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73Dead『話し方』

望は


(ヤバイヤバイ! どうすれば! どうすればいい! イヤ! 痛いことはしないとは約束してくれた!! それが真実かどうかは分からんがもはやそれに賭けるしかない!! それに口から出まかせを言えばこいつらにバレる! ならば嘘でなく真実をどうやって自分の有利に言って退けるかだ!! 持っているカードはナンシーをロッカーに入れた、ナンシーが死んだと思った! ナンシーさんを殺したと思われそうだったから隠したってこと、ゾンビになるって事に気づいていなかっただ!! それであればもしかしら!)


と思考を巡らせて話す順を考えた。

剣子は


「どうした? 話せないのか? それなら私達は納得出来ないぞ?」


と睨みながら言った。

望は


「チョっちょっと待って! 確かに遅いのはすまないがちゃんと順序立てて話さないと訳が分からなくならないか? もう少し話をまとめさせてくれないか?」


と聞いた。

それに対して剣子は


「……確かに、話す内容が変にごちゃごちゃだとお前が本当に悪いのかすら分からない……分かった少し時間をやろう……ただし今はお前を見張った上でだ……余計なことをしない様にと逃げ出さないようにな」


と険しい表情で望に言い切った。

望は震えながらも


「ああ……それでいい」


と承諾した。

望はその間に脳内で自分が持てるカードを整理して話す内容の順序と言い方、そしてどう話すかを考えて


「よし……良いぞ……話す」


と言った。

望の中でも手札自体はすでに揃っていたので考えるのにそう時間はかからなかった。

剣子は


「じゃあ話せ」


と言って望は


「まず……確かにナンシーさんをロッカーに入れてしまったのは俺だ……」


と認めた。

それを聞いて和子は少し怒ったような表情を見せる。


ビク!!


と望も流石にその怒りに気づき震えながらも脳をフル回転させて


「だがそれは不可抗力だ! 俺自身が来た時話しかけたんだが全く反応が無くて少し体を揺らしたんだ……そしたらそのままいきなり倒れて死んだように見えたんだ……それでこの状態を見られれば俺が殺したって思われて中の人、もしくは、お前らに人殺しをしたって思われそうだと思ったんだ」


と言った。

和子はそれを聞いて


「でも私達が来たときはゾンビだったよ?」


と詳しく聞こうとした。

望は


「俺が来たときはゾンビじゃなかった、現に俺は今ゾンビじゃないだろ? 噛まれれば数分で人はゾンビになっていた、実際俺は何の処置もしていないし傷一つないはずだ! これは返り血っていうか運んだ際についてしまった血だ、だからその後ナンシーさんがゾンビになるなんて分かるわけないだろ?」


と言った。

剣子は


「確かに……ナンシーさんがゾンビになるまでに相当の時間が掛かっている……これは一体どういう……」


と悩んだ。

それを聞いてエルゲスターは


「私の弟のライベダが聖水を使ったんだろう、私自身もそのことを聞いてナンシーを探していた、そして話を聞いて死んだことを知ったんだ……」


と少し悔しそうに言った。

それを聞いたレベッカは


「聖水? 聖草とは違うの?」


と聞くとエルゲスターは


「聖草の成分を薄めて作った水だ、聖草は草ごと飲んでゾンビ化を完全に防ぐんだが水に溶かして飲むと中毒性が酷かったと記されている……その為聖草を水で飲むときは薄めて飲むことになったんだ、だがそれだとゾンビ化を遅らすことぐらいの効果しかなかった……それによって完全に治すには聖草、進行を遅らせるには聖水を使うことになっているんだ」


と説明してくれた。

それを聞いて望も


「この際言うとライベダさんにナンシーさんのことを聞いて生きていたってことを知ったんだ……そして聖水の話も聖草の話も知って一緒にナンシーさんの場所へと向かった最中に……」

「あの怪物にライベダさんが襲われたってことか……」


とアレックスは理解をした。

アンジェリスは


「そう考えると私達もここに入って来たばかりはその聖草も聖水も知らなかったわけだから望と同じようにしてしまった可能性はあるわね……」


と言った。

和子はそれを聞いて


「?? どういうこと?」


とアンジェリスに聞いた。

アンジェリスは


「望の場合は完全にその考えとは違ったけどもし死体をそのまま放置していたらどうなると思う?」


と和子に問いかける。

和子は


「えっと……ゾンビに噛まれると思う?」


と聞くと


「そう、だからゾンビが襲わなさそうなロッカーに入れるっていうのは1つにでもあるからあり得るミスだと思う……いくら望がそう考えなかったとしても望の行った行為自体は完全に悪いとは言えないと思うよ」


と言った。

望は思わぬ援護射撃に


(シャア!)


と心の中だけで嬉しがった。

剣子は


「確かに……自分の事だけを考えてただけでも普通に考えた場合では望の行った行為は何も問題はなかっただろう……聖草と聖水を知らない以上それが最善だしな……」


と納得した。

そして


「だが希咲……今回ジェイスさんって人がその行いのせいで犠牲になった……確かにお前は故意ではないがそのせいで死んでしまったことには変わらないからそれに関しては反省するんだ……お前の自由を奪いたいがさすがに今回の話を聞く分にはお前の言い分も分かるしな……ただ一つここに何をしに来たんだ? どうして教会に入ったんだ?」


と聞いた。

望は


「目が覚めたらおしっこしたくて寝ぼけながら入ってしまった」


と言った。

それを聞いて


「「「「「「はあ」」」」」」」


と皆は溜息を吐いた。


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