348Dead『唐揚げ』
ヨウミャは
『わだじは……いじぎがもどる……戻ってきた』
と少し表情が柔らかくなった。
ゲズアゾは
「ふむ、君は人にゾンビ化を受け入れさせる才能があるのかもしれないんだ」
と言った。
望は
「え? 今なんて?」
と薬を探している様子であった。
ゲズアゾは
「ああ、そんなに弄らんでも君用の薬はあるから……」
と言って止めに入る。
望は
「そうなの? ありがとう」
と言って嬉しそうにする。
ゲズアゾは
「でだ、俊敏性犬は手に入れた、次に君にはゾンビ化の場所を指定する」
と言った。
望は
「え? 指定? 面倒くさい」
と物凄く嫌そうにした。
ゲズアゾは
「まあ後はゾンビになればいいだけなのに君には苦労を掛ける、しかし、こっちも必死でね、ケースバイケースって奴だ……面倒がないのならこのまま君をゾンビにするのは簡単だし今の状況でなければ私もそのまま君をゾンビにしていた」
「え? まさか……」
と望は聞くと
「そうだ、希咲 瑛代……君の妹だ……君の妹が世界を取るのに君は邪魔な存在として戦って貰わないといけないんだ……そうなるとっひっひ……君は苦しみながら」
「いいすっよ」
「え?」
「え?」
「おや」
と望のさっぱりとした表情を見て3人は驚いた。
望は
「うん? 君らが望んだことだろ? 何を驚いているんだ?」
と寧ろ聞いてきた。
ゲズアゾは
「いや……驚いた、君は妹の夢を応援してるのではないのか? その為に、君も協力を」
「いや、俺報酬があるから手伝っただけだしそれ以外の何でもないよ」
と言い切った。
ベイエーンは
「妹さんを殺す事を許容するの?」
と聞くと望は
「あいつの夢は家族を殺しても止まらないよ……それに俺の夢とアイツの夢は別々だろ?」
と言った。
ベイエーンは
「は! どういう!」
と聞くと望は
「じゃあお前は何でアンジェリスと協力しないんだ? 従兄なんだろ?」
と聞くとベイエーンは
「それは! あの事私は違うし! そんなの私の夢の邪魔になるなら」
「そうだよ……兄妹だって自分の目的の為に家族が邪魔なら切り捨ててでも自分の夢を叶えようとするだろ? 小さい頃取り合いとかしなかった?」
と聞いた。
するとエイズアは
「まあ確かに兄二人と私は唐揚げを取り合いました」
と言った。
望は
「で? 勝てた?」
「いや、勝てなかった……取られた」
と言った。
望は
「そうだ……負ければ唐揚げは食べれない……食べたいものは食べれない……勝ち取りたいものは勝ち取れない……ただただそれだけだ……アニメやゲームにもあるだろ? 叔父が騙して父から全てを奪ったって……それはただただその父親が弱くて負けただけだ……ただただそれだけの事……唐揚げと同じ……負けて取られて食べられた……俺と妹も同じなんだ」
と言った。
ベイエーンは
「つまり、貴方の夢に妹の夢が食い潰されるか妹の夢にあんたの夢が食い潰されるかってだけの事?」
と聞くと望は
「そうだ、元来兄妹は取り合っていくもの、妹も俺より早くお皿の食べ物を奪ったり俺が奪ったりだった……喧嘩する者だ……簡単に言えば兄弟は最初の難敵、最初のライバル、最初の奪い合いの相手だ……それが真実……いくら仲良さそうに取り繕っても互いに利害が一致しない限り兄妹であっても相手は自分の夢の取り合いのライバルなんだよ」
と言った。
するとベイエーンは
「だったらあんたは今まで報酬という名の利害一致だけで手伝っていたの? その報酬って何? アニメ? ゲーム?」
と聞くと望は
「俺がただただエロアニメやラノベやゲームや漫画の為だけに頑張るか? 否、それらは自分で手に入れてこそ喜びがあったりするものだ……その他にもあったからついでとして貰えるならという名の交渉だ……まあ俺等は自分の力に換算しているからOKだけど……本来の俺への報酬は……」
「警察庁長官だ」
と言った。