えるのだった。


「・・・・・・・・・・」


レイトは確かにその通りだと思った。確かにあのまま駆け出していたらジーンの持っている情報の全てを

聞くことは無かっただろう。

そこにもっと重要な情報があったとしたら・・・・??


話を聞かなかったことは大きな落ち度となる。



そして、、、、


「風の呪文をかけてあげる。」


ジーンはレイトの額に指を当て、何やら聞きなれない短い言葉を口にする。


瞬間・・・・・体が軽くなり、力が湧いてくるようだった。


魔眼が解かれているのを感じる。


身体は自由に動く。


「それと、これをリアちゃんに渡しなさい」

「きっと必要になるでしょう」


そう言ってジーンはリオウにに仄かに緑に光る小石を渡す。

光っていなかったらそこら辺にあるただの石ころにしか見えなかった。

光ってはいるが、熱くも冷たくも無い、、、、不思議な石だった。


「これは?」


と、聞こうと思ったが、その言葉を遮って、ジーンは発言する。


「急ぎなさい。命には別状は無いかもしれないけど、大切なものを失ってしまうかもしれないから」


その言葉を聞き、一拍置いて、リオウは駆けだした。


あっという間にジーンの視界からレイトは消えてしまった。


「優秀ね・・・・」


ジーンはにこにことほほ笑む。


「私にとってもなかなか良い収穫だったわ」


なにやら独り言を呟いてジーンは再度出口へ向かって足を運ぶ。


これが。天運・・・・なのだろう・・・・・


「末恐ろしいわね・・・・・」


ジーンは独りぶつぶつと呟いて歩いていた・・・・







ーーーーーーー再度視点が魔女ジーンに移る




ジーンが風の洞窟を出ると、人の丈ほどもある大柄なネコと、一羽のカラスが待っていた。


「どうしたのニャ?早く帰るニャ、ジーン」


さっさと箒に乗って自宅へ帰るのかと思いきや、その場で昼寝を始めるジーンに大きなネコはジーンに疑問を投げかける。


「少し、待っていましょう。新しいペットを捕まえたから。もしかしたらオマケが付いてくるかもしれないけどね・・・」


ジーンはそう言うと木漏れ日の落ちる草むらに寝転んだ。


「また、下らない遊びを始めたのか、ジーン」


何やら状況を飲み込んだと思わしきカラスがジーンに対して心底面倒臭そうに声を漏らす。


「さて・・・、リアちゃんは助かるかな・・・・」


天はどちらへ転ぶのか。


私に出来ることはここまで。


その時を楽しみに、ジーンはその場で眠りについた・・・・・・







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