角兎の家
角兎達と共に家に帰ってきて、まずやらなければいけないことはこの子達の家作りだった。
家で飼ってた時には、ゲージで飼っていたけど、沢山いるからそういうわけにもいかないし木とかで自然に近いほうがいいのかな......と悩んでいると
<角兎達の言葉を理解すればいいのでは?
ホーン草とヤーク草で作れますが>
ホーン草とヤーク草ねぇ......翻訳ね!!
駄洒落とかではないんだよね......
考えても仕方ないか。
作ってみよう。
まずは、ホーン草をサーチすると、家の敷地内に生えていた。
続いてヤーク草も敷地内にあった。
「これって......」
<神様からあなたが困ったときに使えるようにと、ここにしか生えていません>
「神様......こんなに私だけ色々貰ってて大丈夫なのかな......」
<問題はありません。
知識とアイデアがなければ、アイテムも使いこなせず、生活も豊かにはなりません。
すべてあなた貴方次第なのです>
「ナビさんにはこれからもお世話になるんだし、トーカって呼んでよ。
生前は独りぼっちだったから、沢山本を読んだだけ。
でも、こんなふうに役に立つんだから、無駄にはならなかったね」
<分かりました。
これからは、トーカとお呼びします。
早速作ってみましょう>
錬金窯にホーン草とヤーク草を入れて出来上がったのは、全ての言葉を理解できるという、とんでもない薬だった。
こんなものが作れるとなれば、静かには暮らせないだろうと思うが、ここには誰もいないので、安心して使うことにする。
めっちゃ緑色で、マズそうだったが、飲んでみたら癖もなくすんなりと飲むことができた。
そして、角兎達のところへ行き、分かるか試してみる。
「君たちの家を作りたいんだけど、どうしたらいい?」
『我々の言葉が分かるのですか!?
我々は元々森で暮らしておりましたので、木の下や穴など、雨風防げれば大丈夫です』
「自然に近くすればいいんだね。
ちょっと待ってて......」
家を出て少し森に入ると、ガジュマルに似た苗木があったので、錬金窯に入れ、それをベースにして家のイメージをしていく。
ガジュマルは聖木としても知られている為、聖水も入れる。
枝から出る無数の根を支柱にし、中に穴を造り、外から入りやすくし、木の中に階段と二階を作るイメージをする。
——どんっ!と大きな木の家が出てきて、角兎達の耳がピンと立ち、何匹かは立ち上がって様子を伺って居た。
『凄い!!
木の家がこんなに簡単に出来てしまうなんて......』
「凄いのはこのアイテムであって、私の力ではないんだけどね」
『そんなことはありません!
アイテムというものは、使う者によって効果が違うと言いますから、主様の力でしょう』
「そうなんだ......ありがとう!
少し自信が持てたよ!
所で君たち名前がないと呼びづらいんだけど、聞いてもいい?」
『我々に名前はありません。
もし、よろしければ、主様に付けて頂くことはできますか?』
「私が名付けてもいいの?
簡単な名前しか思いつかないんだけど、いいのかな?」
『付けて頂けるだけで光栄です』