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36Dead『後悔』

ふざけるな!

どうして俺がこんな目に!!

上手くいくはずだったんだ!!

そう! 上手くいくはずだった!!

俺はあいつらとは違う!!

それなのに!!

どうしてだ!!

俺がこんなに苦しい思いをするだなんて!!

ふざけやがった!!

あいつらだ! 全部全部全部ウウウウ!

あいつらのせいだあああああああああああああああああああ!!


「こいつらが俺を噛まないからゾンビになれずこんなしんど……うぶうううう!! ぐぞ……酔い止め貰っとけば……うぶううう」


と望は後悔しながら口を押えながら膝をついた。

望は酔い止めの切れて絶賛船酔い中だった。

涎が口から溢れる。

今朝食べた食事が胃から喉へと駆け抜けるような感覚。

喉が胃液で焼けるような痛み。

ゲロを履いた時の感覚。

そして、頭がクラクラしてお腹がムカムカする苦しみに耐えながら望はトイレを探していた。


「ぐがああ……どいでええええどいでええええええ」


と言葉変になりながらも必死に進む。

望は


(ここで吐こうかな……そうすれば楽に……でもそのゲロの臭いで俺自身がまた吐きそう……苦痛の延長が続くならやっぱり袋にするかトイレか……そこらへんに袋があれば……)


と必死に辺りを見ながら歩く。


「グウウウン」

「「「「「「「「「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」」」」」」」」」」」」


(相変わらず後ろがうるさい)


と望は呻きながら進んで行った。


-------------------------------------------------------------------------------------------


瑛代たちは通風孔を匍匐前進で進んで行った。

京は


「ここにクリーチャー来たりしないよね?」


と聞いた。

すると奈々子は


「ここであったら私たち一気にスプラッター! キャハハハ!」


と笑いながら言った。

加奈は


「確かにそうだけど……幅的に入れないんじゃない?」


と言った。

すると瑛代は


「いつも危機的状況だし覚悟は必要だと思うよ……取り敢えず通風孔の換気口を見て敵が良そうだったらすぐに引き返すのが必要かもね……」


と警戒をしながら進む。

それを聞いて誠子は


「はあ……気が休まらないわ……」


と言いながら進んで行く。

すると


『っがあううううう』

「ええ!!」

「なに!! この声!!」

「まさかゾンビ!!」

「ひっ引き返した方が!!」


と皆が慌てだす。

すると


「落ち着いて、取り敢えず近くに喚起口があるから覗いてみる」


と言って狭い視界で確認した。


(良く見えないけどクリーチャーらしき奴はいないな……)


と思った。

すると


「ウウウウウ……」


と誰かが歩いてくる。

その声を聞いて瑛代は


「……はああ……あいつは……」


とボソッと言って溜息を吐く。

それを見て誠子は言葉は聞こえなかったが


「どうかした?」


と聞いた。

瑛代は


「いや……何でも……ごめんだけど私のポケットから袋出してくれる?」


と言われて誠子は


「ええ、良いですよ」


と言ってそこから誠子は少し大きめの袋を出して


「これでいいの?」


と聞いて渡した。

瑛代は


「ありがとう」


と言って何故かその袋を喚起口から落とした。


「?? どうしたの?」

「ああ、これでいいんだ」


と言った。

そして


「別の場所から行こう」

「え!」

「何かいたの!」

「確かに変な声もするけど!」

「怖い怖い!!」


と言って皆震えた。

瑛代は


「まあそんなところ……取り敢えず離れるよ」


と言って皆


「「「「分かった」」」」


と言って瑛代の言う通りにした。

そして通風孔を移動していった。


--------------------------------------------------------------------------------------------


「っがあううううう」


望は一瞬口から吐瀉物を出しそうになった。

しかし踏ん張った。


「ウウウウウ……」


真っ青になりながら歩いていると


ポト


と何か落ちる音が聞こえた。

望は吐きそうになっているため逆に意識がはっきりとしていた。

そのため


「これは……」


オアシスだった。

そこにはちょうどいいぐらいの袋があった。


「ぎぜぎだ……」


と言いながらすぐさま駆け寄り袋を持ち


「ウウウウゲエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


と噴水のように朝食べた物を吐き出した。

そして


「フー」


とすっきりしたような顔で


「だいじょ」


と一瞬にして真っ青になり


「グゲエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」


再び吐いた。

そして、袋はほぼ満タンとなった時


「はあはああ……やっと……大丈夫に」


と言って少し落ち着いたのか顔の色も良くなった。

そして


「これどうしよう……」


と言って辺りを見渡すが何処にも捨てる場所はなかった。


「チ、仕方ない……このまま自分で持ってまた吐くのは嫌だし……ポイ捨て……うん! そうしよ! もうルールも減ったくれもないし!! 自分の体調優先にしよう!」


と言って近くに液体が漏れながら捨てた。


「行くか!」


こうして望はゲロ袋を放置して再び船を歩き出す。


「まずはアンジェリスに薬を貰わんと……トイレだから持って行ってなかったのがダメだったな」


と反省していた。


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