「ユラギのギルド改造」
サブマスに就任して何もしてこなかったことに、最悪感を覚えたころ。
ユラギは情報魔法を使ったギルド情報管理体制を整えることを思いついた。
「それで、お話というのは何でしょうか?サブマス。」
「マリさん、ギルベルトさん。急に呼んじゃってごめんね。実はこのギルドにある情報を私がもう少し管理できるように。それと、ギルド職員が管理しやすいように改造?変化?一新?しようと思うの!」
「いまいち、内容がまとまっているようには感じませんが。」
「ユラギの嬢ちゃんは、もっと中身を詰めてから物を言ったほうがいいぞ?」
2人ともすでに私に敵意や、恐怖を持っていないようだ。
私は二人に、詳しい説明をした。内容はこうだ。
まず、このギルドに集められる情報の一切を私の情報魔法でデータ化する。そして、そのデータを私が認めた端末で観覧できるようにするというものだ。
この情報共有はギルド職員を通して行われ、端末は職員以外が使うことはできないように設定するつもりだ。
これにより情報の漏れることを防ぎ、悪用を抑制することができると考えている。
「なるほど。サブマスの【情報魔法】はあらゆる記録を保管していると聞いたことがあります。それを私たちも使うことができるとなればこのギルドの効率は格段に上がります!!素晴らしいお考えです!」
「でも、お前の情報魔法を身内とは言え他人がホイホイ使えるようになるのは問題発生につながらねーか?」
「おまえ?」
「すいません、サブマス、です!!」
「はあ。そうね。確かにギルベルトさんの言うことも一理あるね。扱える情報を制限しても、ギルドで必要な情報を横流しするだけで十分な利益が見込めるものね。」
「ちなみに、どこまでの情報を私たちに扱わせるつもりなんですか?」
ユラギが考えていた開示情報を、魔物や薬草、鉱石などの分布。魔物に関しては、大まかな魔物の数などもわかる。
また、この街の冒険者には発信機を持たせ位置情報が分かるようにするつもりということも説明した。
それに加え、依頼や達成内容なども記録として現物補完とデータ保管の二重体制を取り万が一の際の情報管理も番線であることも話した。
結局、あくまでも基本の業務はそのままに情報の二重保存を名目に今回の情報魔法を利用する話は試験運用されることとなった。
用意した端末は二つ。ギルベルトさんとマリさんようにだ。
大きめの水晶玉に魔道銀と魔石を使い情報魔法とのリンクをつなぎ疑似的ネットワークを生み出した。
この水晶は小さくすることもでき、持ち運びもできる設計にしている。ちなみに、この水晶端末は地の精霊ノームとの合作で本人曰く「面白い実験ができた」そうです。
この情報水晶端末、略して「情水晶」は二人にとても好評だ。
書類の情報を記録させる手間は増えたが、水晶にかざすだけだからそこまで手間ではないそうだ。むしろ、入れた記録が簡単に探せてみることができる。ほかの記録と重ね合わせて比べたり、場所や日付で各書類をすぐに出せることに感動していた。
ま、唯一これを作った失敗だった点を挙げるなら・・・・・。
「サブマス!冒険者からの報告で「ベノムバイパー」が目撃されたというものが上がりました。ベノムバイパーは、猛毒を持ち蛇系統の魔物を操る能力を持つ危険な魔物です。サブマス、いえ、ユラギさんに討伐に行ってもらわないと!」
「こっちにも情報が上がってきたぞ。こっちは「グランドワーム」だ。群れをなし地中から獲物を引きずり込む危険な魔物で、基本的に土の中から出てこないから攻撃することができず逃げることが最良とされている魔物だ。危険性は高いし、群れていることも問題だ。サブマスであり、この街の最強の実力者ユラギに討伐してもらわないとだな!!」
そう、この水晶のせいで二人からの報告を毎日聞く羽目になり自分の魔法なだけに逃れることもできないのであった。なら、リンクを切ればいいって?何かあった時のために完全に切ることはできない。そう、すでに自分から手を出して所有権を認めてしまったからには責任を持つ!大人として当然なのだが・・・。できればここだけは手放したい!
「わかったから。まだ二つとも危険性は高くても、緊急性はないから情報を集めて二つの魔物にはトラップを使ってマーカーを。餌を用意して発信機を取り付ければ位置を追える。犠牲を出さないように注意喚起を平行に行っておいて。」
どうすることもできないわけじゃないけど、すぐにどうにかするのはめんどくさい。必要な手を打って、ギリギリまで何もしたくないのが私の今の考え方なのだ・・・・・。




