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絶対捜査戦のアストラルホルダー~新人特務官の事件録~  作者: 夜月紅輝
第5章 ギャルゲーみたいになったんだが
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第113話 冷静に考えて最低(愛依)

――――氷月愛依 視点――――


 翌朝、私は外から聞こえる小鳥のさえずりとともに目を覚ました。

 まぶたは死ぬほど重く、目を閉じればすぐさま二度寝も出来るほどで会ったけど、なんとなく気分じゃないからやめた。


 カーテンは僅かに開けていた窓の隙間から流れる風に揺られてゆらゆらと揺れている。

 そして、その揺れたカーテンの隙間から暖かな日差しが差し込んでくる。


「暖かい.....」


 その日差しの温もりが体温をじんわりと上げていくと同時に、今まで自分の部屋のようにして使っていた天渡さんの両親の部屋が妙に居心地よく感じる。

 あ、やばい。昨日のことが蘇ってきちゃった。


 さすがにあれは恥ずかしい。今でも恥ずかしさで死ねるレベル。戦闘の興奮とか、気持ちの高ぶりとかでなんていう暴走を......。

 でも、なんか久々にすっきり出来た気がする。というか、そもそもこの家を借りた時点で、自分ってかなりマナー悪かったわよね。


 まだ新たな住居が見つかってないとか、大規模作戦とかの関係でこの家に住むようにはなったけど、本来だったらそれは「居候」という形になって少しでも住ませてもらってる恩を返すべきなのに......むしろ奉仕してるのは天渡さんという。これはまずい。


 なんで今の今までこんな横柄だったんだろうか。確かに、天渡さんを嫌っていたとはいえさすがにそれはそれ。尽くすべき礼儀があったはず。


 にもかかわらず、ほとんど自分ちで暮らしているのと変わらないという......。

 さすがに、男の目があるということで軽い身だしなみぐらいは意識し始めたけど、いや最初の頃それすら意識してなかったなぁ。


 もはやこれって「居候」というよりは「同居」の方が近いんじゃないか?


 私はそう思うと不意に顔が熱くなり始めた。そして、自分の言葉に必死に否定し始める。


 ......って違う! 違う! それはないないない。さすがにない。

 だって、仮にも自分の嫌いな人だよ? そ、そんなわけがない。なら、なんで思わずほんとに同棲カップルみたいな想像したんだって話なんだけども!


 そもそも天渡さんが先輩ってのがおかしい! 本来ならば、こっちに渡るはずだったARリキッドが天渡さんに渡って結果的に先輩になってるだけだから!


 いやまあ、天渡さんが無断で使用したわけじゃないのは理解してるけど。結衣先輩から天渡さんが特務に至った経緯は聞きましたし、天渡さんになんの非がないのは知っているし。


 なら、なんでそんなに嫌ってるっていう話なんだけど、それはその......自分の焦ってる気持ちとかその時の余裕のない心とかが関係してそれで......。


「って、それってただの最低な八つ当たりじゃないのよおおおおおお!」


 私は頭を抱えながらベッドの上をゴロゴロジタバタ。正直、自分の行動があまりにも酷過ぎて、恥ずかしくてどうにかなりそう。


 それじゃあ、冷静に考えてみればこれまでの自分の行動ってただひたすらに一方的に嫌っていて、せっかく歩み寄ろうとしていた人を袖にしてたってこと!?


 なにその最低女! ってそれは自分のことかあああああ!

 あー、ほんと自分って何やってたんだろ。

 確かに特務に入れると分かって、やっと自分のやりたいことが出来るのが嬉しくて。でも、もっと早くから出来ていたんじゃないかと思ったら焦ってきちゃって。


 私は体をゴロンと横に向けるとそのまま視界に移る壁を見る。

 その壁にはビシーッといろんな情報が書かれた紙や一人の女性がよく映った写真が張られている。


 私はその写真をじーっと見つめると自分の浅はかな思考にため息を吐いた。

 そして、ゆっくりと体を起こすとベッドから立ち上がってカーテンを開け、完全に目を覚ますように日の光を浴びた。


 不意に時計を見ると時刻は6時17分。昨日の今日だというのにもかかわらず、なんとも健康的な朝だ。こと。


 私はそのばで大きく伸びをする。そして、脱力するように両腕をだらんと下げるとあることを決めた。

 それすなわち、天渡さんにせめてもの礼儀を尽くすこと。


 なんとも当たり前のことだが、その当たり前を大きく欠如していた。

 それに先ほど冷静に考えて、天渡さんをナチュラルにサンドバッグ扱いしていたことにも変わりないので、そのお詫びも兼ねてということ。


 そ、それに! 何よりも今の自分の立場はあくまで「居候」であって断じて「同居もしくは同棲」なんかではない!


 そこら辺をきっちりしなかったのは全て自分の落ち度であり、そう考えないとなんか頭が沸騰しそうなので、よしやろう。今日やろう。思ったが吉日よ!


「とはいえ、何をやればいいものか」


 まず私がこの家で生活をし始めてから天渡さんがまるで専業主夫的なポジションになっちゃってるのよね。


 そうさせたのは間違いなく自分なのだけど、だらかといってその仕事を妨げていいものか。

 正直な感想を言うと、私もそれなりの家事スキルがある方だと思っていたのだけど、それ以上に天渡さんが完璧なのよね。


 確実に私より洗濯物は上手く洗えるし、タオルとかバスタオルなんかふわっふわになってるのよね。さすがに下着は別だけど......。


 それに洗濯物をたたむのもまるで店に並んでるそれだし、自分が住むようになってからマメに掃除し始めたのか基本的にすごいキレイ。


 加えて、料理なんかすごい美味いのよね。結衣先輩から「凪斗は死ぬほど甘党だから。最悪三食菓子パンなんてザラ」って聞いてたけど、恐らく自分がいるから料理するようにしてるのよね。


 もともと一人暮らし歴が長いから料理が出来るということも結衣先輩から聞いてたけど......自分が居候し始めてから天渡さんが日に日に料理スキルが上がっていくから、自分の料理なんかよりまず美味しいし。

 というか、ほんと美味い。最近体重計乗ってないけど大丈夫かな。


 って、違う違う。今の論点はそこじゃない。問題は何もすることなくね? ってことだ。

 いやまあ、とても今更感があるからこのまま例の作戦が終わるまで続ければいいんじゃないかと思わなくもないんだけど、それだとさっき冷静になったせいで罪悪感生まれちゃうし。


 思ったより完璧だなあの人。女心についてはミジンコレベルだけども。

 しかしまあ、あそこまで完璧だと......凄まじく優良物件じゃないか?

 冷静に考えても、料理や洗濯、そうじの家事スキルがあって、いい人ではあるし、それに特務という特殊な立場にいるとはいえ国家公務員であることは確か。


 天渡さんって実は自分が思っている以上に結構やばい?

 それでいて女心についてはミジンコレベルって、狡猾な女が天渡さんに近づいて天渡さんが騙されようものなら......なら、ここで捕まえておくのもアリ?


「って、結局論点がズレてるじゃないのおおおおおお!」


 私は頭を抱えてガシガシと髪をかく。

 落ち着け、冷静になれ自分! べ、別に自分は天渡さんに好意はなく、むしろ嫌い......ではないけども、そういう感じではない......はず!


 ふぅー、1回深呼吸だ。心を整えてスーハー。よし、マシになった。

 とはいえ、このまま自分の頭で考えてもラチが明かない。もうここは文明の利器に頼るほかない。


 そして、私は自分に必要な資料が置かれた机に向かとパソコンを開く。

 それから、検索ワードに「男の子 喜びそうなもの」と打ち込むとそれを検索。

 膨大に現れた検索トピックをパソコンの画面に指を触れさせ、下にスクロール。


 すると、私はその中から一度任務でやったことのある事柄が出てきた。丁度いい。潜入調査も見込んでいろいろな服を持ってきてある。これならいける。


 そして、私がクローゼットから颯爽と取り出したのはメイド服であった。

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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