424Dead『生存するための戦い』
瑛代達は国の地下中枢部へと向かった。
そこは避難民という名の上級国民達のいる場所ではなく作戦を立てて戦いを準備する武器庫などがあった。
瑛代は
「本格的に我々を殺す武器があるね……細胞を破壊する為の銃や再生能力を阻害する刀とかあるよ」
と言いながら見回った。
ベルゲザズは
「奴等も俺等を殺す気満々だし、お前をもバラす準備を整えている」
「そして、その為に核兵器を使って私達の国を壊して絶望させて戦力を削いだところに攻め込むって感じ? 私達が戦い合って疲弊したところに奇襲をかける感じだね」
と瑛代はベルゲザズと話す。
和子は
「本当にたくさんあるね……ねえ剣子ちゃん、その刀もさっき清田君を斬った時仕込まれてるよね?」
と聞くと瑛代は
「まあお祖父ちゃんに同じような武器を作らせたんだけどね……」
と言った。
それを聞いて剣子は
「それで良いよ、私はこのマジギレズッパアアアンを使って敵を討ち滅ぼす事しかできないしな……それに刀が折れてしまわないように自分の技術に合った握り心地にされている……さすがは人間国宝だ……」
と感心していた。
瑛代は
「まああの爺さんの唯一の特技だしね……人間なんて大抵一つの事が出来れば何とかなったりするよ? その一つを極めるのが難しいけど」
と言った。
その時だった。
「そして、その一つを極めたものがここに二人いるという事だな……」
と声が聞こえてきた。
それを聞いて剣子は反応した。
そこには一人の男性がいた。
剣子と同じく刀を持っている。
男は
「安心しなさい、お父さんはゾンビではない……そんなことをすれば本能や生存能力を失う……死ぬ為に戦うのでは勝てんし死なないからと言って強くなるわけでもない……一瞬一瞬油断することなく、一瞬一瞬相手を見くびらない……そしてどんな奴にも不意打ちや卑怯な手で勝つ方法は間違っていないと私は考える……そして正々堂々戦うのも悪ではない……」
と言って剣子を睨む。
剣子は鋭い目つきで
「ふううう」
と空気を吐き出す。
男も
「ふううう」
と同じように息を吐いた。
緊張が走った。
するとベルゲザズは
バン!!
と銃を撃った。
しかし、男は血も飛ばさす倒れることもなかった。
刀を抜いた様子すら分からない。
しかし、壁は二つの穴が開いた。
剣子は
「全く、お父さまの居合は本当に凄い」
「感心してくれてありがとう……娘よ……そして、油断戦でくれてありがとう」
と言ってお父さんは斬り込んだ。
キイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!
と一瞬にして距離を詰められた剣子は咄嗟に剣を受けた。
お父さんは
「ふむ、やはりゾンビまみれの世界はお前を飛躍的に成長させたか……そんな成長は全くの予想外だがまあ良い、父はお前の成長を見れて嬉しい」
と言った。
剣子は
「お父様はやはり国に使える身として戦ってるのですか?」
と質問をした。
するとお父さんは
「お金も貰えないのにどうしてそんなことをする必要がある? いつの時代も報酬があるから仁義も人情も助けたいという思いも出る……しかし、国は俺に何もしていない……」
と言った。
剣子は
「では……私と戦う為ですか?」
「その通りだ……私は誇りより娘の成長こそが最大の幸せだからな」
と言った。