41Dead『生きる者』
俊敏性犬と激闘を繰り広げて最終的に瑛代たちにクリーチャー型ゾンビは1体倒された。
そして、瑛代たちは
「これからどうする?」
と加奈が聞いた。
瑛代は
「そうだね、この死体は完全に動いていないから大丈夫だと思うけどこのクリーチャーだけっていうのも怪しいしそれにさっきのクリーチャーも殺されていないし……取り敢えず1体が弱ってたからわざわざ出てきて倒したわけだしもう一度通風孔に入ろう」
と言った。
アンジェリスは
「確かに、さっきのクリーチャーだと通風孔の中は入れないだろうし……だけどもししただけを通風孔の中に入れてきたら危ないからその策はあるの?」
と聞いた。
すると他の皆は
「大丈夫だよ、そういうことは大体これで解決できるから」
「そうそう、悩んでも意味がないんだよ、意外と出来ることは少ないし」
「まあ出来ることをやって置いておくことかな」
「それでも無理なら」
と皆は
「「「「「諦めて死ぬ」」」」」
と言った。
アンジェリスは
「え……死ぬの?」
と青ざめて聞いた。
すると瑛代は
「そもそもこんなのただの無理ゲーよ? 私たちがここまで生き残れたのがほとんど奇跡に近いよ?」
と言った。
アンジェリスは
「確かにそうかもしれないけど……でもただでは死なないの?」
と聞いた。
すると
「まあ取り敢えずは逃げるかな? 他の仲間を置いてでも」
と言った。
アンジェリスは
「に!! 逃げるって!! 皆本気!!」
と聞いた。
すると
「私達はここに来るまでたくさんの助けてを聞いたよ」
「でも助けれそうにない人は普通に見捨てた」
「子供も泣き叫んでいたけど聞かないふりをした」
「前にいる邪魔な人は押し退けて逃げた」
と言った。
瑛代は
「それに私はもうすでに1人殺したよ? 必要な物を取るためだけに人の命を奪ったんだ……それに関して私はもう後悔していないし皆もすでに受け入れているよ、残念ながら私たちはもうすでに生きる為だけに壊れてるんだよ」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは
「だっだったら!! 私は何で助けたの!! 本当は苦しいんじゃないの!! でなきゃ人を助けようと! 私を助けようとしないでしょ!!」
と必死に抗議する。
すると皆は
「「「「「君は何か重要な人な気がするからだ」」」」」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは
「……」
と黙ってしまった。
彼女らが盗聴してこの船を見つけたというならばきっと自分の事情も知っているのだろう。
そして、そんな重要な人物が死ねば自分たちに不利益が生じる可能性を感じたのだろう。
その為だけに自分を助けることを決意したのだと理解した。
そして、アンジェリスはそのことを責めることは出来なかった。
本当の事だからである。
こんな状況は自分の親族が起こしたことである為、自分を狙っているという可能性を彼女らも何かに気づき始めているのであろう。
詳しくはアンジェリス自身にも分かってはいないが自分が生き残ってやるべきことが少し見えてきた。
そして、アンジェリスは
「ねえ! お願いがあるの!」
と言った。
それを聞いて瑛代は
「何?」
と聞いた。
アンジェリスは
「仲間になって欲しいの!! 知ってるとは思うけど私の血縁の者が起こしたこの大惨事を治めるために一緒に戦って欲しい!! 皆ならきっと……」
と言い終わる前に
「ごめんだけど、私は英雄になるつもりはないよ、他の皆も……」
と言った。
つまりは一緒には戦わないという返答であった。
それを聞いたアンジェリスは
「どうしてか……聞かせてくれる? 英雄になるつもりがないからだけじゃないんじゃない?」
と質問した。
瑛代は
「私にとっての幸せが戦うことじゃなくて生き残ることだから」
と言った。
シンプルな答えだった。
戦えば死ぬ可能性が高まる。
そして今回の戦いは自分たちの命を守るためにクリーチャー型ゾンビの数を減らしたのだろう。
そうすればこの船を安全に渡ることが出来ることを彼女たちは分かっていたのであった。
それを聞いて
「分かった、じゃあ死なないでね! 私も死なないから!」
と言った。
瑛代は
「当たり前だよ」
と言った。
他の皆も頷いた。
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「いいねええええ!! 深い友情!! 分かりあえる心!! 何とも美しい!! 何とも素晴らしいか!! だがそんな強がりがいつまで続くかな? もしあのクリーチャーをもう1体倒せればその船で逃げることを許してやるよ! そして着いた先でもっと絶望するがいい!! 貴様らにはもう逃げる道はないということを!」
ベルゲザズは笑いながら言った。
それを聞いて男は
「おい!! 何を言ってるんだ! そんな悠長な!! ちゃんと殺しておくべきだ!」
と言った。
ベルゲザズは
「黙れ」
と言って拳銃を突きつけた。
「ク!!」
「お前は生かしてやってるだけだ……我々に従って貰う」
と言って
バン!!
「グアアアアアアアアアアアア!!」
肩を撃ち抜いた。
そして、
「レアズ!」
「ハ!!」
「治療してやれ」
「了解しました」
と言って陰で隠れていた女性らしき人間が男を抱えて消えた。
ベルゲザズは
「さあ、お楽しみはこれからだぞ?」
と言った。
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「気持ち悪いいいい……しんどいよおおおお……」
望は再び船酔いを起こしていた。
「「「「「「「「「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」」」」」」」」」
大量のゾンビの声が船で反響して耳に入り酔いを早めてしまったのであった。