300Dead『テスト対策②』
望はキョトンとして
「えっと……お兄ちゃん何を言っているか分からない……もっと俺にも分かりやすくお願いしやす」
と質問する。
すると瑛代は
「まあ簡単に言うとずるい事をしている人間の方が世間では認められるってことだよ」
と言った。
望は
「うむ、分からん……嫌ずるい人間が良いのは分かるがテストとどう関係が? 世間がどうしてそれを認めているという理由になるのかが分からんってことね」
と言うと瑛代は
「まあ考えてみてよ、政治だとか選挙だとかって色々と黒い噂が多いでしょ? 賄賂に不正行為に改ざんとかそういう汚職! ああいうのってまるで全て包み隠さずテレビで暴いているように見えるけどそれって尻尾切りにされた人間がいるだけで経済が悪人が回しているように世界も悪人が回しているんだよ! つまり不正行為をいかに見つからないように行動することこそが世間が求めている人間なんだよ! それに気づかないと人間は普通から脱却出来ない! 私は世界を取るつもりだからその普通から脱却していかないといけないんだよ!」
「へえ……凄ーいね」
ともうどうでもよさそうな目で言った。
瑛代は
「そして、このテスト対策では私達みたいな人間は世間で天下を取るにはそういう事を平然と遣って退けることこそが求められてるんだよ! ほら! 著名人がカンニングしていることなんて良くあることでしょ!」
と言った。
望は
「ああ……うん……聞いたことがある」
と言った。
瑛代は
「つまり! 私達が今求められているテスト対策とは! テストをいかに100点を取るかを! いかに問題なくやり過ごせることが出来るか! そして不正がバレないように出来るかが肝心なんだよ! それこそが真の意味でのテスト対策だよ! ほら戦争だって相手の情報をいっぱい手にしていた方が勝ちやすいでしょ! 今回も私達はテストという戦争! 受験戦争にも情報を手に入れて対処するってことだよ!」
と言った。
望は
「つまり馬鹿正直に勉強している者に天下を取ることは出来ないと?」
と言うと瑛代は
「そういう人は結構馬鹿正直だから悪人に利用されて潰されるのが落ちだよ……つまり悪人になることは世界を取る為の一番大切な条件なんだよ!」
と言った。
望は
「なあ? 一つ聞いて良い? お前って勉強しても良い点は取れないの?」
と聞くと瑛代は
「?? 取れるけど?」
「なら別にそんなことしなくても」
「だけどそれじゃ私の世界征服が遠のくじゃない、私達は必ず世界を取る為に今学生の内に出来ることをやっておくだけ!」
と言った。
それを聞いて望は
「バレて退学させられたらどうするの?」
と聞くと瑛代は
「それでも世界は諦めない……絶対に取る、生きていればどんな方法を使ってでも奪って見せる……生きている間は絶対に諦めない、死刑を求刑されても仲間を使って絶対に脱獄して映画とかで良くいるヴィランの様な存在になってでもこの世界は私が貰う」
と言った。
望は
「……あ……はい……分かりました……もう逆らいません」
ともう色々と諦めた。
瑛代の性格は分かっているが自分とは何か違うんだなあって事ぐらいが理解できた。
瑛代は
「じゃ! 勉強しようか! 後お兄ちゃんバラしたら自分の人生も崩れることは分かるよね!」
と言うと望は
「うん……分かっていますよおお」
と言ってそのまま勉強をした。
そして、望はテスト2日前で100点を取れるようになったのであった。
全教科
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「バッバかな! ふっざけるな!」
と怒鳴って真田は望の答案を見ていた。
すると
「あいつ凄いですよねえ! さすが時期生徒会長になる瑛代の兄貴ですよ、ペン回しをしていてもこんな点数を取れるなんて! 今までは悪い点数でしたけど今回は勉強したんでしょうね!」
と言った。
真田は
「カンニングですよこれは」
「は?」
とキョトンとする教師に真田は
「こいつはカンニングしているんだ! 絶対にそうだ!」
と怒鳴る。
教師は
「あのお……さすがにそれは無いですよ? だって望はさっさとテストを終わらせてその後ずっと鉛筆を持たずに寝ていましたし……もしカンニングして100点を取るにも他の生徒が解いていないと意味ないでしょ? だが奴は本当にペンも持たずに寝ていた、その上テストが終わって寝る頃には他の生徒はまだテストを半分も終わらせていない……それを見ていた私には分かるよ……カンニングはしていない」
と言った。
真田は
「そんな……そんなバカな……」
と悔しそうにしていていた。
教師は
「なんだこいつ……」
と言って離れた。
真田はその教師が離れた後あることを思い出した。
「そうだ……名前を消せば㍘に」
と言って消しゴムを持って希咲望という文字を消そうとする。
だが
「何をしているのかね」
と校長が睨みながら言った。
真田は
「い! いや! これは」
と言い訳をしようとする。
すると校長は
「そうだな、何もしていないな……この答案は私が採点しよう、大丈夫、不正はしないよ」
と言って取り上げた。
そして、望は100点になった。