293Dead『加奈ちゃん中学生編』
彼女の輝きは中学までは続いた。
しかし、本当の中学までだった。
ある日母親は
「私達の人生は終わるわ」
と言った。
それを聞いて加奈は
「?? どうして? 私ちゃんと営業してるよ? 明日も仕事貰っているよ?」
と言った。
それを聞いて母親は
「あんたのその営業がネットに流れたのよ!」
と言った。
それを聞いて加奈は
「え! 何で! それ全部営業の人達は問題になるから黙ってるって言ってたよ!」
と言った。
だが母親は
「そんなの知らないわよ! 貴方が営業の時に何か気に食わない事したんじゃないの!」
とトチ狂ったように怒鳴る。
加奈は
「そんなことしてないもん! 私頑張って喜ばしてるし!」
と言い返すが母親は
「最初にあんたの営業を受けたプロデューサーが情報をバラ撒いたのよ!」
と言った。
それを聞いて加奈は
「何で……」
と唖然とした。
そして、後から分かったことでその男は自分は誘惑されて無理矢理写真で取られてそれをバラ撒かれたくなければ自分を売れるようにしろと脅されたと公言していたことが分かった。
最初は子供がそんなことすることは無いと世間は言っていた。
しかし、そのプロデューサーに世話になった王御所の芸能人や自分を妬んだ子役達が
「あいつはそういう奴だった」
「私も何度か脅された」
等や
「あの人は嘘を言うような人ではないです……きっと彼が言っていることは本当の事だと思います、彼も苦しかったのでしょう、でも彼は勇気を出して証言してくれました……今は大変だと思いますがきっと帰ってくれると信じています」
「大人でも子供に酷い目に合される時代になったんですねえ……恐ろしいですねえ……最近の子供は……自分は何をしてもいいって思ってるでしょうねえ」
等の自分に対して不利になるような勝手な証言をしていた。
それを聞いて母親は
「あああ!! ふざけるなあああ!」
とヒステリックを起こして荒れるようになった。
酒の量が増えて、加奈に当たり散らすようになった。
加奈はネットでアンチや批判の声を浴び続けた。
『やっぱりな! 俺は最初っから怪しいって思ってたんだよ!』
『だってなあ、売れなくなってまた売れるって怪しいもんな!』
『プロデューサー脅すって! こわ!』
等様々なことを書かれていた。
加奈には訳が分からなかった。
「皆が喜ぶことをしていたのに……どうして私が責められるの……意味が分からない……どうしてこうなった……何が私をこうさせたんだ……」
と恐怖していた。
そして、そのプロデューサーにたまたま道であった。
その時加奈は聞いた。
「どうしてあんなことをしたんですか? 意味が分かりません……貴方があんなことをしなければ私は……」
と聞いた。
するとプロデューサー
「お前……俺以外の人間と寝てるんだろ……」
と言った。
それを聞いて加奈は
「はあ? だってそれはあんたの紹介でしょ?」
と言うとプロデューサーは
「紹介はしたがそんなことをさせる為に紹介したんじゃない! お前が売れるように紹介しただけだ! それなのに! だから俺は裏切ったお前に報復する為にこのことを皆に伝えたんだ! もうお前には俺しかいいない! 誰もお前を見ちゃくれないんだからな! 俺の者! お前は俺の女なんだあああああああああああ!」
と言って突進するように襲ってきた。
加奈は服を破かれて倒れ込む。
加奈は
「痛った!」
と言ってあまりの重さと激痛にそのプロデューサーを押し退けようとする。
しかし、びくともしなかった。
プロデューサーは
「うおおおおおおおおおお!! あああああああ!」
と言って加奈の体に顔面を頬ずりし続ける。
その時だった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
と奇声の様な声がした。
そして
ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
と何かが割れるような音がした。
ビール瓶で会った。
すると
「貴方……ふざけないで……私がそんなに嫌なの……そんなガキに……夢中になって!」
と言って知らない女が奇声を上げながら加奈を見た。
加奈は身の危険を感じてすぐさまその場から逃げた。
女は
「待ちなさい!!」
と言って追いかけてきた。
加奈は必死に逃げて赤信号になる寸前の道路を何とか渡り切った。
そして、渡りきったところで信号は赤になった。
だが
「あああああああああ!! くそおおおおおおおおおお!!」
と言ってそれでも女は追いかけて来る。
そして
ププウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!
とクラクションが鳴り女は
ゴシャアア!
と轢かれた。
女は動かなくなり血を流しながら倒れている。
加奈は
「……」
とただ呆然としていた。
そして、加奈は警察に連行された。
しかし、当然加奈自身は無実だと分かりすぐに釈放された。
しかし、その出来事が完全に止めとなった。
加奈の逮捕を知ったマスコミが加奈は殺人を犯したくせに少年法で助かった屑だと報道したのであった。
そして、そのプロデューサーは犠牲者として同情されて加奈は一気に居場所を失った。
芸名を捨て完全に芸能界から身を引いたのであった。
その後も当然の様に犯罪者の目で見られる上に母親は酒浸りになった後体をすぐに壊して死んだ。
だが加奈は死にたいと思わなかった。
彼女はそんな絶望的な状況の中一つの希望だけは捨てきれなかった。
「私は綺麗……可愛い……その為に金が必要……私を必要とする奴は絶対にいる」
そして、彼女はその美貌と子役時代に培った演技力で再び営業に走ったのであった。