39Dead『戦い』
望は俊敏性犬とゾンビたちを望まぬ形で連れて行きながら船の中を動いていた。
「はあ、一度はいたら数分は大丈夫だけどまた吐く前にアンジェリスから酔い止めもしくは飴を貰わんと」
とアンジェリスを探していてた。
そんな時俊敏性犬は
「グルルルルルル」
と唸っていた。
望は
「うるさいぞ、静かにしろ」
と言って軽く注意をしてそのまま進んで行く。
だが俊敏性犬は立ち止まり望とは反対の方向を見ていた。
すると
「グウウウウグウウウウ」
とクリーチャー型ゾンビが睨んでいた。
望は
「だからうるさいって」
と言いながら振り返らずそのまま遠くへと行った。
※ここからは俊敏性犬とクリーチャー型ゾンビの会話を日本語にします。
『フン貴様……あの時飢餓状態になった糞犬か』
とクリーチャー型ゾンビは言った。
俊敏性犬は
『あなたは……レイビン家で開発を進められていたクリーチャーか……ほとんど意識はなかったがずいぶんと調整をされたものですね』
と言った。
クリーチャー型ゾンビは
『フン! 貴様らとは違うんだよ! 日本と言う国に解き放たれた者の量産型だが貴様らの様な戦闘力の低い犬畜生如きとは違うんだよ』
と言った。
俊敏性犬は
『そうか……能力を誇るのは良いがお前はここで何をするつもりだ?』
と聞いた。
するとクリーチャー型ゾンビは
『そんなの簡単だ! 個々の人間を殺すことが俺の任務だ!! お前はその標的ではないがな! お前は連れて帰って研究材料の一つになるんだ! お前はあの男を守るためにどうやら進化したみたいだからな! 俺と会話出来ているのが何よりの証拠だ!』
と言う。
俊敏性犬は
『望はどうするつもりだ? 殺すつもりか?』
『当然だ!! あいつにも興味はあるが所詮はただの人間だ! それにゾンビになることがあいつの望みだろ! なら叶えてやらんとな!』
と言い放った。
それを聞いて
『なら私はここで引くわけにはいかんな、望の命を狙うならば私はお前をここで倒す必要がある』
と言った。
それを聞いてクリーチャー型ゾンビは
『分からんな、お前があんな馬鹿を命を懸けてまで守る必要があるのか? あいつがお前に何をしてくれたって言うんだ? お前を邪魔者扱いするようなあんな人間を庇うだなんて馬鹿げてると思わないのか? それにお前はゾンビを操るための機械のせいであいつを守るようになっただけなんだろ?』
と聞いた。
すると俊敏性犬は
『確かに望は私が噛まないという理由で私自身を嫌っているのは分かっている、所詮は機械の電波であいつを守らないとというただの望の体の防衛本能に反応しただけだ……だが望と一緒に行動して私の意識は覚醒し始めた。私は私自身の心を取り戻したんだ』
と言った。
それを聞いてクリーチャー型ゾンビは
『ハハハ!! それってつまるところあいつを利用してんだな!! お前は自分の為にあいつを守ってるわけだ!!』
と笑った。
俊敏性犬は
『確かにそうかもしれない……だがお前には一生分からないかもしれないがそれだけじゃないんだ』
と言った。
クリーチャー型ゾンビは
『じゃあ何だ? お前があいつを守るもう一つの理由は?』
と聞いた。
すると
『本来犬って言うのは! 主人と思った人間を全力で守り通す生き物なんだ!』
と言って
シュウン!!
と素早くクリーチャー型ゾンビを通り過ぎた。
すると
バシュン!!
とクリーチャー型ゾンビの足に切れ目が走った。
『!! ク!!』
『遅いな……お前なら私の速さなんて大したことは無いんじゃないのか?』
と言った。
(ク!! あの小娘共のダメージがまだ残ってやがる!!)
と考えクリーチャー型ゾンビは自分の足を瞬時に回復させた。
すると
ドシュン!
『ぐ!!』
と俊敏性犬の足も切れ目が走った。
クリーチャー型ゾンビは
『ははは! ダメージはあってもお前如きゾンビ! この私でも殺すのは容易いぞ!』
と言った。
俊敏性犬は
『安心しろ……私も成長している、お前に後れは取らん』
と言って再び俊敏性犬は消えた。
『!! そこか!』
と瞬時に横を向き俊敏性犬を捕捉する。
だが
『グウウ!!』
クリーチャー型ゾンビは再びダメージを貰った。
しかし
『俺もダメージは貰うがお前も俺の攻撃が見えていないはずだ……今度は首を狙ったぞ?』
と言った。
そして
ズヂャアアアア!!
と俊敏性犬の首がパックリと開いて血が噴き出す。
『グウウ!!』
と言って血に滑って
ドシャ!
とその場に倒れる。
クリーチャー型ゾンビは
『ハハハ!! 痛みは消えても体力はあるようだな! 動きが鈍くなってるぞ!』
と言って襲い掛かった。
俊敏性犬はすぐさま立ち上がった。
ズガアアアアン!!
と音を鳴らして船の床にヒビが入る。
俊敏性犬は間一髪避けた。
だが
『遅い!!』
と言ってクリーチャー型ゾンビは舌で俊敏性犬の足を掴んで
『グダフェエエエエエ!!』
と言ってそのまま壁に
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
と叩きつけた。
『ガアバアアア!!』
と俊敏性犬は血を吐き出した。
『グハハハハハ!! 所詮は犬畜生か! ゾンビになってもお前と俺の力は歴然としているな!!』
と言った。
俊敏性犬は
『グウウウウ』
と言いながらフラフラと再び立ち上がった。