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機改戦争  作者: 丸ねこ
3/6

デアイ

「着いた……って」


 俺の目には、ただの砂漠が広がっていた。


「待ってな」


 そう言ってレイドが無線を取り出した。


「こちら第一支部のレイド、アンナと共に、新たなファイトドールを手に入れた。追手などの気配もない、入れてくれ」


 そう言って無線を切る。


 すると、地面がグラグラと軽く揺れ始める。


「あれは……」


 砂の中から、小さなコンテナのようなものが出て来た。


「あれはエレベーター、あれに乗れば第五支部内に入れるって訳」


 アンナさんがそう言うので、俺は。


「わざわざ地下に?」


 そう問うとアンナさんは。


「最近は少ないけど空爆もあったからね」


「……そうでしたか」


「おら、ぼさっする時間は終わりだ、入るぞ」


 そう言って、レイドはコンテナ内に車を入れる。


「けほっ、ちょっと待ってレイド、マスクを……」


「あ、あぁすまん」


 アンナさんが防塵マスクを付けたのを確認したレイド、俺の方を向いて」


「どうだ? お前は苦しいか?」


「いえ、なんともないです」


「ははっ、それはお前の体が機械で出来てる証拠だろうな」


 そんなこと、俺はそう言おうとしたが、どうせまたすぐに足蹴にされる。


 そう思って何も言わなかった。


「地下何メートルにあるんです?」


 振動とモーター音に暗闇、俺が聞くと。


「150メートルが最上階、地下に出来たビルみたいなものだから、もっと深くもあるよ」


 アンナさんはそう言った。


 ガコン、という音と共にエレベーターが止まった。


 入った時と反対の方向の、ドアが開く。


「食料も少しあるからな、ガキどもに渡す分くらいってところだが」


「俺を探している間に、そんなものまで?」


 レイドが車を前進させながら。


「あぁ、途中に古い支部の跡地があったからな、そこに保存食糧があった」


 レイドが車を、広い通路の中央に止めた。


「さて、お前ら、大丈夫だから銃を降ろせよ」


「え?」


 俺はレイドの言葉に、顔を左右に振った。


「上だよ」


 アンナさんがそう言う、俺は上の方を向いた。


 10人前後だろうか、銃を構えた者たちが、ガラス越しにこちらを監視していた。


「全く、相変わらずのお出迎え」


 アンナさんがそう言ってため息を吐く。


『ごめんねー、前に途中でハックされたファイトドールが居たから。それを警戒ししてるんだ』


 頭上のスピーカーから、若い男らしい声が聞こえた。


「そんなの分かってるよ! それより、新しいファイトドールの性能! そして数々の武器! 要らない?」


 アンナさんが言うと。


『それは実に興味深いねオオルリ』


 そう言って、スピーカーがブツリと音を出して途切れた。


「どうしたんですか?」


「あぁ、多分直接来る」


 レイドはそう言って、車から降りた。


 俺も降りようとすると、レイドに制止された。


「ハックの可能性、って言ったよな? それをここの連中は警戒している、だからお前は車の上で待機だ」


「その、ずっと気になっていたんだけど、ハックって言うのは?」


 やっと気になることを聞ける、と俺は反対側に降りているアンナさんに聞いた。


「キルロイドの干渉で、ファイトドールからキルドールになることだよ」


「……俺がそうなって、ここに人たちを殺すと?」


 俺が声を曇らせて言うと。


「実例があったから、悪いけど否定できない」


 と、ここで通路の行き止まり、だと思っていたところが開いた。


「やあやあ、レイド、オオルリ。それと、そこの子の名前は?」


「俺は……」


 まだ良く見えない青年の声に返そうとしたが。


「ごめんね~、レイドが強制起動したせいで記録障害なんだ。一応アインって名前をつけた」


「アイン? あぁ、昔の数字で1って意味だね」


 そこまで言って、俺はやっと青年の姿を見れた。


 短い茶髪、オレンジ色の瞳、歳は15くらいだろうか、随分と若く見える。


「リト、早くハック検査して、銃を降ろさせてよ」


 アンナさんが不満そうに言う。


「まあまあ、君。記録障害って?」


「……なんで記録なんですか、記憶じゃなくて」


「ねえ、二人とも、この子もしかして……」


「あぁ、自分を人間と勘違いしている珍しいタイプだ」


 レイドが言うと、リトと呼ばれた青年は目を輝かせて。


「それは実に興味深い! と、ハック検査だね」


 リトは、俺の頭の辺りに何かの装置を近づけた。


「……おかしいな? 壊れたのかな」


 怪訝な顔をするリト。


「俺で試してみろよ」


「うん、そのつもり」


 リトはレイドの頭付近に装置を近づける。


 装置の根元の電球が青く光った。


「壊れてないね、じゃあもう一度……」


 しかし、俺の頭に近づけても、装置は何の反応もしない。


「オオルリ、この現象の可能性、何個かあるかい?」


「……一つだけなら、OSが全く違う?」


「ご名答、僕もそう思った」


 そう言って、リトは手を差し出してきた。


「僕はリト。リト・アルヴェル、第五支部にようこそ」


「俺は……一応アインって名前で良いです、記憶ないし」


 そう言って、リトの手を掴んで、俺は車を降りた。


 それと同時に、上で銃を構えていた人々が下がるのが見えた。


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