315Dead『就職氷河期』
男は
「出せええええ!! 俺の娘を返せええええ!!」
とケースを叩きつけながら叫ぶ姿を見て奈々子は
「ふむ、ここがケーㇲに入れられて叫ぶシーンかあ……参考になるなあ……ねえ! ベナさん! こいつバラして良い?」
と聞いた。
ベナは
「ダメ、取り敢えずうちは肩書は助ける研究機関だから……」
と言った。
奈々子は
「……人間に戻すの? 皆? それは無理だと思うよ」
と言った。
それを聞いてベナは
「まあ無理でしょうね……正直こんな現状で全ての人間をゾンビから普通の人間に戻すのは難しいって思う、ならば残り少なくなった人間にゾンビの抗体を入れてこれ以上ゾンビが増えないようにするかならば一層世界を理性のあるゾンビに変えてしまうっていう方法を取るしかないかなあって思ってる」
と言った。
それを聞いてレベッカは
「!! ちょ! 嘘でしょ! 人間に戻していかないの!」
と少し動揺するとアンジェリスは
「そりゃこんな状況下で人間に戻してもまたゾンビに噛まれてゾンビ化する、ならばゾンビの抗体を作る……そうすれば今度は体がゾンビになる……そうした方が合理的でしょ?」
「え? 抗体作ってもゾンビになるかは検査中よ? どうして分かるの?」
とベナはアンジェリスに聞いた。
アンジェリスは
「え? ああ、それは瑛代ちゃんと奈々子ちゃんとある程度レイビン家の事情を知っている私の知識を統合すればそうなると思って……抗体って菌を破壊するけど……この菌は再び復活するから減らしては蘇ってを繰り返すだけだからある意味理性を持ったゾンビになるよ」
と言った。
それを聞いてベナは
「だったら希咲はどうなるの? この子ゾンビ菌なんていっぱい入ってると思うんだけど?」
と言うと奈々子は
「ああ、こいつはゾンビ菌を持っても俊敏性犬の抗体が強力過ぎて勝てないんだよ……だけどこいつ何故か望だけにその抗体を与えるみたいで他の奴には弱いのしかくれないんだよねえ……器用器用」
と言って頭を撫でる。
俊敏性犬は
「ガウン!」
と吠えて尻尾を振る。
望は
「……何でそんな器用なこと出来るの」
と言うと奈々子は
「さあ? 愛の力じゃない?」
と言った。
すると望は
「ちょっと待て! それなら俺はゾンビになれないんじゃないのか!! 嫌だ嫌だ! 殺される苦しみを何度も味わいたくないし怖いのも嫌だしアニメとかラノベ読めないとかなんかいやだ! ゲームだって今のをクリアしてしまってもうやることないんだ! 俺は一度クリアしたゲームはしないタイプなんだ! 考えろよ!」
といちゃもんを着ける。
それを聞いて奈々子は
「瑛代が頑張れって言ってた! 頑張れ!」
と言って笑う。
それを聞いて望は
「頑張れだと! この状況で何を言ってんだ!」
とキレる。
和子は
「はいはい……怒らない怒らない」
と言ってなだめる。
望は
「そういえばお前等もゾンビになったの?」
と聞くとアンジェリスと和子と剣子は
「いや」
「なってない」
「なるわけがない」
と即答した。
それを聞いて望は
「なる気はあるの?」
と聞くと
「うーん……まあ必要があれば……今はまだ人間としての希望があるしなあ」
「時と場合によるかな」
「私も同意」
と答える。
望は
「おいおいおい、永遠に生きてどうするんだ……あいつみたいにギャラクシーも征服するとか言うのか?」
と冗談交じりに笑う。
3人は
「うーん……瑛代ちゃんに仕事を貰えるみたいだし飽きないと思うよ」
「私もこの戦いが終わったら瑛代ちゃんのところに雇ってもらう」
「私は研究所の主任を約束されてるの……望だけだよ……いまだに就職が決まってないの」
とまさかの進路の話をさせられた。
望は
「……嘘だろ……俺だけ就職氷河期に置いてかれたのか……」
と真っ青になる。
すると望は
「れっレベッカは!」
「私は元研究員だしジョリザズの研究を一番近くで見てたから研究員として雇われるよ」
と言った。
望は
「アレックスさん!」
と言うとアレックスは
「俺は新兵教官を元軍人だし」
と言った。
この中で望だけが就職あぶれしていた。
すると
「大丈夫ですよ……貴方様の面倒は私が見るという役目があるので……望様は好きなだけ好きな日々を過ごしていいのですよ」
とナーマナが言った。
それを聞いて望は
「……良いな……取り敢えず俺がゾンビになる方法を頑張って見つけるよ」
と言うとナーマナは
「それは許しません」
とキッと睨み着ける。
アンジェリスは
「おい、紐ににあるからやめなさい」
と注意した。
奈々子は
「もしよければ私のスプラッター映画を作ったらサンプル見せるよ! お前の意見も聞きたい!」
と笑った。
望は
「時間があればな」
と言った。