表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対捜査戦のアストラルホルダー~新人特務官の事件録~  作者: 夜月紅輝
第5章 ギャルゲーみたいになったんだが
108/186

第108話 いっちょあがり

 俺と氷月さんは工場の入り口付近で壁に身を隠した。

 これによって、遠くからスナイパーに狙われる心配はない。

 そして、この建物に人がいることがわかった。


 スナイパーが俺を真っ先に狙ったのは当然俺に何かを調べられるのを防ぎたかったと考えるのが必然的だろうな。

 そして、スナイパーが狙ったということは、もし仕留めそこなったとしても排除できると確信しているからだと思われる。


 となれば、相手は複数であることは確定だろう。

 相手の能力がわからない状態での複数戦闘は結構なリスクが伴うが......現行犯逮捕できる絶好の機会であるとともに、氷月さんが止まりそうにないからな。


 俺と氷月さんは工場の壁に直撃して爆発炎上したパトカーを両サイドで挟むような形で壁に体をくっつけている。

 一先ず中の様子を見るが、まだ敵の気配は感じられない。こちらと同じように警戒しているのだろう。


「氷月さん、俺はこの建物の屋上にいるスナイパーを狙いに行く。その間、氷月さんは陽動または撹乱をしてくれ。

 いくら氷月さんが強いからと言っても、未知の能力を複数相手にするのは危険すぎる。

 こっちには通信手段があるんだ。挟み撃ちにするのもありだと思う」


「あまり私を舐めないでもらえますか? 一人でも全員を戦闘不能にすることはできます......とはいえ、考慮には入れておきます」


 氷月さんは意外にも俺の話に耳を傾けてくれた。あんな風に言われるのはわかりきっていたが、若干返答の仕方が変わったのは前よりも関係性が良好になった証だろうか。

 とにもかくにも、今は今の仕事に集中せねば。


「それでいい。それじゃあ、行くぞ」


 そう言って俺は体に紫電を纏わせると脚部を集中強化。そして、大きく足を曲げるとともに垂直跳びをした。

 高さで言えばマンションの3階部分にあたるだろうか。その高さまで跳ぶと近くの窓枠に指先を引っかけて止まる。

 それから、そのまま中を覗いた。


 その工場は製造する部分と事務所が繋がっているみたいな感じで、現在俺が見ている場所はパソコンなどが置かれたワークスペースであった。

 ということは、その建物の奥が機械製造スペースであるのだろう。


 俺個人としてはこっちの方がありがたい。相手の攻撃がマギを物質変化させた攻撃だった場合、障害物があった方が盾にしやすいのだ。

 それに単純に隠れながら進むステルスもできるからな。


 窓からのぞいた様子としては恐らく階段がある方に人の姿が見える。周囲を確認せず一点を見つめたままだ......あ、発砲音。

 ということは、氷月さんが動き始めたということで、俺も動かなければ。


 俺はアメコミのスパ〇ダーマンの如く壁をよじ登っていくと手すりに掴まって、その隙間から屋上の様子を覗いた。

 すると、パトカーにいた俺達を狙っていたであろうスナイパーを収めるキャッシュケースのようなものが置いてあった。


 しかし、その周囲に人影はない。となれば、スナイパーを持ち出したまま下にいる氷月さんを狙いに行ったということか。

 それはさすがにまずい。他の相手に集中してる時にスナイパーなんてものに狙われたらさすがに死ぬ。


 俺は手すりをよじ登って超えるとマギで気配を感じ取りながら出来るだけ足音を立てずに進んでいく。

 こそこそと進んでいった先は屋上へと出る扉。その扉の手すりを軽くひねるとそっと扉を開けて、その隙間から中を覗く。


 しかし、さすがに視界が悪い。暗くてほとんど見えやしない。とはいえ、マギの気配察知が特に反応示さないからいないことは確かだ。改めてほんと便利だな、この気配察知。


 ゆっくりと階段を降りていく。すると、俺の気配察知が丁度足元付近で反応した。

 ということは、そのスナイパー野郎はまだ2階にいるようだ。加えて、他に気配がない感じからして、周囲に仲間はいない。


 これは確実に仕留めるチャンス。とはいえ、相手はスナイパーだ。慎重に動かねば。

 一先ず奇襲は安定だろう。そして、射線には絶対に入らない。入った時点で引き金を引かれたらそれで終わりだ。


 そこでたとえ、俺の電気でスナイパーの弾に影響を与えようと思っても、出来て少しと言ったところだろうな。

 そんな僅かな希望にすがって突撃するぐらいなら、やはり奇襲する方がマシだ。

 まあ、後はご自慢の素早さで何とかするしかなさそうだな。


 俺は「ふぅー」と一つ大きく息を吐くと階段をゆっくり降りる。

 そして、気配察知で相手との距離感と位置を把握しながら、壁から相手の様子を覗き見た。

 相手のスナイパーは慎重なのか、仲間に合流するための道でも常にスナイパーを構えながらゆっくりと進んでいる。


 まるでゲームのFPSを真似たような動きともいえる。しかも、最悪なことに相手が歩いているのは一直線の廊下だ。

 その廊下の両端に部屋があるといった感じで、もっと言えば先ほど窓から見た位置的に言ってこの先に階段があるはず。


 窓の外からだとさすがに間取りまでは把握できないとはいえ、ほんとに厄介だな。

 しかし、迷っている暇はないみたいだ。このまま合流すれば、氷月さんが狙撃されて死ぬ。

 さすがにスナイパーの弾速を避けるのは今の俺でも出来る気がしない。


 というわけで、ここからは覚悟を決めて確実に相手を戦闘不能にさせる。


 俺は意識を研ぎ澄ませるように相手を見る。そして、両手と両足にアルガンドの籠手と脚甲を身に纏わせる。

 その瞬間、バチッと紫電がはじけた。


 相手のスナイパーがその僅かな音に気付いたのか銃口を俺の方向に構えた。

 しかし、俺は相手が銃口を向けると同時に少し前の部屋の壁に身を屈めた状態で張り付いた。

 すると、今度は標準を合わせ、距離を詰められないように少しずつ後方に下がっていく。


 だが、それも同じように俺は壁を蹴ってその場から離れると天井に張り付いた。

 距離で言えば1メートルとちょっと。そこまでいけば、俺の電撃も相手の武器を確実にひっとらえられる。


「使わせねぇよ」


「なっ!? 俺の武器が!?」


 俺は天井で逆さの状態からスナイパーの武器に手を伸ばすとそこに向かって紫電を飛ばした。

 その紫電は武器に電気を纏わせるとそれによって、スナイパーと武器を一瞬切り離す。

 そして同時に、電磁石となった俺の紫電はその武器を手元に引き寄せながら、俺は床に降りた。

 そらからすぐさま、武器を太ももを使って真っ二つにへし折る。


 俺のあまりの行動にスナイパーは驚きが隠せないようだ。しかし、すぐに思考を切り替えたのか両手を両サイドの壁に伸ばすと金属を液体のように浮き出させた。


 ......なるほど、それが相手の能力というわけか。来架ちゃんのように自在に武器を作りさせるわけじゃないが、周囲の金属を動かせるって感じか。


 スナイパーはその両手を伸ばしたまま体の前でクロスさせるように動かした。

 その瞬間、その手の動きと同じように2本の金属が真っ直ぐと針のような鋭さを持って高速で飛んでくる。

 だがまあ、遅いな。その動きは先生よりも遅ければ躱せないはずがない。


 俺は飛び出すとその金属を避けるとともに足場にするようにしてさらに前に進んだ。


「く、来るな!」


「すまん、無理な相談だ」


 スナイパーは咄嗟に腕をクロスさせて、自分を守る盾を作り出そうとしているが、それよりも早く俺の手がスナイパーの口を掴み、そのまま感電させた。

 もちろん、威力は気絶程度だ。といっても、しばらく目覚めないだろうけど。


「ふぅー、こっちは終わり。叫ばないように口を塞ぐのは正解だったな。後は氷月さんの方だな。無事でいてくれよ」


 そう願いつつ、俺は1階へと慎重に向かった。

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ