66Dead『戦士たち』
私達は石を守れたと勘違いしていたのだった。
だが心配なので確めに行ったのだが
「……恨みの石が無い」
「そんな……どうして」
「これじゃ、ナリザが死んでまで守り通せたと思ったのに……」
石は当然のように無くなっていた。
そして、我々は必死になってベルゲザズの素性を調べた。
するとレイビン家の名前が出てきた。
すぐさま彼を殺人罪と強盗罪で訴えたが
判決は無罪であった。
明らかに大きな力によって罪はもみ消されていた。
そして、ベルゲザズは他の誰もいない我々の前で
「ハハハ!! 懺悔すれば罪は許されるだって!! 違うね! 力を持つ者はッ罪に問われないのだよ! これが現実だ!! ほら! 与えてみろよ! 俺がやったにふさわしい罪の罰を喰らわせて見せろ! 俺は謝罪もしてないし反省もしてないぞ!! お前らの神様はいつ動いてくれるんだ! ハハハハハ!!」
と言った。
ライベダは
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
と言って殴り掛かった。
「止めろ!」
「もうやめて!」
と言って俺とナンシーは止めようとしたがライベダは止まらなかった。
だが
「ダメ……ベルゲザズ様には触れさせない」
と1人の少女らしき者に止められた。
その時私は恐ろしくなった。
少女の目には少女らしい目ではなかった。
何の輝きも無く
死んだようにただ命令だけに従うような目であった。
こんなただの女の子がどうしてこのようになったのかは明らかにベルゲザズが原因だということが分かるぐらい少女はベルゲザズに従順であった。
私は
「貴様……この女の子に何をした」
と聞いた。
ベルゲザズは
「彼女から彼女を奪って別の物を与えただけだ……ただそれだけだ」
と言ってニヤリとベルゲザズは笑った。
その笑顔はあまりにも汚らしく思えて仕方なかった。
私はベルゲザズに聞いた。
「あの石をどうするつもりだ! 何に! 使う気だ!」
ベルゲザズは呆れたように
「もう使ってるさ……1人の女の子にな……そして、いずれ分かる……この石が人類に最大の絶望を与えて我々に最大の喜びを与えるということにな!」
と不気味に笑いながらその場を去って行った。
そして、我々は結局裁判にも負けた上酷い借金をして石を取り返すどころではなくなってしまったたのであった。
その後レイビン家の一人娘が病魔に伏せているという情報を聞いた。
恐らく効力が弱った石を使ったのだろう。
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エルゲスターは
「それが私が話せる全てだ……」
と言った。
アンジェリスは
「待って……待って待って待って!! 私の妹は! メアリーはそんなくだらない実験とこんな地獄を作るためだけに殺されたの!! ふざけないで!! ふざけないでふざけないでふざけないでええええええええええええええええええ!!」
と声を荒げながら泣き喚いた。
和子は
「静かに……悔しいだろうけど……しず……かに……」
と言って滂沱の涙を流していた。
剣子もどこか悔しそうにしていた。
レベッカやアレックスはただ冷静に
「エルゲスターさん、それはあなたのせいではない……あなたは出来るだけのことをしたんだ……大したもんだよ」
「そうです、むしろあなたは被害者ですよ」
と言った。
エルゲスターは
「いや……我々が甘かったせいで石は盗まれた……我々が馬鹿だったせいで……それはもう償うことの出来ない罪だ……それを償う覚悟もある……だがその前にこの地獄を作った奴等を倒し元の世界に戻してからだ……ここで私が諦めるわけにはいかない……ナンシーは殺されたがライベダと私はまだ生きている……必ず私達2人で奴らの野望を止めて見せる」
と言った。
ものすごい覚悟をして挑む男の目であった。
アレックスは
「大丈夫だ、お前とライベダさんだけではない……我々も元の平和な世界に戻そうとしている……あなたたちだけが戦ってるんじゃない……」
「そうですよ、我々を外さないでください」
と言った。
アンジェリスも
「私も……メアリーを殺した奴等を……お父さんを変えてしまったあんな奴等だけには負けたくない……絶対に」
と言った。
和子も剣子も
「私も自分の人生を諦めるつもりはない! ただ死ぬのを待つぐらいなら戦うよ!! 戦って私は元の人生を取り返してやる!」
「ああ! 和子の言う通りだ! 私だってただ見ているのはしょうに合わない! なら戦う! 戦って勝って見せる! 見ての通り私は負けず嫌いなんでね!」
と言った。
エルゲスターは
「そうか……感謝する……戦士たちよ」
と言って嬉しそうにした。
すると和子は
「でもなんで石だけなんだろう……聖草は盗まれなかったの?」
と聞いた。
エルゲスターは
「ああ、極秘にされていたのだが石だけはどうしても歴史上に乗ってしまったのだ……そして、封印することしか出来なかったとも……だが聖草だけは何とかその時の奇跡の草としてもう存在していないことに出来た……残念ながら歴史の改竄も難しくてね……」
と言ったことで
皆
「「「「「それなら良かった」」」」」
「ガウン」
「!! 何だ! いつの間にゾンビ犬が!」
と1匹の犬にエルゲスターはやっと気づいた。
「ああ、私の後ろにいたから見えなかったんだ……このゾンビ犬は大丈夫……一応……望を守ることしか興味ないみたいだから」
とアンジェリスは説明した。
エルゲスターは
「ノゾム? いったい誰だねその人物は」
と聞いた。