374Dead『縫合』
奈々子は
「はーい、取り敢えず応急処置としてもう繋いじゃうよおお! 準備良いかな! 大丈夫! 包帯巻いて動くように神経も繋げるからねえ」
と言って望の腕の縫合手術を行った。
アンジェリスは
「見学してもいい?」
と聞くと奈々子は
「良いよ」
と言って席を用意してアンジェリスを座らせた。
そして、
「……お前もう医師免許持てるほどの技術があるの? 医師になればいいのに」
と勧めると奈々子は
「は?」
とガチでキレ気味で言われた。
望は
「そうですね……貴方のその技術は映画の為に身に着けたものですしね……すみませんでした」
と謝罪した。
奈々子は
「じゃあ始めるねえ」
と言って望の傷口に器具を突っ込んだ。
「イイイデエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
激痛が襲い掛かり文句を言うことも出来なかったが、
「すげええ! 慣れた! この痛みさえ慣れればもう怖い物なんてない! つまり俺はゾンビ化の際に恐れることなんてないんだ!!」
と変なテンションへと変わっていった。
アンジェリスは
「へえ……こうやって縫うんだ」
と言って興味津々に望の手術を見ていた。
奈々子は
「アンジェリスも覚えていこうか? 多分私の後任はアンジェリスになるだろうし」
と言ってアンジェリスは
「え! そうなの! 分かった! 頑張る!」
と言って器具を渡される。
そして、
「そう! 次にそこを繋ぎ合わせて!」
「あ!」
「大丈夫! まだ!」
そんな会話を聞いて望は
「何! 何! 何が起こってるの! まだ大丈夫って何!!」
と急に不安になった。
アンジェリスは
「あ!!」
「大丈夫! セーフ!」
「セーフ!!!」
とそんな恐怖の会話で
「止めて! 痛みより何かその会話が怖い! 何をしている! 怖い怖い怖い!!」
と痛み以上の恐怖を知ることになった。
そして、無事手術は終わった。
そして、望の腕は繋がった。
そして
「うう!!」
と手を動かすと両方の小指と中指と親指以外はきっちり動いた。
2人は
「やった! やったよ奈々子ちゃん! ちゃんと動いた部分はあった!」
「そうだね! 動いた部分はあったね! これは成長だよ!」
と共に喜んでいた。
望は
「動かない部分があるんですが!!」
と冷汗と共に恐怖した。
そして、望は
「全く……」
と言いながら一指し指だけを動かそうとすると薬指が動いた。
「ちょっと!! 動かそうとした指とは違う指が動いたんですが!」
と文句を言ったが
バタン!
と2人はすでにいなくなっていた。
望は
「……マジかよ」
と唖然としていた。
そして、その後は何とか動かない指を無視して逆に動く指にちょっと慣れた気がした。




