294Dead『加奈ちゃんと』
加奈は営業をし続けて貰った金でおしゃれをして肌を整えて美しさを持続させていた。
加奈が営業している相手はお金に余裕のある富裕層の人間でしかも皆自分の嫁にバレたくないという事で彼女との関係を黙っててくれていた。
彼女はたくさんのお金を貰って生活費とおしゃれ代に振り分けた。
彼女は一人暮らしでバイトをしながらもその営業を繰り返していた。
そして、それは学校で噂で流れる程度の物であった。
「あいつ……なんか変なオッサンと寝ているって噂だぜ?」
「中学の時に殺人をして少年法で助かったんだっけ? マジで屑は治らないんだな」
「あんなことをしてよくもまあ普通でいられるなあ」
と学校の生徒や教師からは侮蔑の目で見られていた。
そして、そんな生活をしていたある日彼女は病院で
「貴方性病に掛かっていますよ? アレ分かりますよね?」
と医者から言われた。
加奈は
「はい、授業で習いました」
と言った。
それを聞いて医者は
「どうしてこんなことになったか分かりますか?」
と聞いた。
加奈は
「分かっています……しかしどうでもいいです……私は長く生きていたい訳ではありません、私は美しくて可愛ければいいんです……寧ろ丁度いいです……この美貌を保ちながら死ねるなら本望です」
と言った。
それを聞いて医者は
「ふざけるんじゃない! 君みたいな未来ある子供を見捨てられるわけ」
と言い終わる前に
「知ってるでしょ? 私にはもう未来何て無い……私にあるのはこの美しさだけ……自分の利点を使って生きてそして死ぬ……それが人間にとって一番いい事ではないでしょうか?」
と言った。
それを聞いて医者は少し悔しそうに
「君は……どうして」
と手に力を入れながら言った。
それを聞いて加奈は
「うーん……偽善者共に良い様に使われただけかな? まあ別に気にしてないんですけどね……もう」
と言った。
医者は
「そうか……しかし、薬を処方しようと思う……だが金がね……かなりの高額だ」
と言った。
すると加奈は
「払います……一応はもう少し長く美しさを保ってそして終わるころに死にたいので」
と言ってその薬を彼女の貯めた金で購入、そして服用しながらもその行為を止めることは一切しなかった。
彼女はそんな病気になっていることも誰にもも言わなかった。
そして、彼女は
(まあ20歳ぐらいまで生きれたら御の字かなあ)
と考えながら生きていた。
そして、彼女は学校で一人で過ごしながら
(今日は誰と寝て金貰おうかなあ)
と考えていると
「ああ! あの子役で有名だった優那 芽入ちゃんだ!」
と声がした。
優那 芽入は昔の自分の芸名だった。
そんな懐かしい名前を聞くのは久しぶりで会った。
そして、その名前を呼んだ方へ顔を向けると一人の同じぐらいの年の少女が話し掛けてきた。
「ねえねえ! サイン頂戴! ああきゃわいいいいい!!」
と言って顔を赤くしながらサイン色紙とペンを渡してきた。
加奈は笑いながら
「へえ……私のあんな悲惨な事件を知っていながらサインねえ……それとも世間知らずなのかなあ? まあいいや……サインだっけ? 別にそれは構わないけど?」
と言って受け取り色紙に散々書いてきたサインをした。
そして
「はい、プレミアすらつかないただの落書きだけど」
と言って渡した。
少女は
「あああ! ありがとうございます!」
と言って嬉しそう抱きしめる。
加奈はびっくりしながらも
「えっと……あんた怖くないの?」
と聞くと少女は
「?? 何が?」
と聞いた。
加奈は
「私は人殺しをしたんだよ? ニュースでも見たでしょ? 少年法を使って助かった最低の悪女だって?」
と言うと少女は
「ああ! それねなるほどなるほど! あのマスコミが偽善者ぶって作り上げた感動のストーリー? 確か悪役は貴方細田加奈ちゃんだっけ? 良い演技してたよねえ! なんかリアリティーあったよ!」
と言った。
それを聞いて加奈は
「いや……別に演技何てしてないけど?」
と言った。
少女は
「ほほう、演技ではないと? まあいいか! 私はあの人の都合に合わせたニュースに関しては基本聞き流してるからどうでもいいや!」
と言った。
そして、少女は
「ねえ! 営業してるんだって?」
と言って目を煌めかせながら聞いた。
加奈は驚きながらも
「えっと……それが何?」
と聞くと少女は
「それは凄い才能だよ! その才能を私と一緒に大きい事に使って見ない? 治療費なら私が全額出すよ!」
と言って顔を近づけさせる。
顔を引きながら加奈は
「ちょっと……私がその……アレ持ってるってどこから?」
と聞くと少女は
「この街の情報を私は出来るだけ手に入れている……それにそんなことしてたらいつかそうなるって加奈ちゃんも知ってるでしょ?」
とニヤニヤしながら言った。
加奈は
(いつの間に加奈って……)
と思いながらも
「で? 大きい事って?」
と聞くと少女は
「ハニートラップ! それを使って貴方には私達側に入って欲しいの!」
と言った。
それを聞いて加奈は
「何で私が?」
と聞くと少女は
「大丈夫、薬の心配もさせないし貴方の美貌の持続も約束する……それをしないと貴方の強みをまた探さないといけない……それに今欲しい才能を貴方が持っているからよ!」
と笑いながら言う。
それを聞いて加奈は
(うーん……どうしようかなあ……暇だし良いか)
と軽い気持ちで
「まあ別にいいけど? あんた名前は?」
と聞いた。
すると少女は
「瑛代! 希咲瑛代!」
と言って名乗った。