57Dead『勉強』
瑛代達は食堂にいた。
「これだけあればある程度船で生活が出来るな……ここを拠点として利用しよう、そうすれば逃げることも可能ね……とにかくこの船の運転を覚えていつでも逃げれるようにしておこう……」
と船のマニュアルを取り出した。
それを見て京は
「瑛代……それはどこで?」
と聞いた。
「船室の中に入っていた。自動運転ではあるがこれは目的の場所以外は行かない様になっている……つまり別の場所に行くためには自らが運転する必要がある……これは絶対事項だ、この船の運転を覚える」
と言った。
それを聞いて
「はあ、勉強か……私は嫌いなんだがなあ」
とうんざりしたような口調で奈々子は言った。
瑛代は
「分かっているが今はやれ……生きる為にな……たとえ誰が死んでも運転できるようにな」
と言った。
奈々子も
「ああ……そうだな……瑛代のおかげでだいぶ覚えが早くなったしな」
と言って頭をポリポリ掻いた。
瑛代は
「取り敢えずこれを全てコピーした、コピー機もあるって素晴らしいじゃないか……この船は……」
と事前に用意した資料を皆に手渡した。
京は
「ありがとう、瑛代」
と言って資料に目を通す。
「なるほど……実際に運転も必要だけど……燃料の無駄だから瑛代の詳しい解説まで……瑛代……これを作るのに結構時間かかったんじゃないの?」
と言った。
瑛代は
「3日もあったんだ……しかもすることは何もないし昔田舎で近所の人に教えてもらったことがある……だいぶ違う部分もあったがマニュアルを見てだいぶ自分の中で訂正を入れていた、それに……分かりやすく書くのは自分の中で理解が深まる……だからその解説も自分が覚えるのと同時に行うことが出来た」
と言った。
京は
「さすがは生徒会長を引き摺り降ろして会長に成り上がろうとしていたお人……手際がいいですね」
と言った。
瑛代は笑いながら
「京、あれは前の生徒会長が雑魚だからそれほど苦労はなかったよ、この船の運転に比べれば」
と言った。
それを聞いて誠子は
「いやいや、簡単って……支持率100%なんて普通は無理ですよ? あれもそれもかなり酷いやり口だったじゃないですか? プップ!!」
と笑っていた。
瑛代は
「だからだよ……酷いやり方が出来るってかなり楽しく出来るんだよ? それに……お前らのおかげででもあるし」
と言った。
加奈は
「まあ私は勉強は得意だしすぐに出来そうかな、私は」
と言った。
瑛代は
「覚えた者から分からない者に教えれば効率がいい! 自分の理解も深まる! 後実戦でしか出来ないから運転の際は皆で確認と警戒をしながらする! 以上!」
と言った。
そして
「「「「了解!」」」」
と言って皆勉強に取り掛かった。
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船の講習の数時間前
「皆、準備は出来た?」
とレベッカが聞くと
「ああ!」
「ばっちり!」
「大丈夫だ!」
「うん!」
「グー」
と望以外返事をした。
望は荷物を入れてしまった後にすぐに寝てしまったのであった。
レベッカは
「えっと……」
と望の方を見て大丈夫なのかと不安になった。
アンジェリスは
「大丈夫……私も確認していたからこいつの荷物は全部入った」
と教えてくれた。
レベッカは
「ありがとう」
と言った。
そして
「じゃあ出発しましょう!」
と言って車を発進させた。
降りるとやはり外にはゾンビがいた。
「あの子たちが降りたか分からないんだけど……大丈夫かな? あの橋放置で?」
と和子が心配すると
ギギギギギギギギ
と車の道になった橋が勝手に上がった。
それを見て
「あの少女! いつの間に!」
と言って剣子が見ていた。
アンジェリスは
「あの人……京ちゃんだ! いつの間に!」
と驚いた。
レベッカは
「抜け目はないのね」
と言ってそのまま心配なく発進。
「京、ありがとう」
「いえいえ、見張ることが私の与えられた任務ですので」
と言って通信をしていた。
そして
「さてと……船室に行かないといけないんでしたっけ? 直ぐ行きます」
「お願いね」
と瑛代の連絡を切った。