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絶対捜査戦のアストラルホルダー~新人特務官の事件録~  作者: 夜月紅輝
第5章 ギャルゲーみたいになったんだが
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第106話 今度はまた工場ね

 俺達は警察がまとめてくれた情報をもとに次なる場所へと移動していく。

 すると、隣にいた氷月さんが話しかけてきた。


「次に向かう場所って神樂町でしたよね?」


「ああ、そうだよ。犯人が乗り込んだパトカーに搭載されてるGPSからそっちに移動していったと事はわかってる。

 ただ、ある場所に止まるとそこからパトカーが動いた様子がなかったことから恐らく乗り捨てられたと考えられる」


「予想するに移動中に仲間に連絡を取ってパトカーから別の車両に乗り換えたという感じでしょうね。ちなみに、そのパトカーはすでに回収していたりするんですか?」


「さあ、どうだろうな。そこまでは確か書いてなかった気がするけど。ただもしかすると、何か細工をされてると思って回収してない可能性もあるし、鑑定してない可能性もある」


「その根拠は?」


「相手は恐らくホルダー。そして、複数。どんな能力もほとんど未知だとして、何でもありの能力であるからこそ普通の人では解除できない特殊な罠を張っている可能性があると思う。

 例えば、信管の入っていない爆弾が設置されているとして、その爆弾の軌道はマギによって行われてるとしたら」


「うわあ、確かになくはなさそうですね。しかも、それを私達にこれから解除させようとしてるってことですか。まあ、仕方ないことだと思いますけど」


「まあまあ、それはあくまで俺の推測だからね。ただ甘く見てると死に直結する仕事だと理解してるから、そのぐらいで考えていた方がいいかもしれない」


「ですね」


「ただ問題はここから目的地までが遠いんだよな~」


 俺達が現在いる東月宮町から神樂町までは3キロほど離れた位置にあるのだ。

 事務所から東月宮町までは徒歩でも15分ぐらいで割に近いからお金を渋れたものの、ここからそこまでとなると結構な距離といえる。

 

 ただでさえ、同居人がいてその同居人に結構な食費を持ってかれてる以上、できれば余計なお金をかけたくないが......さすがに仕方ないよなぁ......でもなぁ。

 とりあえず目的地まで駅は使うとして、ここら辺の近くでタクシー捕まえて駅まで向かうかもしくは駅まで歩いていくか。


「氷月さんはここから駅まで向かうのにタクシーと歩きどっちがいい?」


「私は別にある気でも構いませんよ。残暑はありますが、前に比べて随分と涼しくなってきた方ですし」


「......そう」


「なんですか? その『思わぬ言葉が出てきな』みたいな顔は」


 そんな顔してたか。とはいえ、驚いたのは事実だな。

 氷月さんは涼しくなってきたと言っているが、普通に事務所からこっちに向かうまで歩いている時に汗はかいた。


 俺は空を見上げる。暦上はとっくに秋に入っているが、空はすがすがしいほどに快晴だ。

 涼しさを感じると言ってもせいぜい吹いてくる風から感じる程度。

 寒いか暑いかと問われたなら、やっぱり暑いに8割の票を入れるだろう。


「それにやはり私は住まわせてもらってる負い目を感じてますからね。それぐらいは都合は合わせますよ」


「......そう」


「今また『意外なこと言ってる』みたいな顔してますね。いいですか? 思ったより表情に出るんで気を付けてくださいよ」


「あ、ああ、すまん」


 また顔に出てたか。確か前にもに結衣そんなことを言われたような言われてなかったような.....あんまし覚えてないな。

 とはいえ、時には感情的に動いてはいけないことがあると来架ちゃんと組んだ時に学んだからな。気をつけないと......ん?


 そこで俺は思わぬ疑問が出てきた。それはどうしてそんなことを知ってるんだということ。

 確かに、ここ最近は会話が増えてきた。他愛もない会話も含めて。

 とはいえ、これまでは俺の目を指すかのような眼光に、俺のことを毛ほども認めてなかったような感じだと思ってたんだが。


 俺はふと氷月さんを見た。すると、氷月はまるでタイミングを合わせたかのように顔を逸らした。

 一度顔を戻しながら、視界の端で氷月さんを見ると顔が戻ってくる。

 そして、もう一度顔を見ようとすると凄まじい速さで顔を背けられた。


「なぜ頑なに顔を合わせようとしないんだ?」


「ちょっと視界の端に珍しいアリを見かけたので視線を追っかけただけですよ」


「一度顔を戻したとき、同じく顔を戻したよな? でも、俺がもう一度見るとそっぽ向いたんだが?」


「ほら、あるじゃないですか。会話らしいワンちゃんが横切ったときに目で追うだけで気にしないそぶり見せていたけど、やっぱもっと見たいと思って振り返ること。それですよ、それ」


「犬のことワンちゃんって言うんだな」


「別にそこはどうでもいいじゃないですか!」


 すごい勢いで怒られた。でも、顔はそっぽ向いたままなんだよな~。加えて言うなら耳が赤い。

 俺が犬の呼び方について指摘したから、それで恥ずかしくなってるのか?

 いや、氷月さんがそれぐらいで気にするとは思えないけどな~。

 ほかに何か意味があったのか?


 正直、聞きたいのはやまやまであったが、後が怖かったので俺はその場で深く追求しなかった。

 そんなこんなをしていると遠くに駅が見えてきた。

 近くに噴水がある大きめな入り口の駅。大型ショッピングモールと隣接もといほぼ合体している影響であろう。


 「月宮駅」そこが俺達がよく利用する駅だ。

 その駅に入っていくと駅の地図を見ながら切符を買っていく。そして、改札を通ってホームへと向かった。

 ホームで若干新幹線に近いフォルムとなった電車に乗り込むとその電車は出発する。

 神樂町に到着する案内アナウンスを聞いて、神楽町の駅のホームに降りた。移動時間は25分ぐらいだろうか。


「「あっつい」」


 俺達が電車から降りて最初に言った言葉がそれであった。

 電車内が涼しかったので、その涼しさに体が慣れてしまったらしい。

 だからこその温度差のギャップで体にだるさが伝わってくる。あ~超涼みたい。

 とはいえ、仕事は仕事。諦めて目的地まで徒歩で向かっていく。


 途中、コンビニでアイスを食って体を冷やしながら向かうこと10分ほどで目的の現場についた。

 その場所は最近ファンタズマが出て閉鎖された工場だ。ほんと工場多いな。

 その工場の外観はまだ新しめで、隠れ家にするにはもってこいの場所だ。

 正直、自分が犯人側で立って考えるなら、この場所を捨てるのはかなり惜しいと思うほどに。


 工場の敷地の周りには大き目な塀が置いてあり飛び越えていくのは無理そうだ。

 それに正面入り口付近も登って超えるのは厳しい鉄柵で閉じられている。

 それに俺は思わず疑問に思った。


「ここの場所ってパトカーが捨てられた場所なんですよね?」


「ああ、そうだな。試しにタブレット端末から周辺のGPS反応を拾ってみたらパトカーらしきGPSを工場の敷地内から見つけた」


「そして、工場の入り口は鉄柵で閉じられていて、デジタルロック式のカギで閉じられています。普通に開けるのは無理で、飛び越えることも出来そうだけどめんどうではありますね」


 氷月さんが鉄柵に両手を触れて横にスライドさせようとしているが、ガコンと音を立てるだけで鉄柵が開くことはない。


「だとしたら、どうして入口に鍵なんかしたんでしょうね?」


 氷月さんも気づいたようだ。そう、ここの入り口は()()()()()()()

 ただここで乗り捨てて逃げ出すだけだったら、そんな必要はないのにもかかわらず。

 だとしたら、なんらかの意味があってこの鍵をしたと考えるのが普通だ。

 俺は氷月さんにあれて「柵を飛び越えていこう」と提案し、それに氷月さんがうなづくのを確認すると中に入った。

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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