341Dead『面倒な男』
ベーォオは
「糞……糞……守れなかった……糞おおおおお」
と泣き崩れていた。
そんな中
(どうしよう……私は望様に使える身なのに……望様の被害者と一緒にいる状態になってしまった……)
とナーマナは考えていた。
そして
「取り敢えず進みましょう」
とベーォオに提案をした。
ベーォオは
「君は?」
と聞いてきた、ナーマナは
(あ、私の事知らないんだ……良かった)
と考えてナーマナは
「ナーマナと言います……よろしくお願いします」
とお辞儀をした。
ナーマナは
(礼儀作法を学んでよかった……望様はあまり反応しないから正しいか分からないですけど……)
「ナーマナさんか……よろしく……君は綺麗なお辞儀をするんだね・・・・・・どこか品があるよ……」
と褒めた。
ナーマナは
「お褒め頂き光栄です」
と社交辞令を返した。
そして
「では行きましょう」
と言って道を歩き始めた。
するとベーォオは
「待ってくれ! 俺は! 俺はあの屑を倒したい! だけど君を巻き込みたくない!」
と正義感溢れるようなことを言い出すベーォオにナーマナは
「一本道なのでそれは無理ですよ……行きましょう」
と言った。
それを聞いてベーォオは
「! そっそうですよね! すみません……」
と謝った。
ナーマナは経験上分かった。
(あ、こいつ私に乗り換えた)
ベーォオは先程の女性の復讐と見せかけてナーマナを口説いていると勘付いたのであった。
もし復讐するならばわざわざナーマナに言い出す必要がないからだ。
それをわざわざ言い出すという事は自分をよく見て欲しくてそして、復讐に捉われないで的な事を言って欲しいと思ってるからであると考えたからであった。
ナーマナは
(あまり私が変に口を出して望様の命を危うくなるようなことをしないように変に関わらずそして望様から遠ざけるように誘導できれば良いんですが……それは難しいでしょうね……取り敢えず変に関わらないように話を聞くだけにしよう)
と考えた。
するとベーォオは聞いてもない先程の彼女の思い出話をし始めた。
ナーマナは話半分に聞いていた。
ベーォオは
「それで彼女はとても美味しい料理を作ってくれたんだ……アルメはとても優しかった……本当に……優しかったんだ」
と勝手に泣き始めた。
何度目の……優しかったんだ泣きなんだろうかとナーマナは心の中で思うだけに留めておいた。
ナーマナは
「あ、着きましたよ」
と言って明るい場所に出た。
すると
「グアオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
とクリーチャー型ゾンビの後ろ姿を見た。
「!!」
「い!」
と叫びそうになるベーォオの口をナーマナは塞いだ。
「静かに……バレると大変です」
と言ってベーォオに注意を促す。
ベーォオは
(一番怖いだろうに……僕のことを考えて……何て優しい人なんだ)
(って思ってるんだろうなあ……こいつを放置して逃げることも出来るかなって思ったんだけど……難しいかなあ……隙を見てこいつから離れないと……)
と考えながら怪物が
「グアオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
と大きく鳴きながら獲物を探していた。
ナーマナは
「良し、今」
と呟いて歩き始める。
その後をベーォオは勝手について来た。
ナーマナは
(うーん……まあそうだろうなあ……ここからの方が安全だし……)
と我慢しながら二人で歩いていく。
すると
キイイイイイイイイイイイイン!!
とナーマナの後ろから大きな音がした。
「!!」
後ろを振り返ると鉄パイプを倒すというベタな事をベーォオはしてしまっていた。
ベーォオは
「すまない!!」
と大きい声で、
それはもう大きい声で謝った。
鉄パイプで気付いた怪物は体が大きい為すぐには見つけれなかったがベーォオの謝罪によって位置を捉えることが出来た。
ナーマナは呆れて溜息をつきそうになったが我慢して
逃げようとする。
ベーォオは
「本当にすまない! 僕を置いて逃げてくれ!」
と再び大きい声で謝る。
ナーマナは無視して逃げようとするが
「待て! これを! これを持って行ってくれ! 彼女の形見なんだ! これだけは守りたいんだ!」
と言って勝手に腕を掴んできた。
ナーマナは
(FUCK!!)
と心の中で思った。