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56Dead『感情』

船は到着した。

敵のいる土地に

6人は船を降りる準備をしていた。

そんな時望は


「なあ、本庄……一つ聞いていいか? 俺にはどうしても分からないことがあるんだ……お前は俺の望みを知ってるからだからなんだがな……」


と準備をしながら聞いた。

剣子は


「何だ? どうせしょうもない事だろ……」


と呆れながら聞いた。


望は


「どうしてこんな壊れた世界で生きようとするんだ? こんな壊れた世界で俺らに何が出来るんだ? 正直無駄になって終わるかもしれないぞ?  それにいくらレベッカさんやアレックスさんがいるからって上手くいく事ばかりじゃないだろ? それどころか幸せだと思った瞬間に絶望へと叩き落とされる方が辛いんじゃないのか? たとえばお前の場合は目の前で音無がゾンビ化する可能性だってあんのに?」


と少しニヤつきながら聞いた。

剣子は


(ああ、そうか……こいつはまだ諦めてないのか……相手を絶望させて諦めさせる……そうすることによって自分がゾンビ化する方法を……そしてその相手を私からってことか……和子に執着する私から……)


と察することが出来た。

剣子は思った。


(ならこいつを説得してみるか……絶望させようとした仕返しとして……)


と考えた。

剣子は


「そうだな……お前のような屑には分からんだろうけど……精一杯生きたいと思ってるんだよ……お前ぐらいだぞ、ゾンビになって楽になろうだなんて……」


と呆れながら言った。

望は


「え? 前にも言ったけどたいせつな人を殺す可能性があるんだよ? それって音無を殺す可能性だってあるんだよ? それなのに生きるの? 絶対の俺には無理だな……死んだ方がマシだな……」


と言った。

それを聞いた剣子はイライラしながらも


「確かにそうなる可能性も無くはないがそんなことを考えていたら何も出来なくなるだろ! それに上手くいかないのはこんな世界になる前だってそうだろうが!」


と言った。

望は


「いや、俺はコネがあったからそれはないかな……」


と舐め腐ったことを言った。

それに対して剣子はさらにイライラして


「バカが!! コネで入って楽できると思うな! コネの場合はそこからが大変だろうが!」


と言った。

望は


「残念! 昔から家族のコネで無能が上に立つという歴史はいくらでもあります! それに情報化社会のこの世の中であれば頭のキレる人材を見つけることも可能だしそいつに統制を取って貰うのもアリです!」


と誇らしげに言った。

剣子は


「てめえはお飾りか! ていうかそれだけ楽をする方法が思いつくなら死ぬ気で頑張ればお前少しは優秀になれるだろ!」


と険しい表情で言った。

望は


「え? 嫌かな……しんどいのは」


とキョトンとして言った。

それを聞いて剣子は


「お前!! 少しは我慢をするっていうことを覚えろ!!」


とイライラが激しさを増しながら言った。

望は


「だってさあ、この社会は無能な上司が部下に仕事を押し付けて散々苦しめた挙句自分の仕事のように手柄だけを奪う人の方が多いんだぞ? そりゃ確かに部下のことを考える出来た上司もいるだろうけど大半が酷い上司だらけだぞ? 俺ぐらい増えても大して変わらんだろ?」


と誇らしげにしながら言い切る。

剣子は


「その一人ぐらい大丈夫がこの社会を腐らせる原因なんだよ!! お前はそれも分からんのか!!」


と怒りが絶頂に達して刀に手を当てた。

それを見た望は


(フフフ、こいつ俺が皆をゾンビに誘導すると思い込んでまんまと罠にはまったな……最初っから俺はこれを待ち望んでいた!! こいつは結構な負けず嫌いと見た! 俺が人生舐め腐ったことを言いまくって相手をイライラさせる! そして今のこいつらはゾンビを殺しすぎて人を簡単に殺すような死生価値観に下がりつつある! そして我慢が限界に越えた瞬間! この券で俺は手遅れに!!)


と高揚を覚えながら望は


「ハハハ! 俺勝組みだからさ! ゾンビの世界じゃなければチートコースなんだ! あーあ! こんな世界生きる理由ないわ! こんな楽じゃないなんて!」


とあからさまに挑発した。

だが剣子は先程の言葉に怒りが耐えられず


「この糞があああ!!」


と声を荒げて剣を抜いた。

その瞬間


(!!!! ……私は今何をしようとした……こいつの言葉で怒りが爆発した……完全に……そしてゾンビでもないこいつを斬ろうとしたのか……危なかった……死生観がやはりゾンビを殺すことで下がっていたのか……落ち着け……こいつを斬るのはダメだ……それをしてしまえばそれこそこいつの思う壺だ……)


と冷静になって


「おい……望……私はお前を斬るつもりはない……例え私の怒りを買おうとしても無駄だ……覚えておけ」


と震えながら刀を戻した。

望は


(チ、ダメか……おそらく人を斬るという感覚的な恐怖がまだ残ってるな……今怒らせるようなことを言っても完全に冷静になったようだし……無駄か……だがあと一言だけ言ってみよう)


「マジギレズッパアアアン」

「ああ!」


と言って


ドズン!


「いっでえええ!」


望の頭を鞘で叩いた。


「次いったらグーパン、分かったな」

「はい」


そう言って剣子は


「私は準備に取り掛かる、お前も急げ」


と言って荷物を運ぶ。

望は


「また今度仕掛けるか」


とそう考えた。


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