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魔術騎士はいつも突然に  作者: 伊井 栗
2/3

1 〈長く書くのは大変なので、短い文章をたくさん書くことにしました。なので、1話ではなく1です。〉

一週間前の非日常的な事件を、始まったばかりの授業も聞かずに思い返していた。


あの時固い決意をしたのは確かであり、あれからの七日間は寝る間も惜しんで色々な情報を調べているが、何一つ分からず行動しようにもできない状況である。


父親からは何か分かり次第連絡があるはずだから、今は待つしかないのだ。


今考えられる中で、この停滞した状況の打開案は一つだけある。


この学校の理事長だ。


俺が通う私立〇〇高校は表向きは普通の学校と同じだが、理事長は謎に包まれている日本魔術師組織JMOの人物であり、そのことが魔術師の中では全国的に有名で、人口の数パーセントしかいない魔術師がこの学校にはが多いのだ。


そんな人物に聞くのが一番早いわけだが、問題がひとつある。


それは、日菜子がさらわれたことは父親以外には話さないようにしているからだ。俺が第三者に情報を聞こうとしていることが敵に伝われば殺されないまでも、今後の動きに支障が出る恐れがある。


日菜子の中学にも父がうまいこと話しをつけて今現在、通えないことになっているらしい。


キーンコーンカーンコーン


「...よし。次は対数に入るからな。」


チャイムが七限の終了を告げ、数学教師は話し終えた。いつの間にか授業は終わっていたらしい。数学に関しては好きで高校数学の予習を終わらしているため授業を聞く必要がない。ほとんど休憩の時間だ。


日菜子のことは、あと少しだけ自分で情報を探しそれでもなお状況が変わらないようなら、理事長に聞くという手段をつかうとしよう。命にかかわる危ない賭けだが、仕方ない。


数学の授業中にそう心に決めた。


「おい、奥宮 蒼輝(あおき)。授業中にぼーっとするな。」


と、数学教師が俺を横目で見て言い放ち教室を出て行ってしまった。


決心が鈍るじゃないか。


まぁ、悪いのは俺だけど。




終礼も終わり帰る支度をしていると


「おーい、蒼輝。帰ろーぜー」


と、また呼ばれた。


今度は山田 功太だ。功太は幼馴染で、幼稚園から高校まで同じ学校で、家も近ためいつも一緒に帰っている。


「悪い、待たせた。そいえば、さっき、日本の未来について考えていたのが授業中だと怒られてな。意味が分からない。」


「いや、分かるだろ。お前日本の未来なんか興味ないだろ。」


功太はそんなことを言いながら俺の所にとことこと歩いてきた。


今は日菜子の未来のことで精一杯だからな。


けど、そんなことも言えるはずがなく


「少なくとも、あの催眠効果のあるつまらん数学の授業よりは興味はあるな。」


「それは言えてる。ほんとつまらん。意味わからん。何語ですか。」


数学は言語じゃないです。っていうツッコミはしてあげない。


「お前は苦手なだけだろクラス順位最下位め。とりあえず授業聞けよ。」


「学年一位のお前が聞いてないから聞かなくていいんですー。あと、ツッコミ忘れてる。」


忘れてない。あえてだから。


「俺は予習してるからいいんだよ。お前は聞けよ。」


「ま、なんとかなるさ。」


「この子は来年後輩になるらしい。」


「ならないし、頑張るし。」


と、言いつつ、去年危なかった功太氏。


「と、言いつつ、去年危なかった功太氏。とか思ったろ今。」


「心を読むな功太氏。てか、そろそろ帰るか。」


「そうね、帰りますか。」


帰る支度も終えたところで、席を立つ。


こんなたわいない会話も、今は日菜子の件で楽しめていない。


はやく解決して日常を取り戻さなければ。


そんな事を思いながら帰路についた...

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