第151話 目指せ最深部#2
レベル2の扉を肉塊のようなファンタズマで突破出来た。しかし、再び追われる結果になったことだけは否めない。
このまま逃げ続けることだけを考えていれば余計な時間を食われるだけだが、戦うことになれば恐らくもっと戦うハメになる。
どこかであのファンタズマを巻く必要がある。だとしても、一体どこでどう巻け場いいのだろうか。
隠れる? 何かを壊して道を塞ぐ? それとも敵にぶつける?
どれも微妙だな。壊すことは俺達が帰り道がなくなる可能性もあるし、敵にあのファンタズマが操作できる場合さらに敵が増えるだけだ。
一番妥当そうに見えるのが隠れるだが、どのくらい隠れる必要があるのか。あんまり時間をかけ過ぎれば成功率が下がる。
大きなも目的はこの研究所の破壊だけど、他にも重要参考人......つまりは製薬会社の社長を捕まえることも出来れば視野に入れたい。
ここで逃すことになればまたどこかで同じようなことが起きるだろう。ファンタズマを研究して人間を超えた力が手に入るってんなら、裏でいくらでも取引される。
俺は走りながらマップを見る。すると、マップにある点はある部屋で止まっているが、上方向に少し長く伸びている。
これは目的地が現在よりもさらに下にあることを示している。ってことは、どこかで下に降りなきゃいけねぇってことか。
......はは、ほんと俺って無茶なことばっかり思いつく名。けど、上手くいけばワンチャン無力化できるし、できなくても動けなくすることは出来るかもしれない。
「結衣、ごめん無茶やる」
「大丈夫。今度は私がいる。凪斗に怪我はさせない」
「ほんと心強いよ。目的地はこのまま走った先にあるエレベーターだ」
そして、背後からドシドシと容赦なく追いかけて来る音を聞きながら俺は咄嗟に背後に振り向き電撃を放つ。
不意打ちにファンタズマは対応できずに直撃して体を痺れさせる。その間に俺と結衣はエレベーターに乗り込み、下側ではなく上側にボタンを押していく。
そして、エレベーターに乗ってからが勝負だ。素早くエレベーター内の天井を破壊して上に出ると同時に結衣にはエレベーターの下にある機械式安全装置を破壊してもらう。
機械式だからモーター式のこのエレベーターには何の影響もない。そして、上に移動しながら音を待つ。いつだ。いつ来る?
――――ドガンッ
「今だ! 上に跳べ!」
俺と結衣は大きくジャンプすると同時に俺は威力を高めた電撃をエレベーターに向かって放つ。
その電撃によって故障させたエレベーターはだんだんと上に上がっていく速度を落としていき、やがて一瞬制止する。
「蹴り落とせ!」
そこに俺と結衣はエレベーターを思いっきり真下に向かって蹴り飛ばした。すると、エレベーターは湯初速で一気に落下していき、さらに重力加速度で速度を少しずつ上げながら落ちていく。
「グギャア!」
何かが醜く潰れたような声で鳴いたのを聞いた。恐らく俺達を追いかけてきたファンタズマであろう。
あそこまでしつこくついてきたんだ。しかも人型であるということは多少なりとも知能があると踏んでいたが正解だった。
まあ、エレベーターのロープにまでしがみついてやって来たのは不正解だと思うけどな。
俺と結衣はロープに捕まりながら、真下にオレンジ色の火花を散らしながら落ちていくエレベータを眺める。
「一先ず、あの追ってからは何とかなったな」
「けど、帰るの面倒になったね」
「俺達の身体能力ならロープさえあれば十分だよ。それよりも下を急ごう」
そして、ロープを伝いながら下に落ちていく。確か消防署にこういうショートカットように一階と二階部分が繋がったところに棒みたいなのがあったよな。
少しして一番下にあるエレベーターの入り口が見えた。真下には軽くへこんだエレベーターとその下から赤い血のようなものが溢れだしている。あれ? ファンタズマの血って赤色だっけ?
俺は何か不可思議なことを見ているような感じがしつつも、先を急ぐために入り口を蹴り壊して進んでいく。
ここは確か地下3階辺りだったはずだ。エレベーターのボタンにあったから。となると、ここが最深部ってことになるのか?
いや、まだそう決まったわけじゃないな。恐らくどこかにまた地下へと続くエレベーターがあるかもしれない。
さて、マップを見ながら進むとするか。ん? でも、マップ的にはここを道なりに沿って右に曲がったところが目的地になっているぞ?
ってことは、ここは最後でやっぱいいのか? いや、とにもかくにも先に進んでみよう。
俺達は慎重に歩いて進むことにした。急がば回れの精神だ。焦っている時こそ冷静に。とはいえ......
「人の気配はおろか警備ロボットの稼働音もしない」
「それな......」
結衣の言った通りまるで気配を感じない。もちろん、周囲にマギを使って探知しているがそれでも引っかからない。
これは罠か? もしかして、俺達の狙いがわかったとか? いや、だとすれば、俺達の目的はこの研究所そのものでそれこそ大手で攻めてくるのが当然のはずだ。
何かがおかしい。そう思って曲がり角を曲がると思わず目を見張るような光景が移った。
「な、なんだこれ......?」
その廊下に続いているのは多くの死体の数。研究員、武装集団、ファンタズマ、それぞれの死体からもれなく血を流して倒れている。
血は壁はおろか天井にまで飛び散っていて、赤い血と青い血が混じっている。やはりファンタズマの血は青色。なら、さっきのファンタズマは?
いや、それ以上にここに何があった? どうしてこんな惨劇になっている? 本当に俺達とは違う別勢力が?
「凪斗、一先ず進もう」
「あ、ああ。そうだな」
面を食らってしまった俺に対して結衣は比較的冷静だった。俺の袖を引っ張り、冷静さを欠いていた俺に目的を与えてくれる。
......いや、結衣もおかしいと思っている。袖を掴む手が僅かに震えている。それは俺よりも現場を知ってる結衣でさえ得体の知れない恐怖と接触しているって意味だ。
ってことは、ここに俺達が考えられない何かが起こったということは間違いないっぽそうだな。
ファンタズマを研究していたってことから、作り出したファンタズマが暴走したとか? さっきのタイ〇ントみたいなファンタズマもそうだったし。
それか俺がさっき思っていた別勢力の介入。俺達よりも先にここに来て交戦していた? いや、だとしたら俺達が入ってきた時にはもっと死体に溢れてもおかしくなかった。
ダメだ。情報がまとまらない。まだ足りないのか、それとも俺の考えが至っていないのか。はたまたその両方か。
ともかく、この場所が危険であることは理解できた。色々不可思議なことが起こっているが、それはこの先で明らかになるはずであろう。
俺と結衣はマップに示された通りに道なりに進んでいき、大き目な十字路で右に曲がっていくと何重もの扉の先に一際厳重そうな扉が現れた。壊すのは厳しそうだ。
電子パネルがあったのでハッキング装置をつけてみるが......ハッキング出来たのは一つ目だけで、扉の前にある三本の鉄杭のうちの一つがズレて開錠されただけだった。
ハッキング装置は自動でパスワードを割り出して権限を奪い使用してくれる優れものなのだが、一つしか外れないとなるとそれ以上開錠できないのか、、もしくは時間がかかっているのか。
一先ず前者だった場合のために一度この空間を調べてみることにした。ここにはいろいろと謎がし、どうにもこうにも怪しさが満点だ。
読んでくださりありがとうございます(*'▽')




