満月の夜のゲーム
ゴーーーン ゴーーーン
広く四角い真っ白な部屋に、金の音が鳴り始めた。
そしてゆっくりと、隣で寝ていた人達が目を覚ましだす。
「体中が痛ぇ…何だよここ気味悪い。」
明るい茶髪の男子が呟く。確かに体はオレも痛い。殴られたような、そんな感覚がある。
キーーン…と不快な音が上方から流れた。壁に付いているスピーカーからのようだ。
「あー。えー、皆さん目を覚ましたようですね。」
何とも気だるそうな声が聞こえる。折角脳が覚醒しそうだったのにまた眠気が襲ってきた。
「まぁ、私が今回の…えー人狼ゲームのゲームマスターです。よろしく。」
人狼ゲーム?聞き慣れない単語に首を傾げていると、横のいかにもギャルっぽい女子高生が話しかけてきた。つか青髪って。どこの高校だよ。
「なに?あんた人狼知らないの?」
「生憎知らないな。」
「マジ?かわいそ。」
おい。何勝手にオレをぼっちにしてるんだ。いやまぁ、否定は…しないけど、さ…(泣)
「んん。お静かに…。これから人狼ゲームの説明を…したいところだけどダルイから手元の説明書読んでね。じゃ」
おい、ゲームマスターとやら。
マスターとかならちゃんと説明しろや。
そんな事を愚痴りながらポケットの中の説明書を読む。
ーーーーーーーーーーーーーーー
人狼ゲーム
人数 8
役 村人3人
人狼2人
狂人1人
占い師1人
ボディガード1人
ルール 村人陣営と人狼陣営で別れ行われるゲーム。
毎晩9時に中央広間に集合し投票によって人狼だと思われる人を投票し処刑。
毎晩12時に人狼は自分以外の人を襲撃。
人狼が0人になれば村人陣営の勝利。
村人陣営と人狼陣営の人数が同じになればその時点で人狼陣営の勝利。
負けた陣営は強制的に脳内の爆弾が爆発。
(ここでの村人陣営というのは人狼でない人間6人を指す。)
違反行為 投票をしない
投票または夜の襲撃時以外で人を殺害
ゲームが始まった後に役カードを他人に見せたり他人のを見たりすること。
違反行為を行えば発覚した時点で脳内の爆弾が爆発。
役の担当
村人 人狼を探せ。
占い師 毎晩1人だけ出せが何の役かわかる。
ボディーガード 毎晩襲撃される誰かを守ることができる。但し選ぶのは自分であり、確実性はない。自分は守れない。
狂人 人狼が誰か分かる。人狼陣営が勝つことにより勝利する。占いでは村人判定。
勝利報酬 望むこと全て。
ーーーーーーーーーーーーーーー
とりあえずさ。脳内の爆弾って何や、おい。
まぁルールは分かった。建物を見る限り出口はない。監視カメラがあちこちに設置されている。
「マジかよ。リアル人狼ゲームじゃん…。」
するとさっきからゴソゴソしていた男が口を開く。
「お、おい!見ろこれヤベえって」
黒髪だがチャラそうな男が小さな箱を開けていた。中にはかなりの大きさのナイフが横たわっている。
きっとこれを使って処刑やら襲撃やらしろと、そういうわけだな。
状況は大体掴めた。
「み、みんな!一回自己紹介しない?名前も知らないし…」
茶髪で長髪な女の子が提案をする。
特に断る理由もないので了解する。周りの人たちも同じように同意していく。
中央に置いてある十人掛けのテーブルの周りに人が座っていく。オレもそれにならい一番端に座った。
同じように一番端に座ったさっきの女の子が口を開く。
「私からだね。ミクって言うんだ。よろしく」
美少女だ。学校でも人気があるだろう。優しそうな雰囲気も漂っている。
「そこの君、いいかな?」
ミクと呼ばれる少女がオレの方を向く。
「ケイセイだ。よろしく」
とりあえず名前だけ言っておく。この場では趣味とかを言う必要もないだろう。その後も自己紹介がなんとなく続いていった。
簡単にまとめるとこうだ。
ミク 可愛い 茶色の長髪
カエデ ギャルっぽい 青の長髪
ハヤト いかにもなイケメン 茶色の短髪
スミ 元気がある 茶色の短髪
タクミ インキャっぽい(失礼) 黒の長髪(首ぐらいの)
マナブ キレやすそう 黒の短髪
シノ 物静か 黒の長髪
ちなみにオレはケイセイ、黒の短髪で普通の高校生だ。
自己紹介が終わり、ミクが口を開く。
「取り敢えず9時だっけ?それまでは自由でいいんじゃないかな、まだ何もわからないし。」
反対するものはいない。こんな段階で無駄に話し合いをした所で圧倒的情報不足により行き詰まること間違いなしだ。
ここでオレのポケットに入っていたカードを見る。
どうもオレは運が悪いのかもしれない。人狼だった。
もう1人の人狼の名前も書いてある。
もう1人の人狼は…ミク。か
へぇ。
「アハハー…人狼だったかー。あんまり自信ないなぁ。」
この建物には8つの部屋がある。それぞれの部屋にオレたちの一人一人が振り分けられた。
オレはミクを部屋に連れ込んだ。
ちょっと待て。違う、オレはやってない。こうして作戦会議をしようとしているだけなんだ。いやマジで。
ちなみにその部屋の鍵はその部屋の主と人狼だけが開けられるらしい。人狼は夜の12時以降に開くことができる。
「どうする?ケイセイくん。」
と聞くミク。
やめてっ。そんな期待したキラキラした目で見つめないで!溶けちゃうからぁっ。
「あー。まぁ、取り敢えず占い師を見つけて処刑に持ってくのが1番合理的だな。」
占い師というのは人狼がゲームで勝つ際に非常に厄介な存在である。その存在を手っ取り早く
消去するのは当然の行動だろう。
「取り敢えずオレがなんとなーく合図をするから、その時に自分が実は占い師だったという事を明かして欲しい。出来るだけ真面目な雰囲気を出して嘘をついていないって思わせるんだ。」
「私がっ!?大丈夫かな…」
「大丈夫だ。自己紹介の時にほとんどの人はミクに対し好印象を抱いたはずだ。疑われはしないだろう。取り敢えずはそれでいい。」
ミクは暫く悩んだような素振りを見せた後、
「うん!分かった。あんまり長い事いると怪しいからもういくね。バイバイケイセイ君。」
「ああ」
目が覚めたら真っ白な施設にいて、殺し合いのゲームをさせられる。まるでラノベの世界だが、今現実に起きている事だ。未知の世界にオレは少しだけだが、ワクワクしていた。




