51Dead『懐かしき思いで』
望はお父さんの実家にいる時だった。
お母さんである紗千奈から
「お爺ちゃんにお弁当届けてくれる? 工房にいると思うから」
と言われた。
妹の瑛代と遊んでいた望は
「別にいいけど、お母さんは?」
と聞くと
「お母さんはお爺ちゃんに嫁イビリされてるから……ごめんね?」
と言った。
望は
「分かった」
と言って瑛代とやっていたゲームを置いた。
すると
「瑛代も行く!!」
と言った。
望は
「いいの?」
と紗千奈に聞いた。
すると
「一緒に行って来ていいわよ、お爺ちゃんの邪魔をしないでね?」
と瑛代に言った。
瑛代は
「分かった!」
と言って望と一緒について行った。
そして、工房に着いて
「お弁当どこに持っていくんだろう?」
と望がキョロキョロしていると
「お兄ちゃん!! 入口あった!!」
と瑛代が指を指した。
望は
「分かった!」
と言って瑛代と一緒にお爺ちゃんの元へと向かった。
すると
「何をやってるんだ? ガキが来るところじゃないぞ?」
と1人の男が睨みながら話しかけてきた。
望はイラッとしたのか
「うるさいな、お弁当届けたら帰るよ」
と言って工房へと入ろうとした。
すると
「年上に態度が成ってないぞ! 糞ガキが!!」
と言って突然殴ろうとした。
するとその勢いを利用して瑛代は男を背負い投げをして
バギイイ!
「ウグウ!!」
男はそのまま組み伏せられていた。
瑛代は
「お兄ちゃんは忙しいの……邪魔しないでくれる?」
と言ってそのまま
バキ!
と指の骨を折り
「イギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「ご苦労、妹よ」
「感謝の極み」
2人は主従関係ごっこがブームだった。
そして、2人は絡んできた突破して工房へと入った。
「おお!! 我が麗しの孫たちよ!! 来て……」
「お弁当ここに置いておくね」
と言って望は瑛代連れて家に戻ろうとした。
すると
「ちょおおっとおおおお!! お爺ちゃんは何してるのとか聞かないのかああああああああああああ!!」
とお爺ちゃんは泣きながら2人を止めた。
すると望は
「いや、興味ないし」
「お兄ちゃんは忙しいの」
と言ってそのまま行こうとした。
お爺ちゃんは
「まってまててあ!! 聞いてよ! 褒めてよ! そして称えてよ!! ワシ頑張っておるんじゃぞ!!」
と言った。
望は
「ええ……だってそれ銃刀法違反じゃん……」
と言った。
それを聞いてお爺ちゃんは
「ワシはちゃんと許可を得てるから!! そもそもこれは芸術だから!! 作っていいんじゃよ!! 何じゃ! その中途半端な知識は!!」
と言った。
望は
「そうなの? 危ない物を持っているとそんな法律に引っかかるって聞いたことがあるから……まあ大丈夫ならいいけど……じゃ」
と言って再び帰ろうとした。
お爺ちゃんは
「待ってって!! せっかく来たんじゃ!! 見て行くのも勉強じゃぞ!!」
と必死で止めようとした。
すると瑛代は
「お兄ちゃん……これ以上はお母さんイビリが強くなるかも……」
と言って望は
「分かったよ……10分だけ……」
と言って工房へと入って行った。
お爺ちゃんは
「何じゃ……この孫たちは……」
とゲンナリとしていた。
望は
「いっぱい同じ物がある……」
と言った。
お爺ちゃんは
「ハッハッハ! 子どもにはまだわからんかな!」
と言って笑っていた。
望は
「うん、分かんないから帰るね」
と言って瑛代と外に出ようとしたが
「待って!! 待って!! 待ってええ!!」
と言って服を引っ張り必死で止めた。
望は
「もう……」
と言って呆れながら望は再び工房を見て回る。
瑛代は
「でもこれだけ同じものがあったらどれがどれだが分かるの?」
と聞いた。
お爺ちゃんは
「ハッハッハ! この大吉郎! 自分で作った刀は全て把握しておる!! これでも人間国宝だからな!」
と言った。
望は
「え!! 刀なんてもう誰も持ってないのに!」
とびっくりしていた。
大吉郎は
「いや、確かにそうだけど……そういうことじゃなくて……」
と言った。
大吉郎は
「こういうのはな、芸術と言うんじゃ、そして職人が一つ一つに魂を込めて打ち付けて刀を鍛え強くしてそしてより美しくより強い刀を作り上げることが出来るんじゃ、魂の籠っておらん刀は決して強くはない……だからいつまでも人間が手作業で作り上げるんじゃ、分かるか?」
と聞いた。
望は
「お婆ちゃんは刀を打つのは不純物を取り除いてるのであって魂は籠ってはいないよって言ってたよ?」
と言った。
大吉郎は
「あの糞ババアが……」
とぼやいた。
瑛代は
「お爺、今何を作ってるの?」
と聞いた。
大吉郎は
「おお! 聞いてくれるか! 今な! ある会社の社長から頼まれた品を作っとったんじゃ!」
と言って笑顔になった。
望は
「じゃあ邪魔なんじゃないの?」
と言った。
大吉郎は
「そんなことは無い!! お爺ちゃんにも休む時間は必要じゃからな!」
と言って望と瑛代を抱きしめた。
瑛代は
「おまわりさああああん!! こっちでええええす!」
と言った。
大吉郎は
「ちょ!! 止めて! 瑛代ちゃん!!」
と言って真っ青になった。