90Dead『研究所』
「いやああ! 良く来てくれた! 疲れてるだろ! ゆっくり……いや、疲れてるとは思ってたんだけど……何かあったの? かなりゲンナリしてない?」
と1人白衣を着たメガネの若い男性が聞いた。
するとレベッカは
「いえ、ちょっと往復して」
と言った。
それを聞いて
「な……何かわからないけど大変だった……その子! なんか血を流してない!! 大丈夫なの!!」
「はい大丈夫です、出血多量で、今にも死にそうですが大丈夫です、希咲君に関しては!」
と和子は笑顔で対応した。
だが1人の白衣を着た初老の男性が
「それは大変だ! 今すぐ医務室に! 君!」
「命令するな……ボケ老人が」
とオールバックの男性が冷たい目で初老の男性を見て言った。
初老の男性は
「私はこれでもまだ30代何だが……まあいいよ……とにかくお願い!」
と言って慌てる様子であった。
オールバックの男性も
「分かったよ……着いて来い」
と淡泊に言った。
すると和子は
「じゃあ希咲君連れて行くんで」
「ああ、お願い」
「後でね」
「シャワー浴びたい」
「お腹減った……」
と和子は4人と別れた。
「君達……仲間がこんな状態ならもう少し心配しない? それで? 誰がこんな酷いことを……」
と心配そうに若い男性が聞くと
「私です」
と和子が言った。
「きっ君が!! どうして!」
「いや、ゾンビに襲われそうだったんで」
と言ったら
「もうちょっと考えて行動しようか!」
と普通に叱られた。
そして、望を連れて和子は医務室へと向かった。
そして、先程のオールバックの男性が色々と治療する包帯などを用意していた。
そして
「さてと……始めるか」
と言って望の治療を始めた。
すると
「オッパ!!」
「「!!」」
「いっぱいいっぱい」
と望が寝言を言った。
「こいつ……こんな状態でどんな夢を見てるんだ……」
「思春期」
「!!」
「ですから」
と再び望は寝言を言った。
それを聞いてオールバックの男性は
「こいつ……思ったより元気なんじゃないのか……」
と治療を嫌そうにしていた。
それを聞いて若い男性は
「まっまあ、治療はした方がいいだろう……こんなに出血をしてるんだから」
と言って望の治療をしていった。
そして望は包帯を肩にぐるぐると巻かれて
「まあ後は献血かこいつは……まずは血を調べないとな」
「ああ、こいつの学生証にO型って書いてますよ」
「ならO型の血を!」
と言ったが和子は
「私AB型で」
「取り敢えず他にも当たるか、ちなみに俺はA型だ」
「わっ私は……B型だ」
と言った同じ血を持った者を探すことになった。
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「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「ガウンガウン!!」
1人の研究者が俊敏性犬に怯えていた。
「ドっどうして! どうしてええええ!! ゾンビ犬なんかあああああ!!」
と悲鳴を上げて怯える。
するとレベッカは
「ああ、こいつは希咲君の言うことを聞くだけのゾンビ犬です」
と言った。
それを聞いて
「それはどういう!! こと!!」
とビクつきながら言った。
アレックスは
「まあ、大丈夫だ……仲間だ」
と言った。
それを聞いて研究者は
「そっそうなのか? よーしよし、お……」
「あ、手を出すと噛むよ」
「うわああああああああああああああああああああああ!!」
と撫でようとした研究者はアンジェリスの言葉に悲鳴を上げて手を引っ込める。
俊敏性犬は
「グルルルルルルル!! グルルルルr!!」
と唸っている。
それを見て剣子は
「もしかして希咲を離したから怒ってるのかな?」
「好きに行かせれば? 特に問題起こさないでしょ? 希咲みたいに」
とレベッカは言った。
アレックスは
「さすがにそれは放置すぎるぞ……取り合えず俺が希咲の医務室まで向かって行くから」
と言ったが
「ガウン!!」
と言って俊敏性犬は話している途中で勝手に行ってしまった。
それを見て
「ああ、これは見えんわ」
「追いかけないと!」
「まあ大丈夫じゃない?」
と疲れたように
「シャワー、シャワー」
とレベッカはそのままシャワーを浴びに行った。
剣子は
「ご飯……ご飯……」
と言ってそのまま食堂っぽいところへと向かった。
「ご飯……私も……」
とアンジェリスも向かう。
それを見て
「……レリアさん……あの人達怖いです……」
「さすが外で鍛えられた人は度胸も肝も据わってる」
と感心するやら恐怖するやらで戸惑っていた。
そして
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「血……O型が少ないって本当なんだね」
「ああ、研究員の誰もがO型がいないなんて……」
とさすがに途方に暮れていた。
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「グウウウルルルル」
と言って俊敏性犬は望の方を見ていた。
「おっおっおっパイ、パパイパイ」
と未だに意味の分からない寝言を言っている望に
ガブ!!
と指先を噛みつく。
そして望の体には俊敏性犬の菌が廻った。
だがその菌はもはやゾンビ化するような代物ではなかった。
それは特効薬のように望の体を修復してさらには足りなくなった血を生成、そして菌はそのまま消えていった。
望の体は完全復活を遂げたのであった。
そんなことは誰も知る由はなかった。
そして血を探していた和子は
「まあ大丈夫でしょ! 取り敢えず置いておけば気が付くんじゃない? 肉食べれば大丈夫大丈夫!」
「君医療舐めてる!」
「そんなことで人の体は危険な状態から脱せないぞ!」
と普通に怒られる。
だが血を探さないと意味がないので皆の元へと研究者も向かった。