312Dead『一つの情報』
ベナさん達のいる研究所に着いた。
そして
「や! ベナさんっだっけ!」
「……また新しい子が……この子は?」
と挨拶する奈々子にベナが聞くと
「サイコパス少女柳田奈々子」
と望が言った。
ベナは
「サイコパスなの?」
と聞くと
「違う! 私は天才型だ! そう瑛代が言ってた!」
と怒った。
望は
「そうなの? まあ確かにサイコパスも知性は高いって聞いたことはあるなあ」
と何となく呟く。
ベナは
「えっと……何か夢中になる事ってある?」
と聞くと奈々子は笑顔で
「スプラッター映画の為の勉強!」
と言った。
続けてベナは
「どんな勉強してるの?」
と聞くと
「本物の人間で切り刻んだり中身を確かめたり色々と獣の体をくっつけたりとか!」
と言った。
するとベナは
「そうかあ、分かったわ、じゃあお姉さんと一緒に行こうか!」
と言って手を繋いでいった。
奈々子は
「どこに行くの?」
と聞くとベナは
「ここに来た理由は?」
と聞くと奈々子は
「スプラッター映画を作るための勉強!」
と言った。
それを聞いてベナは
「だったら留学生らしく勉強するのよ、大丈夫! 楽しいものばかりだから! まあ貴方の知識がどこまでか知らないけど視点を変えてみるのもいい事よ」
と言った。
それを聞いて奈々子は
「分かった!」
と言って嬉しそうについて行った。
望は
「研究所はまだ向かわなさそうだな」
と言った。
アンジェリスは
「まあ場所とかを他の人に話していかないと」
と言って皆別れた。
だが望は
「あの……ベナさん……何で俺まで?」
と縛られて連れていかれていた。
すると奈々子は
「なんだ? 望も見るの?」
と言った。
望は
「いや……別にそういう訳では」
と言うとベナは
「遠慮しないで」
と何を気を使ったのか望と一緒に勉強をさせようとしていた。
望は
「まあいいけど」
と言って多分自分がナニを言っても無駄だと思い諦めた。
そして
「おおお!! すごい!!」
「喜んでもらえてよかった!」
と言った。
実験は結構単純であったが奈々子がやっていない実験であった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
一人のゾンビを聖草を使って戻すというその単純な実験だ。
その後、
「出してくれ! お願いだ! 私の! 私の娘は!」
とケース越しに話していた。
すると
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
一人の子供が隣でゾンビとなって呻いていた。
するとその男は
「よくも……よっくもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
と怒鳴っていた。
ベナは
「次はその子を戻すつもりだったんだけど……いったい何を勘違いしているんだろうか……」
と言った。
望は
「……同時に戻せばよかったのでは?」
と聞くとベナは
「聖草の種類のよって戻らない事が分かったのよ……多分菌も勝手に進化したりするからそれに合わせて複合した聖草のエキスを注入する必要があるから同時にやっても戻らないの……因みにその子はさっき配合したから次で何とかなるよ」
と言って少女の頭上から注射器が出て来る。
そして男は
「や! 止めろおおおおお!! 娘に! 娘に何をするうううううう!!」
「あの人は娘を戻したくないのだろうか?」
「声を通せばいいのに」
「通してるけど聞いてない」
と会話をしていると少女に注射器が刺さる。
「止めろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
と悲鳴のような声で男は叫ぶ。
そして
「ああああ……」
と徐々に娘の変色した皮膚は戻って行く。
男は
「メイリ……」
と涙を流す。
そして
「ぱ……」
パン!!
と言い終わる前に破裂した。
「え……」
「あれ?」
「??」
「うひょおおおおおおおおおおおおおお!!」
と言って二人を余所目に奈々子は興奮する。
ベナは
「あれ? おかしいなあ? そんな訳」
と言って頭を抱える。
男は
「よくも……よくも……返せ……返せ……返せえええええええええええええええええええええ!!」
と
ケースを殴りつけて手からは血が噴出する。
ベナは
「一旦声を閉じて」
と言って
「かえ……」
聞こえなくなる。
望は
「どうなってるの?」
と聞くとベナは
「分からん……配合ミスで死ぬのかな……これは確かに失敗だけど一つの結果だ……ここは悪く捕えず新しい情報を得たとして教訓にしよう」
と言った。
奈々子は
「その通りだ! これは教訓であり只の失敗ではない! 失敗にして終わらすか一つの情報として取り入れるかで自分の成長性が変わるんだから!」
と言って嬉しそうにする。
奈々子は
「あああ……破裂ってこんな感じかあ」
と嬉しそうにして今度は男の方を見る。
望は
「……まさか娘が成功で男が失敗だと思ってるんじゃない? アイツ?」
とベナに言うと
「うーん……まあ私は失敗だと思ってるから感じ方は人それぞれってことで」
と言った。