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第145話 こそこそいかねば

 巨大なファンタズマを倒した後も俺達は依然として彷徨っていた。

 いや、正確にはマップがあるので彷徨っていたわけではないが、道が入り組んでいてどこが最短なのかイマイチ把握できていないという方が正しい。


「くそ、マップ使ってても目的地までが遠く感じるな」


「ハッキングうんぬんの前にここはもしかしたらファンタズマの飼育場の一部かもしれない」


「あのゴーストの?」


「そう。前も言ったけど、アレは進化前の状態。いわば特別な道具を使って進化させる系のポ〇モンがここには集まってるってこと」


「そう聞くと割りかしファンシーに聞こえるんだけどな......」


 ところが、現実はどこもそこも心霊現象というべきリアルゴーストばかり。もう今更だが本当にここは俺が暮らしてきた日本なのだろうか。


 そして、俺達はいけるルートを開拓しながらとにかく進んでいく。途中、電子ロックをハッキングしたり、動作パネルを使って道を作っていきながら。


 しかし、そんな最中でも敵はお構いなしに現れる。もはや相手していると時間がもったいないし、間に合わないかもしれないので基本避ける形で動く。


 幸い、相手の機動力は俺達よりも劣る。距離を取れればこっちのものだが、さすがに囲まれていたり、複数いる時は倒さねばならない。


 まあ、謎解きがない分楽でいいが......って俺は一体いつまでバイ〇ハザードをやってる気分でいるんだ。さすがにもう気を引き締めねぇと。


―――――ドンドンドンドン


「なんだ?」


 俺は走りながらそんな音を聞いた。だが、その音は何かを叩いてる音という感じはしなかった。むしろ、それは足音に近かった。


 感覚的な話だが、割りに確信があるのはなぜだろう。とはいえ、仮に足音だとすれば今のはかなりの質量を持った存在だといえる。


 おいおい、さっきデカいゴーストと戦ったばっかだぞ? もう中ボス的存在が来るのはやめて欲しいんだけど。


 しかし、その音は俺の意志とは関係なく静かに近づいていく。段々と足音を大きくしながらすぐそばまでやってくる。


 俺が通っているのは丁度一本道の廊下だ。そして、その廊下は各部屋に繋がる扉がある方と逆に一面がガラス張りになったような場所がある。


 つまりは何が言いたいかというと、その音は通ったのだそのガラス面がある方を。異形の人型がのっそりのっそりと。


 こちらには気づいていない様子であったが、明らかにやべぇ存在をというのは理解できた。あれだ、タイラントかもしくはネメシスだ。


 そして、その異形の何かはドゴンッと何かを突き破ってその姿を消した。ああもう、見ちゃいけないものを見た気が満載だ。


 こういう流れだといずれ邪魔しにやってくるような気がしてならない。いや、来るね。これは絶対来るね。


 そして、なんだかんだありつつ、俺達は研究所に繋がる施設へとやってきた。そこまで来る間に来架ちゃんからの連絡は一切なし。


 俺は無事を祈りつつ、連絡を待った。


*****


――――創錬来架 視点―――――


―――――時は遡り、凪斗達と別れた後


 私は凪斗さん達と別れた後、自前のアサルトライフルを片手に製薬会社へと向かっていました。


『前方十時の方角に人影が二人。進行方向は反対側だから問題ないけど、目視で確認できる位置だから気を付けて通って』


『了解です』


 通信で愛依さんから頭の中に指示が入りました。どうやらまだ職員さんが残っていたようですね。まあ、まだいるでしょうけど。


 私はその二人を注意しながら建物の方へと近づいていきます。すると、再び通信が入ってきます。


『進行方向に監視カメラが二つに飛行ドローンが二つ。特に監視カメラに関しては近くの街灯の中に組み込まれてるから気を付けて。

 相手の策略としてはドローンに気を取られて回り道した所を隠した監視カメラで捕らえるって感じなんでしょうけど』


『にゃはは、中々にいやらしいですね』


『全くね。とはいえ、ドローンの方にもカメラは設置されてるでしょうから、ドローンが地面に当てている光には絶対当たらないで』


 飛行ドローンは一定のパターンで動きながら真下の地面に向かって光を放ち続けています。

 あの光の中に一部でも入ればほぼアウトなんでしょうけど、私の見解ではあの光のサークルからさらにあと五十センチも危険かもしれませんね。


 監視カメラで捉えた異物が即座に警報システムに繋がっていくのなら危険です。

 まあ、大抵のドローンは識別機能がありますし、基本物体の一割でも見えない限り大丈夫なのですが、用心に越したことはないでしょうね。


『ちなみに、撃つという選択肢は?』


『やめた方が良いと思うわ。いくらサプレッサーをつけて音を出さないように警戒したとしても、壊されたことが何よりも証拠になる。

 大抵こういう監視システムは二十四時間起動中よ。正常に映像が映っていたのに突然消えたら不自然だと思うでしょ』


『そうですね。それに後ろめたいことがある人達が用心しないと限りません。毎日点検とかしてるでしょうし』


 そう考えるとやはり街灯の監視カメラを避けるにはドローンの方を通るしかなさそうですね。

 それに加えて、ドローンの動き方敵に合間を縫ってシュパッと行かなきゃならなさそうです。


 うーむ、基本動いていますしシビアな判定だったら困りますけど、まあ行けるでしょう。


 そして、私は変わらぬ速さで走っていくと最初のドローンのタイミングを見計らって勢いよく地面を。蹴りました。


 そして、その勢いのままに地面で一回転して着地。ムフー、我ながら上出来な足運び。

 するとここで、愛依さんからの通信が入ります。


『ちょっとストップ。少し気になることがある』


『といいますと?』


『あなたがこれから通ってもらう道は見てわかる通り製薬会社の裏側で敷地の周囲に木が植えられているところの間......なんだけど......』


『歯切れが悪いですね』


『なんというか、何もないから逆に怪しいのよ。こっちでバレないようにこれから来架が進む道の監視カメラをハッキングしてみてるんだけど、この監視カメラしかないの。

 こんな裏道にドローンもなければ、監視カメラもない。これってまるで通ってみてくださいと言わんばかりじゃない?』


『......少し待ってください』


 私は腰に付けたサイドポケットからナイトスコープを取り出す。そして、それを頭に装着するとその進行方向を見た。ほほ~ん、にゃるほど。


『これはまたいやらしいですね~』


『何かわかったの?』


『壁から木に向かってビシッと赤外線センサーが取り付けられています。しかもたくさん。

 とはいえ、等間隔にあるわけじゃなくて横だったり、斜めだったり。それから、上だったり、下だったりとランダムにつけられてますね』


『通れそう?』


『こう見えても私はキャッ〇アイ見てたんですよ?』


『随分と古いのをまぁ。それにそれって関係なくない?』


『だから、脳内で『Get W〇ld』でも流して通り抜けてやりますよ!』


『それ違うやつだから。シティー〇ンターの方だから。まあ、いいわ。一先ず健闘を祈るわ』


 なんでかわからないですが、愛依さんに呆れたため息を吐かれてしまいました。Get Wi〇dの良さがわからないんでしょうか。まあ、仕方ありませんね。


「それじゃあ、行きますか。ふふふんふんふん、ふふ~ふふん、ふふふんふん――――」


『いや、結局歌うんかい。っていうか、鼻歌でも歌うな!』

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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