72Dead『自由への道』
指を斬られずに済んだ望はどこあホッとした様子であった。
そして
(指は斬られずに済んだがこれからどうする……俺の動きが制限されてしまう……そうなると俺の自分ゾンビ化計画が進められなくなるぞ……いや別にゾンビでなくても死んでもいいんだが……)
と全く反省することは無く自分自身の事での作戦を練っていた。
望は
(取り敢えずはあの神父様に謝罪は当然した方がいいだろう……もししなければすでに底辺に落ちたような新密度がカースト底辺以上に落ちて行く気がする……誰だよ!! 底辺であればこれ以上落ちることは無いとか名言をほざいた奴は!! そんなわけねえだろうが!! あるんだよ!! 底辺はいくらでも落ちて行くんだよ!! 底なしなんだ!! 下は!! 糞が!)
と名言に対して心の底から文句を言っていた。
だが
(おっと! こんなことを考えている場合じゃない!! 出来るだけ俺が+になることを考えて自分の自由を確保する必要がある!! これからも自分自身で動くことの出来る自由は!)
と必死に考えている。
すると
「あった!!」
とエルゲスターが声を上げる。
その声に反応して
「本当!! 全部燃えたわけじゃないんだ!」
とアンジェリスは嬉しそうにする。
他の4人も
「良かった……」
「それを研究機関に持っていけば」
「助けれる人が増えるんだね!」
「そうだな! 少なくともゾンビ化が防げることは大きい!」
と喜んだ。
エルゲスターは
「まあ聖草の種なんだがだがこっちの方が良かろう! 品種改良をするうえで必要なものだ」
と言って二つの種を渡した。
アレックスは
「レベッカ、この種で大丈夫か?」
と確認する。
レベッカは嬉しそうに
「十分よ! これがあれば研究所に持っていけば!」
と喜んでいた。
そして、和子は
「良かったね、希咲、さあちゃんと謝って」
と言ってそれを聞いた望は
「ああ、本当にすみませんでした」
とエルゲスターに謝罪をした。
望は一大決心をして覚悟を決めていた。
(これは大きな賭けだ……正直痛い目に合わされる可能性が高い……その時は俺の目的を言う! 正直剣子に黙っておけとか言われた覚えないし!! 言えばもしかしたら!)
と考えて作戦を実行した。
「なあ、確かに今回俺は迷惑を掛けたがそれなりにメリットはあったんだろ?」
と言った。
アレックスは
「……何が言いたい」
と険しい表情で聞いてきた。
望は
「ならば俺の自由はこれからもあってもいいんじゃないか? 話を聞いているとこれから俺を見張る的なことをしそうだけど? 違う?」
と聞いた。
レベッカは
「当たり前じゃない! 何を言ってるの!」
と怒鳴った。
望は
「だが俺がこの教会に入らなかったら素通りしてたんじゃないのか?」
と聞いた。
それを聞いて皆は黙った。
そしてアレックスは
「確かにそうだな……素通りしていた……」
と冷静に聞いた。
望は
「俺のせいで被害も出たがそれなりの成果もあった……俺の行動のおかげでって部分もあるのは間違いないだろ?」
「そうね……それに関しては認めるわ……」
とレベッカも流石に頷く。
他の2人は反論せず
アンジェリスは
「つまり望はこれからも自分の行動を制限して欲しくないってこと?」
と聞いた。
望は
「ああ、その通りだ……それに行動を制限しようがしまいがこういう被害は普通に出ると思わないか?」
と聞いた。
アンジェリスは
「そうね……あなたが変な行動をしようがしまいが誰かが死ぬことは変わらないだろうし、もし私達がここに入らなくてもナンシーさんとライベダさん、それどころかエルゲスターさんが殺されていただろうし……聖草も取られてしまって事態が悪くなっていた可能性もあるし」
と可能性を考えた。
望は
「そうだ、今回は俺のせいで出た被害はその種で帳消しになったんじゃないのか?」
と聞くと剣子は
「それはないだろう」
と言った。
望は
「!! ドっどうして!」
と普通に驚いた。
すると剣子は
「その体についた血は何だ?」
と聞いた。
望は
「えっと……これは……」
と戸惑った。
剣子は
「もしかして、お前のせいでライベダさんがゾンビになったんじゃないのか? そしてナンシーさんも含めて……」
と聞いた。
望は
「……ライベダさんって?」
と普通に名前を聞いても分からなかったので質問した。
剣子は
「エルゲスターさんの弟さんだ……もうここには2人神父いたんだ……後ナンシーさんがシスターだ」
と言った。
望は
「ああ、確かにライベダさんとは会ったよ……だけどそれは消えたナンシーさんを探してただけで俺のせいで死んだわけじゃない……」
と言った。
剣子は
「それはどういうことだ?」
と聞くと望は正直に
「道を歩いていたらクリーチャーに出逢ったそれにライベダさんは食べられた。そのままクリーチャーは俺から勝手に離れて行った……それが真実だ」
と言った。
剣子は
「……そうであるならばお前のせいで死んだとは確かに言えないな……一緒に歩いていたらゾンビになってしまった……と言うことで責めることは出来なさそうだ……」
と言った。
望は
「そっそうだろう! なら」
「で? それなら血は着くとは思えない……ナンシーさんか? その血は」
「……」
望は詰まった。
エルゲスターは
「だがこの子にはナンシーをゾンビにするメリットが無い……」
と言った。
剣子は
(確かに……もし近くにゾンビがいるのならばアンジェリスが噛まれそうになった時に自分がそれを奪おうとするはず……いや待てよ……)
と考えて望に
「希咲……ロッカーに入れただろう」
ビク!!
「え……」
と少し反応した。
剣子はそれを見逃さなかった
「つまりその血はナンシーさんをロッカーに入れたってことか」
と言った。
望は
「待て!! 俺は何も言ってないぞ!!」
「正直に言えば痛い目に合わせない……皆もそれだけは約束してくれ」
と言った。
5人は
「約束する」
「入れた理由は知りたい」
「確かに……意味も無くしないでしょうし」
「ちゃんと理由があるなら」
「お願いだ……正直に話してくれ」
と言った。
望は
「本当に? 痛い事しない?」
と聞いた。
剣子は
「認めたな」
と言ってそれを聞いた望は
「あああ……」
青ざめた。