86Dead『本心』
望は肩を負傷しながら和子に抱えられながら歩いていた。
剣子は
「なあ、希咲……何和子の胸触ろうとしてるんだ?」
と言った。
望は
「は……は……はああああ!! しっ知らねえし!! 違うし!! ちょっと肩痛いだけだし!!」
と言って明らかに言い訳臭かった。
和子は
「ああ、大丈夫、さっきからだからこれ……だから少し遠ざけたり肩の傷を触れたりして出来ないようにしてる」
と言った。
望は
「だからさっきから激しい痛みが来るのか……糞」
と悔しそうにする。
剣子は
「後でボコそうか?」
と聞くと
「いい、これ以上怪我される方が面倒臭いし」
と言って運び続ける。
そして
「あ! 戻ってきた!」
アンジェリスがレベッカに言った。
「大丈夫? さっきから悲鳴ばっかりが……え!! 希咲君!! 何その怪我!!」
とレベッカが驚いて聞いた。
望は
「和子にやられた! 糞!! あいつよくも!!」
と言った。
それを聞いた和子は
「ン? 私が何て?」
と言って望の肩の傷を再び指で押さえつけた。
「ギアアアアアアアアアアアアアア!! イデエエエエエエエエ!!」
「ちょっちょっと!! こんなところで大声出されたらゾンビ達が!!」
とレベッカが言ったがゾンビたちは来なかった。
「……変ね? 結構多かった気がするんだけど……」
と不思議に思っていた。
アンジェリスは
「まあ取り敢えず警戒はしつつ移動したほうがいいんじゃない? ていうかアレックスは?」
と聞いた。
望は悲しげな表情で
「あいつは良い奴だった……」
と言った。
それを聞いてレベッカは
「!! う! 嘘でしょ!!」
と聞くと
「あの戦いは激しかった……右手に封印されし漆黒の」
「ああ、そういうのいいから」
と和子が言うと
「知らね……いつの間にかいなかった……巨乳婆ちゃんのエロ本持ってどっか行った」
と言った。
それを聞いてレベッカは
「さてと、ここから出る準備をするわよ……」
「了解!」
「さてと」
「先にトイレに行きたいんだがいいか?」
とそれぞれ言った。
レベッカは
「良いわよ、剣子」
と言うとアンジェリスも
「あ! 私も! ついでに和子も行ったら? レベッカは?」
と聞くと
「うーん、行こうかな……いやいいや……出る気がしない……」
と言った。
それを聞いて
「分かった」
と言って3人はトイレに向かった。
すると和子が振り返って
「ああ! 後その希咲の銃弾の跡私のせいではあるよ! 取り敢えずゾンビに襲われそうだったから撃って無理矢理躱させただけなんだけど! 治療の方お願い!」
と言った。
レベッカは
「そっそう……分かったわ」
と言った。
望は
「言ったろ? 和子にやられたって」
「……うん」
とレベッカは何とも言えない表情をした。
そしてアンジェリスは
「ねえ、和子? もしかして望がゾンビ化したい理由って聞いたの?」
と言った。
和子は
「え! アンジェリスちゃん聞いてたの!」
剣子は
「いつ聞いたんだ!」
と確認を取った。
すると
「見てれば分かるわよ……まあ一番わかりやすかったのはゲームしてた時かな?」
と言った。
剣子は
「そっそれで分かる物なのか?」
と聞くと
「まあね、あいつゲームしてる時負けそうになるとわざと負ける節があったし……もしかしたら逆転とか狙わずに潔く負けた方が本人自身が満足するタイプだと思って、それで今までの流れとかを再度思い出すとそういう節いっぱいあったし、多分望は楽観的に考えたいタイプなんだと思う……辛いことを考え過ぎたくないんだと思うよ……そういう理由でゾンビ化の方が楽だと思ったんじゃない? ゾンビ化したらもう考えなくてもいいだろうし……まあ生き残ってるから未だに考えないといけない状態になってるんだけど……」
と言った。
それを聞いて和子は
「確かに、なんか意図時にゾンビに近づくだとかゾンビに話しかけるとかよく考えればてか冷静に考えれば……」
「確かにそうだな……」
「でしょ? それにゲームって意外と人の性格というか本性が出る部分もあるし……お酒を飲んだみたいに興奮すると本音が出たりするもんでしょ?」
と言った。
和子は
「確かに私もゲームしている時普段怒らないところで怒ったりすることもあるし……」
と自分自身にも当てはまることを思い出す。
剣子は
「私はゲームとかしたことが無いからな」
と言った。
するとアンジェリスは
「まあ人によっては違うんだけど何か一つの事で自分自身の本心が出てしまうことってよくあると思うよ……まあ自分自身がリラックスしている状態になると心のタガが外れて自由に出来るからね……そういうので望が自分自身の本心をゲームで露わにしてしまったんだと思うよ、本人は気づいてなさそうだけど」
と言った。
それを言った後
「ねえ? 望がどうしてゾンビ化したいかだけ私知らないんだけど教えてくれる?」
と聞くと2人は
「分かった」
と言って望のゾンビ化したい理由を話した。
それを聞いてアンジェリスは
「なるほどねえ……そういう考え方もあるのか……まあ悪いわけではないわね……クラスの皆も半ば強制的に納得した感じだけど結局決めるのは本人みたいだったし」
と言った。
アンジェリスは
「レベッカとアレックスはまだ気づいてなさそうだけど……黙っておこうか?」
と提案した。
それを聞いて
「あ、それは私も賛成、自分で気づいたときの表情とか見てみたいし!」
と言った。
アンジェリスは
「それは私も! 取り敢えず私も知ってることは望にも言っておこう」
と言った。
それを聞いて剣子は
「アンジェリスはどうするんだ? 希咲の命も守る方向か?」
と聞くと
「まあ、あんなこと考えてても仲間だし……私もそれは賛成かな……それに何かと余計なことが吉と出るし」
と言った。
和子は
「まあ凶も出るけどね」
と言って
「確かに!」
と言って2人は
「「アハハハハハハハハ!!」」
と笑った。
剣子は
「……本当にこれでいいのかな……」
と疑問に思った。