322Dead『夢の為、奪い続ける心』
奈々子はその後他の人に引き取られた。
彼女の事件は時間の経過でほとんど覚えている者はいなかった。
その為、化粧をせずともバレる事はもうなくなっていた。
そして
「私は柳田世津子って言います、貴方が奈々子ちゃん?」
と引き取り先の女性と男性がいた。
奈々子は
「はい……」
と怯える演技をした。
彼女は徹底して自分の夢を叶える為の準備をしていた。
この怯える演技もいつか自分の夢の為であった。
するとそんな怯える演技をする奈々子に女性は
「怖かったね、でも大丈夫よ、貴方は私達が守るから」
「そうだよ、だから怯える必要はもうないんだよ」
と言って目を潤しながら二人は言った。
奈々子は
「ほっ本……当に……」
と震える声を出しながら聞いた。
奈津子は
「本当よ、貴方はもう苦しむ必要はないの! これからは安心して暮らせるのよ!」
と言った。
奈々子は腕を見せた。
腕には青く染まった部分があった。
「!!」
「なんてことを!」
と二人は青ざめて言った。
奈々子は
「もう……痛い事は無いの……」
と涙ながら言った。
そして、二人の様子を見た。
奈津子は
「こんな痣が……酷い……」
「辛かったな……本当に辛かったんだね……」
と涙を流しながら二人は奈々子を抱きしめた。
奈々子は自分の顔が見えない状態になって
ニヤッと笑った。
(ヒヒヒヒヒヒ、上手くいった……色んな実験で調べてどんな色が最も痣に近い色か調べて本当に良かった……あの山田は本当に良い実験動物だ、痣なんて奴は工場の仕事だから何時できていてもおかしくない、あの時人選をミスらなくて良かった……これで家族愛というものを勉強して自分の作りたいスプラッター映画の材料に出来る……また夢に一歩勉強できた!! アハ!!)
と考えた。
実際痣を作って苦しんでいたのは山田であった。
しかし、力仕事が主な工場で働いていた山田には痣が普通に出来ていた。
いくら奈々子に着けられても普段から奈々子に怯えながらも罵声を浴びせてしまった瞬間を他の人に見られていた為であった。
そして、彼の言葉を信じる者はいなく彼は一人で苦しみ、そして皆から見捨てられて一人只責められるという地獄の中何とか自殺をして逃れることが出来た。
奈々子に目を付けられた瞬間から彼の人生は支配されていた。
彼の逃れる瞬間を全て死に向けられるように誘導したのも奈々子であった。
彼女はどうすれば人間は自ら命を絶つのかも勉強するために山田を苦しめる勉強をする為にその数年間を過ごしたのであった。
ともあれ、彼女は取り敢えずは家族愛を勉強するためにある程度は柳田家にお世話になり見切りをつけた瞬間に牙を向く予定になっていた。
彼女に出会うまでは