表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機改戦争  作者: 丸ねこ
2/6

セカイノユクエ

何だコレ……」


 レイドとアンナさんの後に続いて外に出た俺は、景色を見て驚いた。



 見渡す限りの荒野。


「えっと、アンナさん、これは一体」


 そこまで言った俺に、アンナさんはマントを差し出した。


「これ、被ると光学迷彩になるように設計してあるから、被って」


「え? なんのために?」


 俺が問うと、アンナさんは小さい呼吸の後。


「シェルターに居る人間約200人、ファイトドール、ドール、あわせて総勢300の存続に関わる」


「……」


 正直混乱したままだった俺だが、行動一つで全てが変わる。俺は直感でそう感じて、おとなしくマントを羽織った。


「人工衛星も95%はキルロイドの管轄下なんだよ、5%はアンナが何とか奪い取ったんだがな」


 これまでこちらを見ているだけだったレイドがそう言った。


「え? それって」


「アンナの頭脳は俺らより、機械よりもはるかに上だ」


 そこだけが疑問ではなかったが、俺は頷いて、ボロボロの車に乗った。


「ここからだと第五支部が近い……リトもいるし、丁度いいね」


 GPSらしきものを見たアンナさんがそう言う。


「……そうだったな、リトも功績があった、あいつも居なければ衛星奪取は難しかっただろう」


 そう言って、レイドは車をゆっくりと走らせる。


「あの……」


 しばらく乗っていた俺は、小さくアンナさんに問いかけた。


「俺は本当に何もわからないんです。だから、この世界の状態が知りたい」


 俺がそう言うと、アンナさんはにっと笑った後。


「人間人口30万、核による環境汚染、草一つ生えない大地」


「30万……? 確か、70億は居た筈では?」


「70億? なるほど」


 俺の問いを聞いたアンナさんはポンと手を叩いた。


「人口70億、それが君がいた頃の時代の背景だね」


 そう言われて、俺はハッとした。何故、70億という数字が自分から出たのだろうと。


「あ、レイド、かなり距離が離れたし、自爆装置作動よろしく~」


 俺の考えをよそに、また物騒なことを言いだした。


「あいよ」


 レイドは胸元から取り出した装置のボタンを押す。


 ドン! と大きな音が後ろから聞こえた。


「これでここいらのキルロイドはあそこに釘付け、まあ正面通られたら不味いんだけど」


 アンナさんはそう言って、後ろを見た。


 あとにつづいて、俺も後ろを見る。


 小さなきのこ雲が、空に上がっていた。


「あー、事後連絡になっちゃったけど、これで君も『帰る場所』が消えたね」


「……」


 俺は黙り込む。


「あ、機嫌を損ねた。よく出来た感情回路だね」


 そう言って、アンナさんはクスクス笑う。


「だから、俺は人間です」


「まぁ、今はそういう事にしておこうか、現実を見れば、嫌でも認めざる負えないしね」


 そうして、俺たちは目的地、第五支部に着いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ