59Dead『俺は悪くない』
「グーがあ!! がっが! あああ……ねむ」
と望は目が覚めた。
しかし、余りにも寝過ぎていた為に頭があまり回っていなかった。
だがそんな望でも車が止まっているのが分かった。
「……ああ……車が止まってる……ううううん……なんか眠いような眠れないような……」
と頭痛が起きていた。
望は
「ああ……トイレ……」
と言って止まっている車から降りた。
ズドドドドドドド!
そんな銃声の音すらも今の望は気にも留めることは無かった。
ただ眠いようなでも眠れないようなという状態で脳が働かず催す尿意を何とかしたいという想いだけであった。
そして
「あそこかな……」
とただ一人教会の中に入って行った。
「……あああ……すいませーん、トイレ貸してくれませんか?」
と言って辺りを見渡したが誰もいなかった。
望は
「うーん、誰もいないのか?」
と独り言を言いながら探していると1人誰かが座っていた。
教会の長椅子に1人シスターらしき人物がいた。
望は
「何だよいるじゃねえか……なら返事ぐらいしろよ……」
と呆れながら言った。
そして
「おい、聞こえてる? トイレ貸して欲しいんだけど?」
と再び質問した。
だが何も答えて貰えなかった。
望は少しイラッとして
「おい! 聞いてるのか!」
と言って肩を少し叩くと
ドシャ!
とそのまま揺らした方向倒れた。
そしてそのまま血を大量に飛ばした。
「……」
望は唖然とした。
そんな異常な状態に
シスターは完全に白目をむいて死んでいた。
望は震えた。
久しぶりに震えた。
涙を少し流しながら望は
「お……お……」
と震えながら大声で
「俺のせいじゃねえからな!」
と誰に聞かれたわけでもないのに勝手に言い訳をした。
だが望は冷静に考えた。
余りの出来事に少し目が覚めたのであった。
「落ち着け……こいつは死んでいる……ゾンビならすぐに動き出すはずだがまだ動いていない……つまり死んでいる……動かない……だからこそ問題だ!!」
と自分に言い聞かせた。
(こいつがゾンビならば噛まれれば俺はゾンビになってそれでOK終わりだ! だがゾンビじゃないならばこいつに噛まれてゾンビになることは無い……死んでいる人間の目の前に俺が立っていることが問題だ……)
と考えていた。
望は
(もしこんなところを誰かに見られれば俺がやったと勘違いされるのは目に見える……あいつらに見られても同じ可能性があるだろう……信用性もほぼ皆無だし……見つかればボコボコ……殺されるならば我慢も出来るが……いや出来ないほどの苦しみが待っている……こうなったら……どこかに隠すしかない!)
と考えた。
望は
「どっどこに! どこに隠す!」
と探していると
「!! あった! ロッカー! なんかあの学校以来!」
と隠す場所を見つけた。
望は
「誰もいないな……よし」
と死んだシスターの手を持って引き摺って運んだ。
血が床に垂れながらロッカーまで運んだ。
そして
「よし!」
と近くまで持ってきてロッカーを
バコン
と開けた。
中にはモップがあったためすぐにそれを退けた。
そして
「よいしょ!」
とシスターを押し込んでロッカーを
バコン
と閉めた。
望は
「よし! これで……うわ! 床に血が!! これじゃバレる!」
と床を見て焦った。
が望は
「もっもっもおっモップ!!」
と嬉しそうにして床を
「フキフキフキフキお掃除大好き!」
とルンルンに床の血をモップで擦った。
床は大量に血が広がった。
「……まっまあ! これはこれで攪乱してるかな……多分」
と望は床の有様を見て取り敢えず納得した。
床はかなり血で濡れていてどこに死体を隠しているかが分からなくなっていた。
靴はべっとりと血が着いていて服にも多少血が着いているが
「うん、これはその床の血が飛び散ったと考えれば……」
と考えて自分を納得させる。
すると
「!! わっわっ忘れてた! トイレ!!」
と言って教会の奥へと入って行った。
望がそこを後にしてから数分後
「な! 何だ! ここは! この血は!!」
と1人の神父が震えながら言った。
神父は長椅子の方を見て
「ナンシー! どこだ!! 聖草を持ってきた!! これがあればお前はゾンビにならない! どこだ!」
と叫んだ。
しかし、ナンシーの声はしなかった。
神父は
「いったい……いったいどこに……」
と探し始める。
しかし、どこにも見当たらなかった。
「まさか……だがまだ早い……聖水でゾンビ化を遅らせてたんだ! もしかして誰かが……」
と思い
「させない! 絶対に!」
と言って教会の中へと入って行った。