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絶対捜査戦のアストラルホルダー~新人特務官の事件録~  作者: 夜月紅輝
第5章 ギャルゲーみたいになったんだが
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第123話 犯人の目的

――――氷月 愛依視点――――


 私が突然足元に現れた闇に飲まれてから現れたのは観覧車の鉄骨の上であった。

 私が足場が少ないところでの動き周りを苦手としているからの判断でしょうね。姉ながら面倒な。


 少なくとも、あまり遠くまで離れていないのは良かった。

 観覧車に人乗っていた人達は私達が注意を引いているうちに逃げていったみたいだし、高いところなら天渡先輩のことがわかる。


 もっともそんな余裕があるかと問われれば、ないと断言できるのが悲しいところだけど。


「安心して。周りに影響が出ないように配慮してるから」


 お姉ちゃんが話し出した。さっきは突然の登場であまりにも動揺しちゃったけど、今は落ち着いている。

 現状、天渡先輩に迷惑かけれないし、所長との連絡も繋がらないしで最悪だけど、恐らく結界とかで遮断されてるだけだから、それは恐らく所長の方も気づいてるはず。


 となれば、私にできることは無理に迎撃しようとせず、この場からいかにして脱出すること引いては所長達が突入できるまでの時間稼ぎ――――


「びっくりね。まさか今更になって一般人に配慮してるなんて」


「もともとそのつもりよ。でも、反りが合わない連中は一定多数は必ず存在するものなの。そいつらの影響で随分と面倒な遠回りをしてしまったきがするけど」


 そう言って、お姉ちゃんは下にいる天渡さんともう一人の味方の方を見た。恐らく、その言葉は味方に向けて言ったのだろう。


「もともと一般人に手を出すつもりはなかった。今の一般人はやがて私達の大切な仲間になるのだから」


「仲間? 一般人を奴隷にして新人類として台頭するんじゃなくて?」


 あの包帯の人に動きはない。あくまで私とお姉ちゃんで話をつけさせるつもり?


「そんな過激思想派閥もいるわね。でも、私達だって力を得て、それだけの苦労も知ってる。だから、どうせ背負わせるなら人類全員(みんな)の方がいいって」


「それも立派な過激思想よ」


 どうする? ここで一気に動き出してみるか? いや、無理ね。お姉ちゃんなら能力がわかっていて逃げ切る可能性があっても、あの包帯からは恐らく無理。


 あの闇みたいな明らかにやばい能力によって捕まえられる。そして、再び同じ位置に戻されるのがオチ。


 いや、戻されるならばいいけれど、ほかに何かあるのだとしたら下手に動くには得策じゃない。少なからず、二人の視線が逸れる何かが起きないと。


「それで、お姉ちゃんはどうしてそんな風になっちゃったのか聞かせてくれるのでしょうね?」


「ええ、いいわよ。でも、別にここじゃなくていいわよね?」


「......!」


 空気が変わった。先ほどまでの家族と接していた暖かさは再び無くなった。

 ここに来る前にお姉ちゃんは「迎えに来た」と言っていたけど、その言葉はそのまま違法ホルダーとして勧誘しに来たってことよね。


 だけど、目的はそれだけ? そもそもこいつらの目的はなに? お姉ちゃんは私目当てできたとしても、どうして来ることが予測できたの?


 聞きたいことは細かくカウントすれば山ほどある。それを答えて聞いてくれるか。

 いや、やれることをやるべき。今の私じゃ、二人には絶対に勝てないし、もとより姉相手であっても厳しいでしょうね。


「お姉ちゃん達の目的はなんなの? どうしてずっとこんなところにいたの? まるで誰かを待っていたみたいに?」


「私は単純にエンテイ様にお願いして連れてきてもらっただけよ。恐らく、顔バレしていない妹が潜入してこっちに来るんじゃないかって」


 こっちの作戦はもとよりバレていたってことね。まあ、そうでなきゃ咄嗟にこの場所全体を覆うような結界を張ることなんてできないだろうし。


 ......って、今“エンテイ様”って言わなかった!? そういえば、この場所に来る前にもそんなことを言っていたような。


 となれば、あの包帯の男が“エンテイ様”ってことよね。今から5年前に愛知で起きた特務、ファンタズマ、違法ホルダーの三つ巴の戦いでの生き残り。


 その時に特務にいたエースによって相打ちで死んだとされている人物がまさか生きているなんて.....ならば、もう本格的に良くて捕まるか死ぬかの二択を迫られてるってわけね。


 本当にここ最近ツイてないわね。ずっと一人で頑張ってきたときには大きなことを探ろうとしているんだから、いつでも死ぬ覚悟はできていたんだけど。


 今や厄介な先輩に絆されてしまったせいで、死ぬのもましてや捕まるのもごめんなのよね。


「なら、本当の目的は?」


「別に、愛依が知る必要は――――」


「まあいい。これも特務(おまえら)にとって悪役として特別に答えてやろう」


 お姉ちゃんの言葉を遮って話し始めたのは“エンテイ様”と呼ばれる人物であった。

 声は低いが思ったよりハリがある感じで老人といった感じではなさそう。


 すると、お姉ちゃんはその言葉に従うように押し黙る。その代わりに、エンテイが説明を始める。


「俺達の目的も単なる人探しだ。そのために人が多く注目する場所で目立つ必要があった。

 当然ながら、俺達が目立てば来るのは特務だ。そして、俺の目的はその特務にある」


「人探し......ってことは、あんたもお姉ちゃんと同じように連れていくため?」


 私がそう聞いた瞬間、お姉ちゃんが激昂した。


「愛依、口を慎め! エンテイ様に向かって!」


「よせ、今は俺とそいつとの話だ。お前はでしゃばるな」


「......!」


 しかし、姉の言葉はエンテイの威圧とともにすぐに鎮圧させる。その微かに見せた威圧で私は遥かな差があることを理解させられた。


 体に何百キロの重りを突然加えられたような感覚で体が重くなり、手先にはその重圧からか痺れを感じ始め、呼吸は肺を握りつぶされたかのように何もできなかった。


 その体感時間は1秒となかっただろう。でも、まるで長い間尋問にかけられていたような精神的圧迫で動いていないのに体がものすごく疲れている。


 それはお姉ちゃんも同じようで顔が真っ青であった。そして、心臓を抑えてはわざとらしく肩を大きく上下させて呼吸している。


 あの威圧は本人にとっては「怒ってるぞ」というポージングのようなものかもしれない。

 しかし、その威圧にさらされたエンテイよりも弱者は確かなダメージを負ったのと同じで、この威圧によって私が絶対に逃げられないことは確定した。


 エンテイは私が付かれている姿を見ると「すまないな。巻き込んでしまって」と律義にも謝ってきた。

 その行動に何の意味があるのかわからないが、恐らくお姉ちゃんの妹であるから気遣っただけの可能性もある。


「それじゃあ、話を戻そう。君が言ったように私は特務のとある人物を探している。その人物を活かすか殺すかは実際にそいつを見てみないとわからないが、少なからずもう特務で十分な戦闘経験値を得ているはずだ」


「顔がわからないのに、随分と知ったような口ぶりですね」


「ああ、確かに知らない。だが、確かにそいつを特務に入れるよう仕向けたのは俺だ。もっとも上手くいくかはかなりの賭けであったが、そいつが行っていた学校をやめた形跡があるから恐らく間違いないだろうと思ってな」


 学校をやめて特務に入った? そんなの普通の一般人から特務に入るなんて......まさか!?


「探しているのは天渡炎治が息子である天渡凪斗。そいつは今頃特務としてしっかりと働いていることだろう。さあ、どこにいる?」


 この人の狙いは天渡先輩!?

読んでくださりありがとうございます(*'ω'*)

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