シスコン義兄に溺愛されていたはずだったのに...!
「おーい、華蓮!一緒に帰ろうぜ!」
6時間目の授業が終わってすぐ教室には1人の男が来た。
その男の名前は高梨和斗。
見た目はモブに出てくるような普通であり成績なども特筆するような点はない男だ。
ただ1つ特徴を上げるとすれば地元でも有名になるほどの超シスコン男である。
「華蓮ー?」
そう呼び掛けながら和斗は1人の女子に近づいていく。
「うわー、見つかっちゃったー。マジ面倒臭い」
そうやって愚痴を零しているのは和斗の義妹である高梨華蓮。
義兄の和斗とは違って容姿端麗、成績優秀。
非の打ち所がない完璧美少女である。
「あはは、シスコンのお兄さんがいる人は大変だねぇー」
「ほんとよ!私に構ってないで彼女でも作ればいいのに!」
「華蓮ちゃんが作ればいいんじゃないの?」
「そうね…」
…
「華蓮?どうしたんだ?」
「今日は友達と遊ぶ約束してるから先帰って」
「は?兄を差し置いて友達と遊ぶなんて許せん!俺もついてくぞ!」
「キモいし来ないでよ変態!」
「へ、変態だと…」
そのような会話をしながらとぼとぼと1人で帰っていく和斗。
この光景が日常茶飯事である。
……side華蓮……
ある日
「華蓮さん!ずっと前から気になってました!もし良ければ付き合っていただけませんか!」
私の目の前にはイケメン君がいる。
いわゆるクラスカーストトップに入るグループのうちの1人である。
同じクラスになってから私によく話しかけてきてくれる人だ。話していて楽しいと思うし優しい。告白されることも多いが今までは義兄のことが気になって全て断っていたが先日友人に言われた「彼女でも作ればいいんじゃない?」
という言葉を思い出した。
この人なら付き合ってみるのも悪くは無いんじゃないかなと思った。
「私は別にあなたのことが好きでもないけどお試しでもいいなら…」
「ホントですか!お試しでもいいのでよろしくお願いします!」
こうして私に彼氏が出来た。
これで少しは義兄もウザくなくなるかしら…
……side和斗……
「私、彼氏が出来たからもう絡んでこないで」
夕方、華蓮が家に帰ってきてそう言った。
「は?相手は誰なんだ!」
「同じクラスのイケメン君よ」
「……そうか……おめでとう」
「…ありがとう…」
安心した。俺も華蓮のクラスによく行くから知ってはいたがあのイケメン君か。彼ならば悪い噂は聞かないし見ている限りは心優しい紳士的な青年だと思うから華蓮もきっと幸せになれるだろう。
良かった…
そもそも俺は本当はシスコンなんかではない。
華蓮は幼い頃に両親をなくしてしまって親戚の知り合いだった俺の両親が引き取った。
死因は交通事故で華蓮だけが助かったそうだ。
当然華蓮は事故の様子も見ていて両親が亡くなった場面も見ている。そのため家に来た当初は酷かった。
誰とも目を合わせようとせず言葉もほとんど喋らずといった感じで学校には行っていたが友達もおらずずっと悲しそうな顔をしていた。
そこで俺は家族になった身であるからには華蓮にも幸せに生きて欲しいと思うようになり学校でも家でも華蓮にひたすら絡み続けた。
恐らく華蓮からしたら相当ウザかったんだろう。
暫く経ったのち、華蓮は怒りを俺にぶつけたことを切っ掛けとして俺にはキツい態度をとるようになったが少しずつ他の人とも話せるようになっていった。そうして執拗に学校でも絡んでいる俺という存在がいることに同情した子達が話しかけるようになり友達も増えて楽しそうにし始めた。
つまり、俺という存在が華蓮を救ったと考えても良いだろう。その結果俺が悪者みたいな扱いになったが家族が幸せそうにしているんだから些細な事だ。
そういった過去があったわけだがイケメン君ならばきっとより幸せにしてやれるだろう。
これから俺は要らないかな。
……side華蓮……
最近、義兄の様子がおかしい。
私が彼氏が出来たと言った時からだろうか。
前はウザイくらいに絡んできた癖に今は1度も話さない日もあるくらいだ。
イケメン君との交際は上手くいっている方だと思う。好きだという気持ちは全く湧いてこないが。
一方で義兄は落ち着いた雰囲気のいかにも大人って感じで不覚にも少し気になってしまう。
これもきっと日々のウザ絡みが無くなった反動で気になるだけだろう。決してそんな気持ちではないはずだ。
彼氏が出来てから一月経った。
もうしばらくの間義兄と話すことが出来ていない。義兄に絡まれなくて友達やイケメン君と過ごす時間が増えたがなんだか寂しくて学校も楽しくない。
何故かはわからない。わからないと思うようにしないとダメな気がしてしまう。
3ヶ月経った。
悲しい。寂しい。辛い。
負の感情ばかりが浮かんでくる。
学校では義兄のシスコンが治ったと噂になっていて義兄が私以外の女と話しているのを見てモヤモヤすることがある。
そうか…やっぱり私は…
自分の気持ちに正直になろうと思う。
自分の気持ちに正直になってから数日経った。
今まで堪えていた分我慢できなくなっている。
毎日毎日頭の中は和斗の事ばっかりだ。
いつも何しているのか知りたい。何考えているのか知りたい。暴走気味だっていうことは自分でもわかっている。でも抑えきれないんだもん。仕方ないよね。
和斗の部屋に隠しカメラを仕掛けた。
ついでに何枚か下着とかも頂戴した。あ、あと歯ブラシとかも私のやつとすり替えておいた。
和斗のこといっぱい知りたいな…えへへ…
私が部屋にいる和斗のことをカメラを通して見ているとベッドの中でもぞもぞやり出した。
あれ、これって男子がやるやつだよね!?義兄も思春期だし…み、見ててもいいよね?
義兄のを見ていると私まで興奮してきちゃった。
あ、義兄の行為後の下着欲しいな…とか考えているとpcの画面がチラッと見えた。
そこに映っていたのは私に少しだけ似ている女子高生だった。え…?なんで他の女で…
和斗には私だけを見てほしいを私だけを愛して欲しい。するなら私にして欲しい。私の中でドロドロとした感情が渦巻いていく。血は繋がって無いんだし大丈夫だよね…?
我慢できなくなった私は義兄の部屋に突撃した。義兄はビックリしてたけど触ってあげると大きくしてた。少し誘惑したら襲ってきた。うふふ、やっぱり男の子なんだ。私以外を見れないようにしてあげるから覚悟しててね?
そう考える華蓮の瞳に光はなかった…
いかがでしたでしょうか
初めてちゃんとした物語を書いたので至らない点も多いと思います。
コメント等頂けると嬉しいです。