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第148話 疑念

――――創錬来架 視点――――


――――バババババババッ!


 私が管理室に入って数秒も経たずに一斉射撃が行われました。

 横から降りそそぐ銃弾の雨に咄嗟に廊下に出た私は壁に隠れると同時に愛依さんに連絡を入れていきます。


『愛依さん、問題が発生しました! どうやらこっちの素性はバレてるみたいです!』


『そう......みた―――こっちにも......が来たから自力で―――ねがい』


『愛依さん! 愛依さん!?』


 通信が上手く繋がらない? このチョーカーによる通信は特殊なネットワークで流しているらしくて、外部からのジャミングなんて起こらないし、そもそも壊れることがほとんどないです。


 しかし、結果としてみるならばこう通信が上手く使えていない以上、ここは唯一聞き取れた「自力で」というお願いを受けてなんとかするしかなさそうですね。


 とはいえ、どうしましょう。少し顔を壁から覗かせればすぐに容赦なく銃弾を撃ってきて避けるのが遅れればハチの巣は確定です。


 開いたドアは銃撃のせいで壊れたのか開きっぱなしです。ここから入るのは危険ですね。

 それに、開いたドアの正面にある壁なんかガラスが粉砕して飛び散ってますから、ガラスを踏んで足を滑らせるなんて万が一にもの可能性は潰しておきたいです。


 それにしても、不可解なのが道中で見かけた研究員はあまりにも自然体であったということですかね。


 仮に私がここに潜入することがバレていたとしても、襲撃されると分かっていて怯えない一般人はいません。


 しかし、会議室や途中でスタンさせた研究員の顔もあまりにも自然体過ぎました。となれば、この事実は知らされていないと考えるのが普通。


 それにパッと突入した際に見た時に拘束された研究員の姿があったような......もしかして、私より先に別勢力の介入があったのですか?


 まあ、ファンタズマと違法ホルダーさん達が本当の意味で手を組んだとは考えにくいし、う~ん、まだ情報が足りませんね。


 けれど、私のやることは決まっています。ここで陽動として動くこと。もっといえば、この会社の電源を落として研究所に製薬会社(こっち)で問題が発生したことを知らせることですからね。


 それにあまり凪斗さん達を待たせるのは作戦の成功率にも響いてきます。ここは迅速に事を納めなければいけなさそうですね。


 ふぅ~、相手が銃を使ってきてホルダーであるかどうかがわからないのが悲しいところなのですが、いっちょパパっとやって見せますか。


 私はリュックを降ろすとその中からスモークグレネードちゃんを取り出しました。そして、銃撃が止んでいる今のうちに持っている計5個を全部入り口の扉から一斉に投げ込みました。


 当然、銃声が一斉に鳴り響きます。しかし、スモークグレネードのおかげか辺り一帯は白い煙に包まれました。


 すると、私は咄嗟に能力を使って扉の金属を動かしていき、入り口に厚い蓋をしました。これによって、白い煙は換気されずにその場に白い煙を残したままになります。


 そして、私は自身の背後にこっそりと穴を開けて武装集団さんが混乱しているうちに入っていきます。こんな状況じゃ銃なんて撃てないですからね。


 入った私は壁に手を当てて自分の逃げ道すらなくすように蓋をすると周囲に視線を向けます。こうなったらむやみに音を出すのはもはや御法度ですね。


 アサルトライフルは背中に背負って......っと、まるで忍者にでもなったように華麗なる闇討ちをしてやりますよ。殺しはしませんが。


「敵はどこだ!」「白くて何も見えない!」「ドアだ! 入口のドアは開いていたはずだろ!?」「銃を撃つな! 仲間に被弾する!」


 敵の声が聞こえてきましたね。こちらの期待通りの混乱っぷりです。これなら、私のやることも案外スムーズに働きそうですね。


 私は被っているナイトスコープを頼りに近づいていくと固く握った拳をボディに思いっきりブローして沈めていきます。まずは一人。


 そこから壁沿いに反時計回りに動いていって二人。薄暗いこの部屋で明るさが見えてきたということはディスプレイ近くまでやってきましたね。


「こっち側に電源は.......あったあった。緊急停止用レバー」


 私は安全カバーを外してそのレバーに手をかけると一気に下に降ろしました。その瞬間、ガコンッという音ともにシステムが停止し、ディスプレイの光や天井の証明の光さえもなくなりこの部屋に本当の意味で静寂が訪れました。


 さてと、こっちの陽動はこれぐらいでいいでしょう。残りは掃討戦ですね。ここにいた武装集団さん達がどこのだれであるかは気になりますが、あとは頼みましたよ。


*****


――――主人公 視点――――


『ツーーーツーツー』


 ん? この通信合図は......来架ちゃんからの作戦成功を知らせる合図だ。


「どうやら上手くいったみたい」


「そう。なら、私達も早いとこ済ませよ」


「そうだな」


 俺は目の前の扉の横にある電子ロックにハッキング装置をつけて鍵を開けると結衣と一緒にその扉の中に入っていく。


 研究所というにはふさわしい白色を基本にした廊下や壁、天井であった。その中をマップを表示しながらできるだけ接敵しないようにコソコソと進んでいく。


 まさかこういうステルスゲームは俺自身が実際にやるとは思わなかったけど、ああいうゲームの主人公って鬼強メンタルだったんだな。


 もう心臓がバックバクよ。冷汗はかいてくるし、バレたらやり直し効かないから集中力もずっと持続させないといけないし。ほんとあいつらやべーよ。


 しかし、なすべきことをなすためにはこれぐらいの緊張感はもはや乗り越えなければならない。それにあのエンテイに比べればどうってことない緊張感だ。


 ここは人が多い分、ロボットがうろついていることはない。だけど、人はほぼせわしなく動いているし、ドローンも一定の間を飛行している。


 幸い、人の動きとドローンの動きはマップの赤と青を見れば判断できるが。しかし、バレる要因というのは案外そういうものじゃない。


「変装してった方がいいかな?」


「無理だと思う。ドローンの顔認証があるかもだし。だけど、研究員から身ぐるみを剥ぐのはアリだと思う。研究員によって入れる場所が違うだろうし」


「仕方ないか......なら、ここからすぐ近くにあるトイレにいる研究員から首からぶら下げている通行許可書を()()()()()()


「うん、私達は警察の一組織。なので、お借りしよう」


 そんな建前をしっかりと作りつつ、研究員やドローンに合わないように移動していく。

 そんな道中、研究員は忙しそうに動き始めた。強化された聴覚から聞いたところによるとどうやら製薬会社との連絡が一切できないことに気付いたらしい。


 思いのほか早く気づいたな。けど、そのおかげで一部の人達が製薬会社に向かって動き始めた。チャンスは今だな。


 トイレで用を足し終えた研究員をさっとビリビリさせて気絶させて、そこから研究員のネームプレートをお借りする。


 すると、そのネームプレートには「レベル1」と書かれていた。おっと、この感じまた同じようなことをしてレベルを上げていく必要があるな?


 そんなめんどくささを醸し出しつつ、俺と結衣は人気が少なくなった研究所の中を走り出した。

読んで下さりありがとうございます

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